ケアマネ業務を支えるおすすめのICTとは?活用術もご紹介

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ケアマネジャーとして働く皆様は、日々、書類作成や情報共有、連絡調整に追われてはいませんか。これらの業務はICTを活用することによって解決することが可能です。

この記事ではケアマネジャーの業務を支えるおすすめのICTツールと導入で失敗しないためのポイントなどをご説明します。

目次

ケアマネジャーの業務を効率化するICTツールを紹介

ケアマネジャーの業務を効率化するための代表的なICTツールとして、介護ソフト、コミュニケーションツール、オンライン会議システム、オンラインストレージサービス、スケジュール管理ツールなどをご紹介します。

介護ソフト

介護ソフトとは、帳票作成や保険請求の機能がついているシステムです。

介護ソフトを使うことで、アセスメントシートやケアプランの作成、介護報酬の請求業務を効率化し、ケアマネジャーの日々の業務を効率化することができます。

主な機能

代表的な介護ソフトとして、『カイポケ』が挙げられます。

コミュニケーションツール(チャットツール)

コミュニケーションツール(チャットツール)とは、電話やFAX、メールに代わるコミュニケーション手段のツールです。

コミュニケーションツールを使うことで、複数人が参加するグループでの会話やメッセージのやり取りが容易になり、迅速な情報共有が可能になります。

主な機能

代表的なツールとしてLINE WORKS、Slack、MicrosoftTeams、Chatworkなどがあります。

オンライン会議システム

オンライン会議システムとは、インターネットを通じて離れた場所にいる人同士が映像と音声でコミュニケーションを取るためのツールです。

オンライン会議システムを使うことで、場所を問わずに会議や打ち合わせ、研修などが可能になり、参加者のスケジュール調整の負担や移動の負担を軽減できます。

主な機能

代表的なツールとしてZoom、Google Meet、Microsoft Teamsなどがあります。

オンラインストレージサービス

オンラインストレージサービスとは、書類やデータを個人のPCやUSBメモリではなく、インターネット上の保管場所(クラウド)で管理するためのシステムです。

オンラインストレージサービスを使うことで、複数人でのファイルの共有や、同時編集も可能になります。また、物理的な媒体(PC・USBメモリ等)の故障や紛失に伴うデータ消失のリスクを軽減でき、安全にデータの保管ができるようになります。

主な機能

代表的なツールとしてGoogle Drive、Dropbox、OneDriveなどがあります。

スケジュール管理ツール

スケジュール管理ツールとは、個人予定だけでなくチームや組織全体のスケジュールを一元管理できるツールです。

スケジュール管理ツールを導入することで、個人の予定を効率的に管理できるだけでなく、リアルタイムで空き時間を共有できるので、電話やメールを使わずに日程調整を効率的に行うことが可能になります。

主な機能

代表的なツールとしてGoogleCalendar、Time Tree、Microsoft To Doなどがあります。

ケアマネジャーのICTの活用事例

ここでは厚生労働省の『介護サービス事業所におけるICT機器・ソフトウェア導入に関する手引き』から居宅介護支援事業所のICTの活用事例をご紹介します。

導入したICT機器・ソフトウェア

前の介護ソフトの契約の更新の時期に、主には費用削減のために既存のオンプレミス型の介護ソフトからクラウド型のソフトへ切り替えを行いました。

ケアマネジメントの業務部分では以前の介護ソフトとあまり違いはありませんでしたが、ケアプランのデータ連携(サービス利用票(提供票)のやり取り)ができることになり、事務量や時間の削減が可能になりました。

【導入前の課題】

介護ソフトよりサービス利用票(提供票)を印刷し、FAX送信や郵送をしていたため、業務負担もあり、紙代や郵送費用もかかっていました。また、FAXの場合、回線が混むため、夜間に送信する等の工夫も行っていました。

事務所の移転に伴い、新しい複合機を購入したことで、介護ソフトと複合機を連携させて、介護ソフトから複合機を介してFAXを送るようになり、業務時間を短縮することができましたが、依然としてFAXの誤送信のリスクが残っていることや個人情報の関係等から、介護ソフト上でデータ連携ができる方が良いと考えました。

【導入時の取り組み】

4~50代の介護支援専門員4名が勤務している事業所ですが、業務効率化のために積極的に介護ソフトを活用しており、わからない部分もお互いで教え合いながら導入を進めました。Q&Aも含め、ベンダー側のサポートを受けたため、使いこなすことができました。

【導入内容と効果】

データ共有を通じて、サービス提供票(実績)の内容をそのままデータで取り込むことができることで手間が削減されました。

参考:厚生労働省 介護サービス事業所におけるICT機器・ソフトウェア導入に関する手引き Ver.2

ケアマネ業務にICTを導入するメリット

「介護ソフトに入力するために事業所に戻らなくてはいけない」から解放される

クラウド型の介護ソフトとタブレット・スマートフォンがあれば外出先でも介護ソフトに記録を入力することができます。

記録の入力のためだけに事業所に移動する回数を減らし、訪問と訪問の間のスキマ時間を活用することができるので、業務効率化を進めることができます。

連絡業務の効率化

ケアマネ業務の中で、関係者・関係機関への連絡・調整業務は、時間を要する業務です。

電話は、主に1対1の連絡で使用するため、複数の関係者へ一件一件電話をかける必要があります。また、メールは、主に1対1の連絡と、1対複数の通知に使用するため、チームメンバーでの情報共有には向いていません。

コミュニケーションツールを利用することで、複数人への一斉連絡やチームメンバー間でのやり取りを共有できるので、情報共有を効率化することができます。

サービス担当者会議のオンライン開催

オンライン会議システムを利用すれば離れている場所でも会議に参加することができます。

令和3年度の介護報酬改定において、サービス担当者会議の開催でテレビ電話の活用が正式に認められています(利用者等の同意を得ることが前提)。

厚生労働省が行った調査では約56%の事業所がサービス担当者会議に「必要に応じてオンラインを活用している」と回答。すでに半数以上の事業所で導入が進んでいることが分かります。

さらに、オンラインで利用できる「日程調整ツール」の併用もおすすめです。候補日時をリストで共有し、各々が都合の良い時間を選ぶだけで候補日を明確にできるので、手間を削減して会議の日程調整を行うことができます。

(1)介護サービス事業者における業務継続に向けた取組状況の把握及びICTの活用状況に関する調査研究事業(結果概要)(案)

ケアマネ業務にICTを導入するまでの流れ

ここでは居宅介護支援事業所にICTを導入するまでの流れを説明します。

どの業務の、どの部分に時間がかかっているかを特定する

やみくもに「効率化したい」と考えるのではなく、「どの業務の、どの部分に時間がかかっているのか」を特定してリストアップします。

課題の例

どのICTツールを導入するか比較・検討する

課題を解決できそうなツールについての情報を収集し、ピックアップします。導入するICTツールはすぐに決めるのではなく、複数のツールを比較・検討することをおすすめします。

どう使うかのルールを決める

事業所内の運用ルールを定めておかないと混乱や問題が発生するおそれがあります。そのため、導入するツールが決まったら、それをどのように運用するのかルールを決めましょう。

運用ルールの例

マニュアルの作成や研修を行う

ルールが決まったらマニュアルの作成や研修を実施しましょう。

マニュアルは、ソフトやツールのベンダーが用意しているものを活用できると作成の手間を省けます。

研修では、「できた」という小さな成功を積み重ねてもらうことが大切なので、確実にできる簡単な課題から始めて、「使わされている」ではなく「使うと業務が楽になる」ということが実感できるように説明すると良いでしょう。

ケアマネ業務にICTを導入するとき注意するべきポイント

ICT導入でよくある失敗は、「導入したけど操作が難しくて使いこなせない(一部の機能しか使わない)」ことです。

「直感的に使えるか?」「使いやすいか?」という視点から導入するツールを選定しましょう。

また、操作でわからないことがあった場合、カスタマーサポートに問い合わせできるかどうかで業務が止まってしまう時間が変わります。サポート体制が整っているツールを選ぶようにしましょう

まとめ

ICTを活用することで、ケアマネ業務の中で「大変だ」と感じていた業務にかけていた時間を大幅に削減できます。ICTを積極的に活用することで、本来注力すべきケアマネジメント業務に充てる時間を増やすことができます。

大切なのはICTの導入そのものをゴールにしないことです。導入によって自身や事業所の課題がどう解決されるのかという視点を持ち、業務改善に繋げましょう。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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