居宅介護支援(ケアマネ)の請求の流れと注意点を解説
居宅介護支援事業所の請求業務を行うことになった皆様は、「具体的にどのようなことをするの?」、「どのようなことに注意すればいいの?」といった疑問をお持ちではないでしょうか?
この記事では、居宅介護支援事業所における介護保険請求業務について、作成する書類や業務の流れ、注意点、ミスを減らす方法などをご紹介します。
目次
- 居宅介護支援(ケアマネ)の請求業務とは?
- 居宅介護支援(ケアマネ)の介護報酬請求業務で作成する書類
- 居宅介護支援(ケアマネ)の請求業務の流れ・スケジュール
- 居宅介護支援(ケアマネ)の請求業務における注意点
- 居宅介護支援(ケアマネ)の請求業務でミスを減らす方法
- まとめ
居宅介護支援(ケアマネ)の請求業務とは?
居宅介護支援の介護保険請求業務
居宅介護支援における介護保険請求業務(レセプト)とは、提供した介護保険サービスの対価である介護給付費を国民健康保険団体連合会(以下、国保連)に請求する業務を指します。
介護報酬の請求では、サービス提供月の翌月の10日までに、サービス提供の実績から介護給付費請求書、介護給付費明細書、給付管理票を作成し、インターネット経由で国保連へ伝送します。
居宅介護支援の介護報酬の構造
居宅介護支援の介護報酬は、基本報酬に各種加算・減算の項目を加減した単位数を計算し、国保連に請求します。
居宅介護支援の基本報酬
居宅介護支援の基本報酬は、「取扱件数」と「要介護度」によって以下のように単位数が変わります。
また、取扱件数は「ケアプランデータ連携システム」と「事務員の配置」によって変わりますので、ここでは、「ケアプランデータ連携システム」と「事務員の配置」を行わない居宅介護支援費(Ⅰ)について記載します。
| 種類 | 取扱件数 | 要介護度1・2 | 要介護度3・4・5 |
|---|---|---|---|
| 居宅介護支援費(ⅰ) | 45件未満の部分 | 1,086単位 | 1,411単位 |
| 居宅介護支援費(ⅱ) | 45件以上60件未満の部分 | 544単位 | 704単位 |
| 居宅介護支援費(ⅲ) | 60件以上の部分 | 326単位 | 422単位 |
居宅介護支援の加算・減算の種類
居宅介護支援には、事業所の体制や提供するサービスに応じて、以下のような加算・減算を適用して算定します。
| 加算・減算名 | 名称 |
|---|---|
| 加算 | 特定事業所加算 |
| 初回加算 | |
| 特定事業所医療介護連携加算 | |
| 入院時情報連携加算 | |
| 通院時情報連携加算 | |
| 退院・退所加算 | |
| ターミナルケアマネジメント加算 | |
| 緊急時等居宅カンファレンス加算 | |
| 中山間地域等における小規模事業所加算 | |
| 中山間地域等に居住する者へのサービス提供加算 | |
| 特別地域居宅介護支援加算 | |
| 減算 | 特定事業所集中減算 |
| 運営基準減算 | |
| 同一建物減算 | |
| 高齢者虐待防止措置未実施減算所 | |
| 業務継続計画未策定減算 |
居宅介護支援(ケアマネ)の介護報酬請求業務で作成する書類
居宅介護支援では、介護報酬を請求する際、以下の3つの書類を作成し、国保連へ伝送します。
介護給付費請求書
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介護給付費明細書(様式7)
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給付管理票
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居宅介護支援(ケアマネ)の請求業務の流れ・スケジュール
居宅介護支援の請求業務は、以下のような流れ・スケジュールで進めます。
このように請求業務を進めることで、サービス提供月の約2か月後に国保連から振込があります。
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居宅介護支援(ケアマネ)の請求業務における注意点
介護報酬の請求業務で注意点として、「返戻」と「過誤」についても把握しておきましょう。
返戻とは
返戻とは、事業所が請求した内容や金額に不備が見つかり、国保連から事業所へ介護給付費明細書が戻されることを言います。
返戻になると、請求した分の介護報酬が予定通りの日程で入金されないことになります。
よくある返戻の事由
- 保険者番号や被保険者番号、認定有効期間の入力間違い、氏名の漢字間違いなど利用者情報に誤りがある。
- 作成区分「修正」の給付管理票が提出されたが、修正のもとになる「新規」の給付管理票が提出されていない。
- 既に提出済の給付管理票があるにも関わらず、再度作成区分「新規」の給付管理票を提出した。
- 過去に該当する介護給付費請求明細書を提出済みだが、誤って当該介護給付費請求明細書を作成し提出した。
過誤とは
過誤とは、事業所が国保連に対して請求し、支払いを受けた金額について誤りがあることを言います。
こちらは、誤った金額で入金されていることになるので、返金し、正しい金額で再度請求する必要があります。
よくある過誤の内容
- 加算を間違って算定した、または算定が漏れていた。
- 生活保護などの公費番号を間違って入力した、または入力が漏れていた。
- サービス提供の実績がないのに誤って請求してしまった。
居宅介護支援(ケアマネ)の請求業務でミスを減らす方法
ここでは、請求業務のミスを減らすための具体的な方法を3つ紹介します。
チェック体制の強化
請求業務においてチェックすべき項目をリスト化し、国保連へ伝送する前にチェックする体制を強化することでミスを減らすことができます。
また、事業所に複数人のスタッフがいる場合は、ダブルチェックする体制を構築するのも良いでしょう。
他の事業所との情報連携体制の見直し
サービス事業所が提出した介護給付費請求明細書と居宅介護支援事業所が提出した給付管理票の内容が違うことから返戻になる場合があり、情報連携の体制を構築・強化することでミスを防げる場合があります。
連絡するケースの明確化、伝達する情報、連絡方法などを見直すことで情報連携の体制の強化を図りましょう。
介護ソフトの導入
介護ソフトには、データ内の不整合や必須項目の入力漏れなどをアラートで知らせてくれる機能があるので、介護ソフトを導入することで、居宅介護支援の請求業務のミスを減らすことができます。
また、利用者の基本情報やアセスメント、ケアプラン、モニタリングの情報などを一元的に管理することができるので、請求業務だけではなくケアマネジャーが行う業務全般の効率化が図れます。
まとめ
ここまで、居宅介護支援事業所における介護保険請求業務について、作成する書類や業務の流れ、注意点、ミスを減らす方法などをご紹介してきましたが、いかがでしたでしょうか。
居宅介護支援事業所のケアマネジャーが行う請求業務は、自事業所の収入だけでなく、利用者様が利用している介護サービス事業所の収入にも影響する大切な業務です。
請求業務のミスをできるだけ減らせるように、「チェック体制の強化」、「他の事業所との情報連携の強化」、「他の事業所との情報連携体制の見直し」、「介護ソフトの導入」などを検討しましょう。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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