登録施設介護支援とは?議論されている人員基準、運営基準、報酬の方向性を解説
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有料老人ホーム制度の見直しにともない、登録制の対象となる有料老人ホーム(以下、登録有料老人ホーム)の入居者を対象とした新たなケアマネジメントのサービス種別として「登録施設介護支援」「登録施設介護予防支援」が創設されます。
令和8年10月28日に開催された第272回社会保障審議会介護給付費分科会では、人員基準や運営基準、報酬についての対応案が示されました。
本記事では、登録施設介護支援・登録施設介護予防支援の概要や居宅介護支援との違い、人員基準・運営基準の案、報酬の方向性、既存の居宅介護支援事業所への影響について解説します。
※本記事は分科会で示された対応案をもとに作成しています。
今後の議論により内容が変更される可能性がありますので、最新の情報は厚生労働省の公表資料をご確認ください。
参考資料:第272回社会保障審議会介護給付費分科会【資料2】登録施設介護支援・登録施設介護予防支援(改定の方向性)
登録施設介護支援・登録施設介護予防支援とは
登録施設介護支援・登録施設介護予防支援とは、登録有料老人ホームの入居者に対し、ケアマネジメント等を行う事業所として創設されるサービス種別です。
社会福祉法等の一部を改正する法律(令和8年法律第51号)により、有料老人ホームのうち、中重度の要介護者など入居者保護の必要性が特に高い方を入居対象とするホームについて、登録制が導入されます。
これにあわせて、登録有料老人ホームの入居者に対し、ケアプランの作成と地域とのつながりへの支援を一体的に行う新たな相談支援のサービス種別が創設されます。
要介護者を対象とするものが登録施設介護支援、要支援者を対象とするものが登録施設介護予防支援です。
また、特定施設入居者生活介護の指定を受けた介護付有料老人ホームは対象外です。
創設の背景
有料老人ホームには、住まいと介護サービスを一体的に提供する「介護付有料老人ホーム」と、必要な介護サービスを外部事業所から利用する「住宅型有料老人ホーム」の2類型があります。
| 区分 | 施設数 | 定員数 |
|---|---|---|
| 有料老人ホーム全体 | 約2万5千棟 | 約95万名 |
| 住宅型有料老人ホーム | 約2万棟(うち、サ高住約7千棟) | 約63万名(うち、サ高住約24万名) |
| 介護付有料老人ホーム(特定施設) | 約5千棟(うち、サ高住約800棟) | 約32万名(うち、サ高住約3万8千名) |
資料では、中重度の要介護者の増加などにより両者は機能的に近接している一方、制度上の位置付けには大きな差があり、その均衡確保が課題とされています。
また、住宅型有料老人ホームでは、併設・隣接事業所の利用への限定や誘導による入居者の選択の制約、過剰な介護サービスの提供といった、いわゆる「囲い込み」の課題も指摘されています。
こうした課題を受けて、制度の見直しでは主に次の内容が盛り込まれました。
- 登録制対象の住宅型有料老人ホームについて、ケアマネジメントを行う事業者と介護サービス事業者の独立性を確保する措置の導入
- ケアプランの作成と地域生活相談を包括的に提供する新たな相談支援類型(登録施設介護(予防)支援)の導入
- 介護付有料老人ホームなどとの均衡の観点から、新たな相談支援類型について利用者負担(原則として1割)を求めること
対象となる利用者
| 区分 | 対象者 |
|---|---|
| 登録施設介護支援 | 要介護者であって、登録有料老人ホームの居室で介護を受ける方 |
| 登録施設介護予防支援 | 要支援者であって、登録有料老人ホームの居室で支援を受ける方 |
改正後の介護保険法では、居宅介護支援・介護予防支援の定義から「登録有料老人ホームにおける居室において介護(支援)を受ける者」が除かれています。
つまり、登録有料老人ホームの入居者に対するケアマネジメントは、居宅介護支援・介護予防支援ではなく、登録施設介護支援・登録施設介護予防支援として行われることになります。
また、特定施設入居者生活介護の指定を受けた介護付有料老人ホームは、登録有料老人ホームの対象外となります。
主なサービス内容
登録施設介護支援のサービス内容は、改正後介護保険法第8条第24項に定められます。
主な内容は次のとおりです。
| サービス内容 | 概要 |
|---|---|
| ケアプラン(登録施設サービス計画)の作成 | 利用者の心身の状況などを入居する登録有料老人ホームの設置者から聴取し、利用者・家族の希望などを勘案したうえで作成 |
| サービス事業者との連絡調整 | ケアプランに基づくサービス提供を確保するため、指定居宅サービス事業者などとの連絡調整などを実施 |
| 地域生活相談 | 利用者が地域での活動に参加するための援助を実施 |
| 施設への紹介 | 介護保険施設などへの入所が必要な場合に紹介などを実施(登録施設介護支援のみ) |
いつから始まるのか
具体的な日付は現時点で示されていません。
有料老人ホーム制度の見直しの施行日は、項目により「令和9年4月1日」「法律の公布後2年以内に政令で定める日」「法律の公布後3年以内に政令で定める日」とされています。
登録施設介護(予防)支援の施行時期については、有料老人ホームの登録制の施行後、既存の有料老人ホームの移行に係る経過措置期間が終了する時期が想定されています。
登録有料老人ホーム・登録施設介護(予防)支援・介護サービスの関係性
新たな仕組みでは、「登録有料老人ホーム」と「登録施設介護支援(ケアマネジメント)」、「介護サービス事業所」の3つの事業主体の間で、以下のように役割を担い、それぞれの独立性と透明性を制度上担保するとされています。
| 主体 | 主な役割 |
|---|---|
| ① 登録有料老人ホームの事業者 | 居室・食事の提供など |
| ② 登録施設介護(予防)支援の事業者 | ケアプランの作成、介護サービスの調整、地域生活相談(地域活動などへの参加の支援) |
| ③ 介護サービスの事業者 | 介護サービスの提供 |
居宅介護支援との違い
登録施設介護支援は、居宅介護支援の枠組みを基本としつつ、登録有料老人ホームからの情報聴取や地域生活相談、利用者負担などが加わる点が特徴です。
主な違いは以下のようになっています。
| 項目 | 居宅介護支援 | 登録施設介護支援 |
|---|---|---|
| 対象者 | 居宅の要介護者(登録有料老人ホームの居室で介護を受ける方を除く) | 登録有料老人ホームの居室で介護を受ける要介護者 |
| 作成する計画 | 居宅サービス計画 | 登録施設サービス計画 |
| 情報聴取 | 本人、家族、関係者 | 本人、家族、関係者(入居するホームの設置者を含む) |
| 地域生活相談 | なし | 地域活動などへの参加を援助 |
| 人員 | 介護支援専門員、管理者 | 介護支援専門員、地域生活相談員(兼務可)、管理者 |
| 利用者負担 | なし | 原則として1割 |
| 逓減制 | 取扱件数の超過部分のみに低い単価を適用 | 居宅介護支援との合計の利用者数で判断し、利用者全体に分散して低い単価を適用 |
【案】登録施設介護(予防)支援の人員基準
登録施設介護支援・登録施設介護予防支援の人員基準について、次の案が示されました。
いずれも、既存の居宅介護支援事業者や地域包括支援センターがあわせて担うことを想定した内容です。
登録施設介護支援の人員基準
人員については、あわせて実施する居宅介護支援事業所の人員と一体的に取り扱う案が示されています。
| 職種 | 基準(案) |
|---|---|
| 介護支援専門員 | 常勤で1人以上配置(利用者44人に対し介護支援専門員1人を基準。ケアプランデータ連携システムを利用する場合は49人に対し1人) |
| 地域生活相談員 | 1人以上配置(介護支援専門員または社会福祉主事等。介護支援専門員との兼務も可) |
| 管理者 | 居宅介護支援と同様の要件 |
登録施設介護予防支援の人員基準
登録施設介護予防支援は、介護予防支援と同様に、事業所が地域包括支援センターか指定居宅介護支援事業者かによって基準が異なります。
人員については、あわせて実施する介護予防支援事業所の人員と一体的に取り扱う案が示されています。
| 職種 | 地域包括支援センターの設置者の場合 | 指定居宅介護支援事業者の場合 |
|---|---|---|
| 担当職員 | 事業所ごとに担当職員を1人以上配置 | 事業所ごとに介護支援専門員を1人以上配置 |
| 地域生活相談員 | 1人以上配置(介護支援専門員または社会福祉主事等。介護支援専門員との兼務も可) | 1人以上配置(介護支援専門員または社会福祉主事等。介護支援専門員との兼務も可) |
| 管理者 | 事業所ごとに常勤専従の者を配置 | 登録施設介護支援の場合と同様 |
【案】登録施設介護(予防)支援の運営基準
登録施設介護支援の運営基準は、原則として居宅介護支援に準じた規定を置いたうえで、創設の趣旨を踏まえて次の4つの規定を追加する案が示されています。
登録施設介護予防支援の運営基準は、同様に趣旨を踏まえた規定を追加する案が示されています。
| No. | 追加される規定(案) |
|---|---|
| 1 | 登録有料老人ホームとの密接な連携に努めること |
| 2 | 法定代理受領サービスに該当するサービスを提供した際に、利用者から利用者負担額の支払いを受けること |
| 3 | アセスメント結果などに加え、登録有料老人ホームから提供を受けた利用者の情報などを踏まえてケアプランを作成すること |
| 4 | 地域生活相談の検討状況や支援内容をケアプランに位置付け、その実施状況を記録すること |
登録施設介護(予防)支援の報酬の方向性
登録施設介護支援・登録施設介護予防支援の報酬について、具体的な単位数は示されておらず、今後の議論で決まる見込みです。
基本報酬は、居宅介護支援・介護予防支援と同様の枠組みを前提としつつ、地域生活相談を実施することや、集合住宅であることを踏まえた報酬設定とすることが提示されています。
また、逓減制は、既存の居宅介護支援事業者があわせて担うことを想定し、居宅介護支援との合計の利用者数で判断することが示されました。
ただし、居宅介護支援のように超過部分の利用者にのみ低い単価を適用すると、利用者負担を徴収する登録施設介護支援では利用者間で負担額が異なってしまうため、登録施設介護支援の利用者全体に分散して低い単価を適用する仕組みとする案が示されています。
加算・減算については、原則として居宅介護支援・介護予防支援に準じつつ、サービスの特性を踏まえた内容とすることが示されています。
既存の居宅介護支援事業所への影響と指定・みなし指定の扱い
登録施設介護支援は、既存の居宅介護支援事業者があわせて担うことが想定されています。
そのため、既存の事業者に関する「みなし指定」の規定が設けられています。
現に指定を受けている事業所の「みなし指定」
現に居宅介護支援の指定を受けている事業者は、施行日から6年を超えない範囲で政令で定める日までの間、登録施設介護支援の指定を受けたものとみなされます。
介護予防支援の指定を受けている事業者も同様に、登録施設介護予防支援の指定を受けたものとみなされます。
登録施設介護支援の指定と居宅介護支援の指定の関係
新たに登録施設介護支援の指定を受けた場合は、その事業所について居宅介護支援事業所としての指定も受けたものとみなされます(別段の申出をした場合を除く)。
登録施設介護予防支援の指定を受けた場合も、介護予防支援事業所としての指定を受けたものとみなされます。
なお、地域包括支援センターは、登録施設介護予防支援の一部を登録施設介護支援事業者に委託できるとされています。
まとめ
登録施設介護支援・登録施設介護予防支援は、有料老人ホームの登録制導入にあわせて創設される新たなケアマネジメントのサービス種別です。
施行はまだ先ですが、住宅型有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅の入居者を担当している居宅介護支援事業所にとっては、業務や事務への影響はとても大きいです。
今後、介護給付費分科会での議論を経て、基準や単位数の詳細が示される見込みです。
最新の情報を確認しながら、早めに準備を進めていきましょう。
株式会社エス・エム・エス
カイポケメディア編集部
カイポケメディア編集部には、看護師や社会福祉士をはじめ、介護事業所の運営経験者、介護ソフトの導入サポート経験者など、幅広い知見を持つメンバーが在籍しています。
制度と現場の実務に精通した視点から、介護事業所の開業、日々の業務効率化、経営改善に役立つ情報を発信しています。
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