訪問介護の就業規則の書き方とは?登録ヘルパーの就業規則のモデルひな形も無料でご用意!



※こちらの記事は、2023年5月時点の情報を基に作成した記事となっております。

訪問介護事業所を運営している中で、人事制度の変更等を行うタイミングがあるでしょう。

そのような時に、「就業規則も変更した方がいいの?」や「就業規則をどのように変更すればいいの?」といった疑問が浮かんでくるかもしれません。

この記事では、訪問介護事業所の経営者・管理者の皆様に向けて、就業規則を見直す際のルールや方法などを解説しています。

目次

就業規則とは?

就業規則とは、職場内のルールについて定めた事業所における規則集です。

労働基準法などに基づく最低限度の基準を遵守した上で、事業所が独自に定めるルールを記載し、労使双方が就業規則を守ることで、労働条件などに関する無用なトラブルを防ぐために作成されています。

就業規則のルールとは?

就業規則の作成・変更についてのルールは、労働基準法に定められています。

(法令及び労働協約との関係)

第九十二条 就業規則は、法令又は当該事業場について適用される労働協約に反してはならない。

② 行政官庁は、法令又は労働協約に牴触する就業規則の変更を命ずることができる。

引用元:労働基準法

就業規則は職場内で守らなければならないルールですが、法令で定められた基準に達していない項目については、その部分が無効になります。

例えば、「有給休暇を付与しない」と記載しても、法令で定められた基準に達していないため、有給休暇の付与義務はなくなりません。

それでは、就業規則の作成義務や、記載事項のルールなどについて詳しく見ていきましょう。

就業規則の作成義務とは?

労働基準法には、就業規則の作成義務がある事業者の範囲が定められています。

(作成及び届出の義務)

第八十九条 常時十人以上の労働者を使用する使用者は、次に掲げる事項について就業規則を作成し、行政官庁に届け出なければならない。次に掲げる事項を変更した場合においても、同様とする。

引用元:労働基準法

このように、パートタイマーも含めて従業員の人数が常時10人以上の事業所は、就業規則の作成義務があります。

就業規則に定める項目とは?

就業規則に記載が必要な項目についても、労働基準法で定められています。

【就業規則に記載する内容の分類】

就業規則に記載する内容について、それぞれ詳しく見ていきます。

就業規則の絶対的記載事項とは?

絶対的記載事項とは、就業規則に必ず記載しなければならない項目のことで、以下の事項が挙げられます。

就業規則の相対的記載事項とは?

相対的記載事項とは、事業所において制度として定めた場合には必ず記載しなければならない項目のことで、以下の事項が挙げられます。

就業規則の任意的記載事項とは?

任意的記載事項とは、就業規則に記載するかどうかは自由である項目のことで、以下の事項が挙げられます。

就業規則の書き方・記載例とは?【登録ヘルパーの場合 】

ここからは、訪問介護事業所の従業員の多くを占める、登録ヘルパーにおける就業規則の記載例をご紹介していきます。

絶対的記載事項の記載例

所定労働時間

第〇条 (所定労働時間)

登録ヘルパーの所定労働時間は、1週40時間以内とする。

2.登録ヘルパーの勤務日及び所定労働時間並びに月間労働時間については、本人の就労可能申告と訪問先利用者の希望を考慮し、月間勤務表により決定する。

会社都合による休業

第〇条 (会社都合による休業)

会社は必要に応じて登録ヘルパーに対し休業を命じることができる。休業したときには1日につき平均賃金の100分の60に相当する額を休業手当として支給する。

2.前項の会社が労働時間の一部について休業を命じた場合、当該労働日の賃金が平均賃金の100分の60に満たない場合には、その差額を休業手当として支給する。

解雇の事由

第〇条 (解雇の事由)

会社は、登録ヘルパーが次の各号のいずれかに該当する場合は解雇する。

◆普通解雇

(1)精神又は身体の障害により、業務に耐えられないと認められるとき

(2)勤務成績又は勤務態度が著しく不良で、改善の見込みがないとき

◆整理解雇

(3)事業の縮小又は廃止、その他事業の運営上やむを得ない事情により、登録ヘルパーの減員が必要になったとき

◆懲戒解雇

(4)懲戒解雇に該当する事由があるとき

◆その他

(5)その他前各号に準ずるやむを得ない事由があるとき

相対的記載事項の記載例

災害補償

第〇条 (災害補償)

登録ヘルパーが業務上負傷し、又は疾病にかかったときは、労働基準法の規定に従って必要な補償を行う。

2.前項により補償を受けるべき者が、同一の事由について労働者災害補償保険法に基づいて、前項の災害補償に相当する保険給付を受けるべき場合においては、その給付額の限度において前項の規定を適用しない。

3.登録ヘルパーが業務上の疾病・負傷により休業するとき、休業期間は、年次有給休暇の算定年数及び勤続年数に通算するものとする。

4.登録ヘルパーが業務外の傷病にかかったときは、健康保険法により扶助をうけるものとする。

制裁と損害賠償との関係

第〇条 (制裁と損害賠償との関係)

故意又は重大な過失によって当社に損害を及ぼした者は、制裁に付するとともに損害の一部又は全部を賠償させることがある。

任意的記載事項の記載例

休職

第〇条 (休職)

登録ヘルパーの休職はこれを設けない。

2.業務外の傷病その他私的な理由により、就労不能となった場合、就労不能となった日から14日経過しても就労できない場合、14日経過した日をもって退職となる。

私的なインターネット上の情報発信

第〇条 (私的なインターネット上の情報発信)

会社で得た情報は機密情報となるので、開示及び掲載は厳禁とする。

  1. 登録ヘルパーがプライベートでソーシャルメディアを利用する場合、次に定める事項を遵守しなければならない。

(1)会社に関する情報を投稿しないこと。

(2)プライベートの時間に個人として利用する場合も、会社の一員であることの自覚と責任を持ち、関連する法令や本章に規定する服務規律等を遵守すること。

(3)一度ネットワーク上に公開された情報は完全には削除できないことを理解し、その内容について誤解を招かぬよう留意すること。

(4)個人の発信した情報が会社全体の評価となりうることを理解し、責任ある行動をすること。

(5)他者を傷つけたり、誤解を生じさせたりした場合には、誠実に対応するとともに、正しく理解されるよう努めること。

(6)業務指示又は業務に関するやり取りはしないこと。

(7)次に掲げる情報を発信しないこと。

(ア)不敬な言い方を含む情報

(イ)人種、思想、信条等の差別、又は差別を助長させる情報

(ウ)わいせつな内容又は、わいせつな内容を含むホームページへのリンク

(エ)会社と利害関係にある者や団体・企業等の秘密に関する情報

(オ)従業員、他人、会社の悪口、従業員の安全を脅かす恐れのある情報

(カ)その他公序良俗に反する一切の情報

3.前各項に違反した場合や会社に損害を与えた場合には、懲戒処分及び損害賠償の対象となることがある。

就業規則の周知方法とは?

就業規則は、事業所の見やすい場所への掲示、書面の交付などによって、従業員に周知する必要があります。

【就業規則の周知方法】

就業規則を変更する際の手順とは?

労働基準法には、就業規則を変更する際には必ず労働者側の意見を聞かなければならないと定められています。

(作成の手続)

第九十条 使用者は、就業規則の作成又は変更について、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者の意見を聴かなければならない。

② 使用者は、前条の規定により届出をなすについて、前項の意見を記した書面を添付しなければならない。

引用元:労働基準法

就業規則を変更した際の流れは以下のようになります。

【就業規則の変更手順】

  1. 変更した就業規則を従業員へ周知する。
  2. 労働組合(労働者の過半数で組織している場合)または労働者の過半数を代表する従業員からの意見を聞く。
  3. 変更した就業規則に意見書を添付し、所轄の労働基準監督署に届け出る。(労働者数が10人未満の場合、届出は不要)。

訪問介護の就業規則の改善・見直しをするタイミングとは?

就業規則に記載されている事項は、事業所の現状と合致している必要がありますから、定期的な見直しをすることが大切です。

【就業規則を見直すタイミング】

就業規則に関する専門家は社会保険労務士

訪問介護事業所で現行の就業規則を改善したい場合、自力で見直しをする方法もありますが、改善の方法が分からない場合は、就業規則の専門家である社会保険労務士への相談を検討してみましょう。

まとめ

ここまで、就業規則の作成・変更時のルールや、訪問介護事業所で就業規則を見直す際の手順などについて解説してきましたが、いかがでしたでしょうか。

事業所を運営していく中で、人事制度の変更等を行うタイミングや法律の改正が行われるタイミングは訪れます。そのような時に、適切に就業規則の見直しを行えるよう、労働基準法などの理解を進めていくことが大切です。

最後までお読みいただきありがとうございました。

【監修者情報】 トリプルグッド社会保険労務士法人

トリプルグッド社会保険労務士法人は、トリプルグッドグループのメンバーファームとして、トリプルグッド税理士法人、トリプルグッド司法書士法人、トリプルグッド行政書士法人、トリプルグッド法律事務所、トリプルグッドウェルスマネジメント株式会社、トリプルグッド株式会社など、さまざまな専門家が連携し、ワンストップでのサービスを提供。介護特化部門を擁し介護事業者の支援に力をいれている。

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