訪問介護で必要な帳票・様式を一覧でご紹介!



訪問介護事業所の立ち上げを検討している皆様の中には、「訪問介護事業所は、どんな帳票を作成する必要があるの?」や「運営指導(実地指導)では、どのようなことをチェックされるの?」といった疑問をお持ちの方もいらっしゃるでしょう。
こちらの記事では、訪問介護の運営指導(実地指導)でチェックされる帳票を一覧でご紹介するほか、訪問介護を運営する上で必要になる帳票について利用する場面ごとに分けて解説します。

計画書の写真

目次

訪問介護の運営指導(実地指導)でチェックされる帳票の一覧

訪問介護を開業するにあたっては、指定申請から人材採用、日々の記録、請求業務にかかわるものまで、膨大な量の帳票を準備する必要があります。
こうした帳票類は、運営指導(実地指導)で作成・保管状況を確認されるほか、サービスの質向上や経営改善のための判断材料にもなり得ます。
運営指導とは、指定権者が原則として事業所を訪問し、法令が遵守されているかどうか等を確認することを言います。法令を遵守した事業所運営ができていないと、悪質な場合は指定取消しになることもありますので、運営指導で指摘を受けないためにも、作成しなければならない帳票は必ず作成し、日頃から適切に保管・管理しておきましょう。

【訪問介護の運営指導で確認される文書(帳票・様式)の一覧】

  1. 重要事項説明書
  2. 利用契約書
  3. サービス担当者会議の記録
  4. 居宅サービス計画
  5. サービス提供記録
  6. 訪問介護計画
  7. アセスメントシート
  8. モニタリングシート
  9. 勤務実績表
  10. 勤務体制一覧表
  11. 請求書
  12. 領収書
  13. 介護保険番号、有効期限等を確認している記録
  14. 緊急時対応マニュアル
  15. 運営規程
  16. 雇用の形態(常勤・非常勤)がわかる文書
  17. 研修計画、実施記録
  18. 業務継続計画、研修および訓練計画、実施記録
  19. 感染症及び食中毒の予防及びまん延防止のための対策を検討する委員会名簿、委員会の記録
  20. 感染症及び食中毒の予防及びまん延の防止のための指針
  21. 感染症及び食中毒の予防及びまん延の防止のための研修の記録及び訓練の記録
  22. 個人情報同意書
  23. 従業者の秘密保持誓約書
  24. パンフレット/チラシ
  25. 苦情の受付簿
  26. 苦情者への対応記録
  27. 苦情対応マニュアル
  28. 事故対応マニュアル
  29. 市町村、家族、居宅介護支援事業者等への報告記録
  30. 再発防止策の検討の記録
  31. ヒヤリハットの記録
  32. 虐待防止委員会の開催記録
  33. 虐待の発生・再発防止の指針
  34. 虐待防止の研修及び訓練計画、実施記録
  35. 虐待防止の担当者を設置したことが分かる文書
  36. 利用者台帳
  37. 加算に関する計画書、記録、報告書等
  38. 就業規則、給与規程
    など

このように、訪問介護の運営指導で確認される帳票は、38種類にものぼります。この中からいくつかの帳票・様式をピックアップし、サービス提供、請求業務、事業所運営・管理に分類してご紹介していきます。

訪問介護のサービス提供に関する帳票・様式

訪問介護のサービス提供に関する帳票は、利用契約書・重要事項説明書、訪問介護計画書、サービス提供記録、モニタリングシートなどが挙げられます。

訪問介護の利用契約書・重要事項説明書とは

訪問介護の利用契約書とは、訪問介護サービスの利用を開始するにあたって、事業者と利用者様との間で取り交わす法的拘束力をもつ書類です。一方、重要事項説明書とは、契約書の内容について個別具体的に説明するための書類で、契約に関する重要で詳細な事項を説明するための書類です。
介護保険サービスは、事業者と利用者様との「契約」によってサービスを利用する仕組みとなっています。ですから、サービスの利用開始をする際には、利用者様またはご家族にサービスの内容について説明を行い、契約書と重要事項説明書に署名をもらう必要があります。
こちらの記事では、訪問介護の重要事項説明書の記入例と、契約書・重要事項説明書のひな形をご用意しています。

訪問介護契約書

訪問介護計画書とは

訪問介護計画書とは、訪問介護サービスを提供するにあたって、利用者様の心身の状況や本人の希望などを踏まえて、長期・短期目標やサービス提供内容などを記載する書類です。
訪問介護計画書は、居宅介護支援事業所のケアマネジャーがあらかじめ作成したケアプランに基づき、利用者様にはじめてサービスを提供する前までに作成します。また、ケアプランが更新された際には、新しいケアプランに合わせて訪問介護計画書も作成し直す必要があります。
こちらの記事では、訪問介護計画書の記入例と無料のひな形をご用意しています。

訪問介護計画書

訪問介護のサービス提供記録とは

サービス提供記録とは、訪問介護サービスを提供した際に、利用時間や利用者様の健康状態、提供した介護サービスの内容などを記録するための様式です。
また、サービス提供記録は介護給付費を算定する根拠として運営指導(実地指導)の際に確認される重要な書類です。
こちらの記事では、サービス提供記録の書き方と無料のひな形をご用意しています。

サービス実施記録票(訪問介護)

モニタリングシートとは

モニタリングシートとは、訪問介護計画書に記載した目標が達成されているかどうかを評価し、記入する書類です。サービスの利用開始後、定期的に利用者様一人ひとりに対して作成します。
モニタリングシートには、サービスの実施状況や利用者様およびご家族の満足度、今後の方針などについて記載します。

訪問介護の請求業務に関する帳票・様式

訪問介護の請求業務に関する帳票は、介護給付費請求書、介護給付費明細書、利用者請求書などが挙げられます。

介護給付費請求書とは

介護給付費請求書とは、訪問介護事業所が1カ月の間に提供したサービスに対する介護給付費を国民健康保険団体連合会(国保連)に請求するために作成する書類です。介護給付費請求書には、サービス提供年月や請求先、請求日、保険請求の種類や金額などを記載します。
介護報酬を受け取るためには、介護給付費明細書と共に介護給付費請求書を国保連へデータで伝送する必要がありますので、請求ソフトを使い毎月これらの書類をデータとして作成することになります。
こちらの記事では、介護給付費請求書について詳しく説明しています。

介護給付費請求書

介護給付費明細書とは

介護給付費明細書とは、サービス提供の実績から利用者ごとの介護給付費を計算し、国保連への請求額や利用者負担額などを算出するための様式です。介護給付費明細書には、介護給付費明細欄や請求額計算欄がありますので、必要事項を記載します。
こちらも毎月、介護給付費請求書と共に作成し、国保連へデータで伝送することになります。
こちらの記事では、介護給付費明細書について詳しく説明しています。

居宅サービス地域密着型サービス介護給付費明細書

利用者請求書とは

利用者請求書とは、利用者様に対して利用者負担金を請求する際に作成する書類です。こちらもサービス提供があった際には毎月作成する必要があります。
利用者請求書には、費用総額や介護保険給付額(国保連への請求分)などの内訳も記載します。
エクセルなどで入力して作成することもできますが、介護請求ソフトを使用することで、介護給付費請求書・介護給付費明細書、利用者請求書を簡単に作成することができます。

利用料請求書

訪問介護の事業所運営・管理に関する帳票・様式

訪問介護の事業所運営に関する帳票は、勤務体制一覧表、雇用契約書、研修計画などが挙げられます。

勤務体制一覧表とは

勤務体制一覧表とは、訪問介護の人員体制が人員基準を満たしていることを証明するための書類で、指定申請を行う際に必要となります。
勤務体制一覧表には、事業所の職員の

などを記載します。

勤務体制一覧表

雇用契約書とは

雇用契約書とは、職員と雇用契約を結ぶ際に事業者が作成する書類です。雇用期間や賃金、就業場所などの雇用条件を記載します。
労働基準法では、職員を雇用する際に労働条件を明示することが義務付けられているため、職員を採用する前までに、事業所に合わせた雇用契約書のフォーマットを作成しておきましょう。

労働条件通知書兼雇用契約書(パートタイマー)

訪問介護の研修計画とは

研修計画とは、年間を通して従業員に対して行う研修の予定月や研修内容、対象者などを記載する書類です。
訪問介護の運営基準には「事業者は、訪問介護員等の資質の向上のために、その研修の機会を確保しなければならない。」と定められているほか、業務継続計画や虐待の防止に関する研修の実施が義務付けられていますので、研修計画を策定して、計画的に研修を実施する必要があります。

職員研修計画

まとめ

ここまで、訪問介護の運営指導(実地指導)でチェックされる帳票を一覧でご紹介し、そうした訪問介護で必要な帳票についてご紹介してきましたが、いかがでしたでしょうか。
訪問介護を開業する際に準備する帳票は、訪問介護計画書やサービス提供記録といったサービス提供時に利用するもの、介護給付費請求書や明細書といった請求業務時に利用するもの、勤務体制一覧表や研修計画といった事業所運営・管理で利用するものまで様々ありました。いざ開業した際に「あの帳票が足りない!」とならないためにも、必要な帳票をリストアップして準備を進めましょう。
最後までお読みいただきありがとうございました。

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