訪問介護重要事項説明書の記入例と雛形。契約書との違いは?



訪問介護事業所の開業準備を進めている皆様の中には、「訪問介護事業所で使える契約書や重要事項説明書のひな形はないかな?」や「契約ってどうやって進めればいいの?」、「訪問介護事業所では契約時に印鑑をもらう必要があるの?」といった疑問をお持ちの方もいらっしゃるかもしれません。
この記事では、訪問介護の契約書と重要事項説明書の違いや記載する項目、利用者様との契約までの流れ、契約書作成時の注意点などについてご紹介していきます。

書類に記入する高齢の男女の写真

目次

訪問介護の契約書とは

訪問介護事業所の契約書とは、介護保険サービスのひとつである訪問介護サービスを利用するにあたって、事業者と利用者様の間で交わす法的拘束力をもつ書面です。
訪問介護の運営基準には「内容と手続きの説明および同意」という項目が定められているため、サービスの提供をする前には、必ず契約書の内容を説明し、双方の合意が必要となります。

(内容と手続きの説明および同意)
第八条 指定訪問介護事業者は、指定訪問介護の提供の開始に際し、あらかじめ、利用申込者又はその家族に対し、第二十九条に規定する運営規程の概要、訪問介護員等の勤務の体制その他の利用申込者のサービスの選択に資すると認められる重要事項を記した文書を交付して説明を行い、当該提供の開始について利用申込者の同意を得なければならない。
2 指定訪問介護事業者は、利用申込者又はその家族からの申出があった場合には、前項の規定による文書の交付に代えて、第五項で定めるところにより、当該利用申込者又はその家族の承諾を得て、当該文書に記すべき重要事項を電子情報処理組織を使用する方法その他の情報通信の技術を利用する方法であって次に掲げるもの(以下この条において「電磁的方法」という。)により提供することができる。この場合において、当該指定訪問介護事業者は、当該文書を交付したものとみなす。
一 電子情報処理組織を使用する方法のうちイ又はロに掲げるもの
イ 指定訪問介護事業者の使用に係る電子計算機と利用申込者又はその家族の使用に係る電子計算機とを接続する電気通信回線を通じて送信し、受信者の使用に係る電子計算機に備えられたファイルに記録する方法
ロ 指定訪問介護事業者の使用に係る電子計算機に備えられたファイルに記録された前項に規定する重要事項を電気通信回線を通じて利用申込者又はその家族の閲覧に供し、当該利用申込者又はその家族の使用に係る電子計算機に備えられたファイルに当該重要事項を記録する方法(電磁的方法による提供を受ける旨の承諾又は受けない旨の申出をする場合にあっては、指定訪問介護事業者の使用に係る電子計算機に備えられたファイルにその旨を記録する方法)
二 磁気ディスク、シー・ディー・ロムその他これらに準ずる方法により一定の事項を確実に記録しておくことができる物をもって調製するファイルに前項に規定する重要事項を記録したものを交付する方法
3 前項に掲げる方法は、利用申込者又はその家族がファイルへの記録を出力することによる文書を作成することができるものでなければならない。
4 第二項第一号の「電子情報処理組織」とは、指定訪問介護事業者の使用に係る電子計算機と、利用申込者又はその家族の使用に係る電子計算機とを電気通信回線で接続した電子情報処理組織をいう。
5 指定訪問介護事業者は、第二項の規定により第一項に規定する重要事項を提供しようとするときは、あらかじめ、当該利用申込者又はその家族に対し、その用いる次に掲げる電磁的方法の種類及び内容を示し、文書又は電磁的方法による承諾を得なければならない。
一 第二項各号に規定する方法のうち指定訪問介護事業者が使用するもの
二 ファイルへの記録の方式
6 前項の規定による承諾を得た指定訪問介護事業者は、当該利用申込者又はその家族から文書又は電磁的方法により電磁的方法による提供を受けない旨の申出があったときは、当該利用申込者又はその家族に対し、第一項に規定する重要事項の提供を電磁的方法によってしてはならない。ただし、当該利用申込者又はその家族が再び前項の規定による承諾をした場合は、この限りでない。
(引用:指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準)

利用者様にサービス提供を行う前に必ず使用することになる書類ですから、訪問介護の事業開始をする前までに契約書の様式を作成しておく必要があります。

訪問介護契約書

訪問介護の契約書に記載する項目

訪問介護の契約書には以下の項目を記載します。

【訪問介護の契約書に記載する項目】

  • 契約の目的
  • 契約期間
  • 個別サービス計画の作成及び変更
  • 提供するサービスの内容及びその変更
  • 利用料等の支払い
  • 利用料の変更
  • 利用料の滞納
  • 利用者の解約権
  • 事業者の解約権
  • 契約の終了
  • 損害賠償
  • 守秘義務
  • 苦情処理
  • サービス内容等の記録の作成及び保存
  • 契約外条項
  • 利用者の氏名
  • 事業者の代表者氏名
    など

訪問介護の重要事項説明書と契約書の違い

契約書は訪問介護サービスを利用するにあたっての同意を得るための書類である一方、重要事項説明書は契約を取り交わす上で説明しなければならない重要な情報を記載している書類になります。
ですので、利用者様やご家族の「本当にこの事業所と契約を交わしてもいいかどうか?」という疑問を解消するためにも、重要事項説明書には契約書よりもより詳しく、具体的に、事業所の体制やサービス内容について記載することになります。

契約書別紙兼重要事項説明書

訪問介護の重要事項説明書に記載する項目

訪問介護の重要事項説明書には以下の項目を記載します。

【訪問介護の重要事項説明書に記載する項目】

  • 事業者(法人)の概要
  • 事業所の概要
  • 事業の目的と運営の方針
  • 提供するサービスの内容
  • 営業日時
  • 事業所の職員体制
  • サービス提供の責任者
  • 利用料(基本利用料、加算、減算等)
  • キャンセル料
  • 支払い方法
  • 緊急時における対応方法
  • 事故発生時の対応
  • 苦情相談窓口
  • 第三者による評価の実施状況等
  • サービスの利用にあたっての留意事項
    など

訪問介護の利用者様との契約の流れ

訪問介護事業所が利用者様やご家族と契約を結ぶまでの流れは以下のようになります。

【訪問介護事業所と利用者様との契約までの流れ】

それでは、一つひとつの段階で行うことについてご紹介していきます。

契約の流れ①契約に必要な書類のフォーマットを作成

契約書や重要事項説明書のフォーマットを作成します。契約書や重要事項説明書には、前述している内容を記載し、作成したフォーマットの内容について不安な場合は、所轄官庁に相談しましょう。
また、契約時には、利用者様の個人情報を使用する目的や条件などについて定める「個人情報同意書」も忘れずに準備しておきましょう。

契約の流れ②利用者様またはご家族と面談

利用者様またはそのご家族と面談を行い、利用者様の心身の状況や置かれている環境、他の保健医療サービスまたは福祉サービスの利用状況、ご家族の要望等について情報を得ます。
そして、事業所が提供するサービスの内容や提供範囲などについて説明を行い、利用申込の意思を確認します。

契約の流れ③契約書と重要事項説明書を印刷・準備

利用者様と契約を行う前に、以下の点に留意して、契約書や重要事項説明書を準備します。

契約の流れ④説明・契約

面談にて事業所のことを理解していただき、利用申込を受けたら、契約を結ぶことになります。
契約時は、契約書と重要事項説明書、パンフレット等を用いて契約の内容を説明し、利用者様またはご家族の同意を得て、契約を取り交わすことになります。契約についての説明は、自事業所の事業内容について理解している必要があるので、サービス提供責任者が担当することが多いようです。

令和3年(2021年)度からは電子契約が可能に

令和3年(2021年)度の介護報酬改定では、事前に利用者様およびご家族等の承諾を得ることで、契約書を電子化することが認められました。
利用者様等へ渡す書類の電子化などについては、以下のような省令改正が行われています。

訪問介護の契約書・重要事項説明書を作成する際の注意点

訪問介護事業所で契約書・重要事項説明書を作成する際の注意点をご紹介していきます。

契約書作成の注意点①数値の間違いがないようにする

契約書や重要事項説明書には、事業所の情報や利用料金などを記入することになります。契約日時点の数値を記入する際には、間違いがないように注意しましょう。
特に、人員配置に関しては、入社や退社で変動する可能性が高く、その都度確認しましょう。

契約書作成の注意点②署名や押印欄の有無は指定権者に確認する

契約書や重要事項説明書等への押印について、「押印についてのQ&A(令和2年6月19日内閣府・法務省・経済産業省)」では以下のように示されています。

Q1.契約書に押印をしなくても、法律違反にならないか。
私法上、契約は当事者の意思の合致により、成立するものであり、書面の作成及びその書面への押印は、特段の定めがある場合を除き、必要な要件とはされていない。
特段の定めがある場合を除き、契約に当たり、押印をしなくても、契約の効力に影響は生じない。
(引用元:押印についてのQ&A(令和2年6月19日内閣府・法務省・経済産業省))

介護サービスの契約書等の押印についても、押印欄をなくして署名のみで問題がないと周知している指定権者もあります。契約書を作成する際は、指定権者に押印欄が省略可能か確認しましょう。

契約書作成の注意点③不備があると運営指導で指摘を受ける可能性も

契約書や重要事項説明書の適切な作成は運営基準にも定められています。数年に一度実施される運営指導(実地指導)でも契約書や重要事項説明書の作成状況によって、サービス提供前に利用者様に対してサービスの内容の説明と同意をもらっているか確認されることになります。
ですから、もしも契約書や重要事項説明書の内容に不安がある場合は、指定権者に問い合わせてみることも検討しましょう。兵庫県のように、「 重要事項説明書及び契約書のガイドライン(令和3年版)」といった文書を公開している自治体もあります。

運営指導(実地指導)で契約書について確認される項目

運営指導では、指定権者が事業所を訪問し、指定基準を満たした運営ができているかどうか、適正に介護報酬を請求しているかどうかなどについて確認されます。
運営指導で指摘を受けないためにも、確認される項目について理解し、作成・保管しておくことが大切です。

確認項目 確認文書
  • 利用申込者又はその家族への説明と同意の手続きを取っているか
  • 重要事項説明書の内容に不備等はないか
  • 重要事項説明書 (利用申込者又は家族の同意があったことがわかるもの)
  • 利用契約書
  • 個人情報の利用に当たり、利用者(利用者の情報)及び家族(利用者家族の情報)から同意を得ているか
  • 個人情報同意書

契約書作成の注意点④利用者様・ご家族が分かりやすいように記載する

契約書や重要事項説明書は、利用者様およびご家族にその内容を理解してもらわないといけません。そのため、記載する内容は平易な文章で記載し、専門用語や外来語等には解説を加えましょう。また、高齢者が読みやすいようにフォントサイズやフォントの色にも配慮しましょう。

訪問介護の契約書・重要事項説明書のひな形を無料ダウンロード!

訪問介護事業所で利用できる契約書・重要事項説明書のひな形をご用意しました。無料でダウンロードできますのでぜひご活用ください。
※こちらのひな形ファイルに関しては、ユーザー様の責任にてご利用ください。また、ご利用の際には、行政からの通知、事業所の最新の状況等に応じて、項目や内容を編集してください。

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まとめ

ここまで、訪問介護の契約書と重要事項説明書の違いや記載する項目、利用者様との契約までの流れ、契約書作成時の注意点などについてご紹介してきましたが、いかがでしたか。
契約書と重要事項説明書は利用者様にサービス提供を開始するために必要となりますから、訪問介護事業所の開業日までには準備しておきましょう。こちらからダウンロードできるひな形もぜひご活用ください。
最後までお読みいただきありがとうございました。

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