障害福祉の訪問サービスでスマホを活用するコツは?導入方法やメリット・デメリットを解説
本記事では、障害福祉の訪問サービス(居宅介護、重度訪問介護、同行援護、行動援護等)にスマートフォン(以下、スマホ)を導入するメリット・デメリット、導入の流れや活用のコツなどをまとめています。
目次
- 障害福祉の訪問サービスでスマホを活用する目的
- 障害福祉の訪問サービスにスマホを導入する方法
- 障害福祉の訪問サービスでスマホを導入するメリット・デメリット
- スマホを導入する際の5つのステップ
- スマホを活用するコツ
- まとめ
障害福祉の訪問サービスでスマホを活用する目的
障害福祉の訪問サービスにおいて、スマホなどのICT機器を導入する主な目的は「記録業務の効率化」と「リアルタイムな情報共有」です。
記録業務の効率化
サービス提供記録の作成において、手書き運用では以下の課題が発生しやすくなります。
- 事業所に戻ってからの転記作業によるタイムラグ
- 手書き文字の判読困難や読み間違い
- サービス提供時間の計算ミス
スマホやタブレットを活用し、現場で入力を行うことで、これらの事務作業時間を削減し、正確な記録を残すことが可能となります。
リアルタイムな情報共有
利用者の体調変化や急な予定変更が発生した際、スマホの電話機能やチャットツールを用いて即座に管理者やサ責へ報告・連絡・相談を行う場面で活用することができます。
特に、直行直帰のヘルパーが多い事業所では、対面以外の確実な通信手段として機能します。
障害福祉の訪問サービスにスマホを導入する方法
事業所がスマホを導入する方法は、主に「レンタル」「購入」「職員の私用端末の活用(BYOD)」の3つのパターンに分類されます。
なかでも、セキュリティと業務管理の観点から、事業所が「レンタル」または「購入」して職員にスマホを支給することが推奨されています。
レンタルする
業者から端末を借り受ける方法です。
初期費用を抑えやすく、故障時のサポートがあらかじめサービスに含まれているケースが多い点が特徴です。
購入する
事業所が端末を買い取る方法です。
長期にわたり利用し続ける場合は、レンタルと比較してトータルコストが安くなる可能性があります。
一方で、購入時の初期投資が必要となるほか、故障時の対応や資産管理の手間が発生します。
職員の私用端末を利用する(BYOD)
BYODとは「Bring Your Own Device」の略で、職員個人の端末を業務に使用することを意味します。
端末導入のコストは低く抑えられますが、セキュリティ管理が技術的に困難です。
また、公私混同のリスクや、通信費の精算方法に関する課題があります。
障害福祉の訪問サービスでスマホを導入するメリット・デメリット
事業所にスマホを導入するかどうかの判断にあたっては、以下のようなメリットとデメリットを把握しておきましょう。
メリット
1. 業務効率化に繋がる
スマホと記録ソフトやアプリを導入することで、サービス提供記録の作成・保管をデジタル化できます。
手書き特有の「文字の読み間違い」や「時間の計算ミス」がなくなり、また、記録を確認しながら実績を転記するような業務もなくなります。
2. 地図アプリの活用ができる
スマホの地図アプリを活用することで、利用者宅への訪問ルートの確認や同行援護の行き先へのルート確認を効率化することができます。
交通機関の遅延情報などもリアルタイムで取得できるため、円滑な移動に役立ちます。
3. リアルタイムでの情報共有が可能になる
チャットツールや記録ソフトの共有機能をスマホで使うことによって、申し送り事項を瞬時に全スタッフへ共有することができます。
重度訪問介護において長時間のサービス提供中でも適切なタイミングで情報を共有することができるようになります。
4. サービスの質の向上
スマホを導入し、間接業務(記録・移動・報告)の時間を削減することで、利用者へのケアやより良いサービスを提供するための検討など、本来の業務に充てる時間を確保できます。
5. 直行直帰が実現する
スマホを導入することで、紙の記録票を提出するために事業所へ立ち寄る必要がなくなり、移動時間や交通費の削減につながります。
デメリット
1. セキュリティ対策の負担
利用者情報(個人情報)を取り扱うため、紛失・盗難時のロック機能設定、ウイルス対策ソフトの導入、閲覧権限の管理など、厳格なセキュリティ対策が必要になるため、そのための業務が発生します。
2. 導入・運用コスト
端末代金、通信費、記録ソフトの利用料などの金銭的コストが発生します。
3. 教育・定着への労力
スマホの操作に不慣れな職員がいる場合、操作説明や研修を行うための業務が発生します。
また、操作に慣れるまでの間は、一時的に現場の負担感が増す可能性があります。
スマホを導入する際の5つのステップ
円滑な導入・定着のためには、以下の段階を踏むことが推奨されます。
1. 課題の整理
現状の業務フローにおける課題を定量的に把握します。
2. スマホ導入目的の明確化
「何のために導入するのか」を定義します。
「記録時間を50%削減する」「直行直帰を週3日可能にする」など、具体的な数値目標を設定します。
3. 職員への説明・研修体制の整備
現場職員に対し、導入の意図と操作方法を説明します。
マニュアルの作成や、操作に関する相談窓口になる担当者を設置し、不安を解消する体制を整えます。
4. 試験導入から本格導入へ段階的に進める
全職員一斉導入ではなく、まずはスマホ操作に慣れている職員から試験的に導入することも方法の一つです。
運用上の不具合や課題を洗い出し、改善してから全体へ展開します。
5. 運用ルールを整備して見直し続ける
「業務時間外の連絡ルール」や「端末の持ち出し規定」などの運用ルールを策定します。
運用開始後も、実態に合わせてルールや設定の見直しを継続します。
スマホを活用するコツ
記録ソフト・請求ソフトとの連携
スマホを導入するだけでなく、障害福祉サービスに対応した業務支援ソフトを導入することで、業務効率化等の効果を最大化できます。
自事業所が運営しているサービス種別に対応していて、予定管理、記録、請求などの機能があるソフト・アプリとセットで導入を検討しましょう。
セキュリティ対策の徹底
端末管理システム(MDM)の導入や、パスワード管理を徹底することで、スマホを導入することでリスクを減らすことができます。
個人情報保護法およびガイドラインに準拠した運用を目指しましょう。
「紙に戻らない」ルールの設定
スマホやソフト・アプリに慣れることができない職員は、「紙」に戻ろうとすることがあります。
スマホやソフトに慣れてもらうためには使い続けることが大切なので、「〇月〇日以降、紙の記録票は廃止する」といった明確な期限を設け、退路を断つ運用が、定着のポイントとなります。
まとめ
障害福祉の訪問サービスにおいても、人材不足解消や生産性向上の観点からICT化が求められています。
スマホの導入は、記録業務の効率化だけでなく、直行直帰による働き方改革やケアの質の向上に繋がります。
導入にあたっては、コストとセキュリティを考慮する必要があります。
「カイポケモバイル」のようなレンタルサービスであれば、初期費用を抑えつつ、社用携帯として職員のプライバシーを守りながら運用を開始することが可能です。
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