【開業】介護事業の助成金



介護事業所・施設を開業したいと考えている方の中には、「開業する時に使える助成金はあるの?」や「助成金の金額や受給要件は?」などといった疑問をお持ちの方もいらっしゃるでしょう。
この記事では、介護事業所を開業する際や、開業後の事業所運営で活用できる助成金・補助金の受給金額や要件、開業資金の調達方法などについてご紹介していきます。

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目次

助成金・補助金とは

助成金・補助金とは、一定の条件を満たし審査に通過した事業主が、国や公共団体等から支給を受けることができる、返済の必要がない資金です。
助成金と補助金の違いとして、

  • 助成金は、長期間にわたり募集が行われていることが多いため、支給条件を満たせば交付を受けられる可能性が高い。助成の金額は少ない。
  • 補助金は、一定の期間だけ募集が行われ施策に対しての予算が決まっていることから、申請しても交付を受けられないことがある。補助の金額は多い。

といった点が挙げられます。

介護事業・施設の主な助成金・補助金の一覧

介護事業所を立ち上げる際や開業後に活用できる助成金・補助金は、以下のようになります。

対象となる時期 助成金・補助金の種類
開業時に活用できる助成金・補助金
  • 事業再構築補助金
  • 創業助成金(東京都)
  • 若手・女性リーダー応援プログラム助成事業(東京都)
  • 創業者支援事業助成金(富山県魚津市)
    など
開業後に活用できる助成金・補助金
  • 人材確保等支援助成金(介護福祉機器助成コース)
  • 働き方改革推進支援助成金(労働時間短縮・年休促進支援コース)
  • 介護ロボット導入支援事業費補助金(北海道)
  • IT導入補助金
    など

ここではそれぞれの助成金・補助金について、2023年11月時点の情報を元に支給金額や申請要件などの概要をご紹介していきますが、詳細については各助成金・補助金の募集要項をご覧ください。

介護事業・施設の開業・起業時に活用できる助成金・補助金

ここからは、介護事業を開業する際に活用できる助成金・補助金の受給金額や要件などについてご紹介していきます。
開業時に活用できる助成金・補助金は、国の主導により行われているもののほか、各都道府県や市町村により行われているものまで様々なので、ご自身が開業を予定している自治体で独自の助成金や補助金があるかどうかを開業前に調べてみましょう。

事業再構築補助金

事業再構築補助金は、ポストコロナ・ウィズコロナ時代の経済社会の変化に対応するために中小企業等の事業再構築を支援することを目的として、新分野展開、事業転換、業種転換、業態転換、または事業再編を行う中小企業などに受給される補助金です。
事業再構築補助金には、「成長枠」、「産業構造転換枠」などの8つが設けられています。ここでは、例として成長枠の支給金額や申請要件についてご紹介していきます。

事業再構築補助金(成長枠)の受給金額

従業員数 補助上限額 補助率
20人以下 2,000万円 【中小企業】
1/2
(大規模な賃上げを行う場合 2/3)


【中堅企業】
1/3 (大規模な賃上げを行う場合 1/2)
21~50人 4,000万円
51~100人 5,000万円
101人以上 7,000万円

事業再構築補助金(成長枠)の受給金額

  • 業計画について認定経営革新等支援機関の確認を受ける
  • 補助事業終了後3~5年で付加価値額の年率平均4.0%以上増加、または従業員一人当たり付加価値額の年率平均4.0%以上増加させる
  • 取り組む事業が、過去~今後のいずれか10年間で、市場規模が10%以上拡大する業種・業態(※)に属している
  • 事業終了後3~5年で給与支給総額を年率平均2%以上増加させる
    ※対象となる業種・業態は、事務局が指定

創業助成金(東京都)

創業助成金は、東京都内の開業率の向上を目的とし、東京都中小企業振興公社が実施している創業助成事業です。都内で創業予定の個人または創業から5年未満の中小企業者等に対して、賃借料、広告費、従業員人件費等、創業初期に必要な経費の一部が助成されます。

創業助成金の受給金額

  • 助成限度額・・・上限額300万円、下限額100万円
  • 助成率・・・助成対象と認められる経費の2/3以内

創業助成金の受給対象経費

  • 賃借料
  • 広告費
  • 器具備品購入費
  • 産業財産権出願・導入費
  • 専門家指導費
  • 従業員人件費

創業助成金の受給要件

  • 都内で創業予定の個人または、都内で事業を行う事業を始めてから5年未満の個人事業主・法人代表者
  • 指定された19の創業支援事業のいずれかを利用し、所定の要件を満たしている
  • 申請を行う事業等が下記を満たしている
     ◦所定の年数以上事業活動を実施できる
     ◦助成対象期間内に事業を実施できる
      など
  • 納税地が都内である
  • 所定の要件に該当する助成金・補助金の 重複助成・補助を受けない
    など

若手・女性リーダー応援プログラム助成事業(東京都)

若手・女性リーダー応援プログラム助成事業は、都内商店街で女性または若手男性が新規開業をするに当たり、店舗の新装または改装および設備導入等に要する経費の一部を助成することにより、商店街における開業者の育成及び支援を行い、都内商店街の活性化を図ることを目的に、東京都中小企業振興公社が実施している助成事業です。

若手・女性リーダー応援プログラム助成事業(東京都)の受給金額

若手・女性リーダー応援プログラム助成事業(東京都)の受給金額は、以下のような

経費区分 助成率 申請区分
事業所整備費(店舗新装・改築工事費、設備・備品購入費、宣伝広告費) 3/4以内 400万円
実務研修受講費 2/3以内 6万円
店舗賃借料 3/4以内 1年目:180万円(15万円/月)
2年目:144万円(12万円/月)

経費区分により限度額が設けられているほか、全体の限度額が730万円となっています。

若手・女性リーダー応援プログラム助成事業(東京都)の受給要件

若手・女性リーダー応援プログラム助成事業(東京都)の受給要件は以下のようになっています。

  • 開業日(開店予定日)が、申請する回の交付決定日以降であること
  • 女性又は令和6年3月31日時点で39歳以下の男性であること
  • 「創業予定の個人」もしくは「個人事業主」であること
  • 申請予定店舗が「都内商店街」であること
  • 申請時点で都内に限らず実店舗を持っていないこと
    など

創業者支援事業助成金(富山県魚津市)

富山県魚津市における創業者支援事業助成金は、富山県魚津市で新規創業する事業者に対して助成金を交付し、起業を支援するために設けられた助成金です。改装助成金か奨励金のどちらかを選択する必要があり、貸店舗賃助成金との併用も可能です。

創業者支援事業助成金(富山県魚津市)の受給金額

創業者支援事業助成金(富山県魚津市)の受給金額は以下のようになっています。

種類 対象経費 助成金額 限度額
改装助成金 店舗等の改装工事にかかる費用 対象経費の1/3 50万円
奨励金 新規創業にかかる費用 10万円 10万円
店舗賃助成金 居住誘導区域内の貸店舗で創業する場合の店舗賃借料(営業初日から12月分) 対象経費の1/3 20万円

創業者支援事業助成金(富山県魚津市)の受給要件

創業者支援事業助成金(富山県魚津市)の受給要件は、下記のいずれにも該当することが必要です。

  • 魚津市内において新規創業し又は新規創業する予定であり、かつ、3年以上事業を継続する見込みのあること
  • 魚津中小企業相談所の指導を受けていること
  • 魚津市から企業立地・山村地域立地助成金の交付を受けていないこと
  • 市税等を滞納していないこと

また、上記の要件を満たしている場合でも以下の事業は対象外となります。

  • 風営法の許可又は届出を要する事業
  • 宗教活動又は政治活動を目的とする事業
  • 事業承継により開始する事業
  • フランチャイズ契約に基づく事業及びそれに類する事業
  • 1週間の営業日数が年間平均して3日以下である事業
    など

介護事業・施設の開業後に活用できる助成金・補助金

ここからは、人材採用や機器導入など、介護事業を開業した後に活用できる助成金・補助金の受給金額や要件などについてご紹介していきます。

人材確保等支援助成金(介護福祉機器助成コース)

人材確保等支援助成金(介護福祉機器助成コース)は、介護事業主が介護福祉機器の導入等を通じて、離職率の低下に取り組んだ場合に支給される助成金です。

人材確保等支援助成金(介護福祉機器助成コース)の受給金額

人材確保等支援助成金(介護福祉機器助成コース)の受給金額は、導入した制度等に応じて以下の表の通りです。

助成対象費用 受給額
介護福祉機器の導入費用(利子を含む) 【目標達成助成】
左記の合計額の20%
(賃金要件を満たした場合は35%)
※上限150万円
保守契約費
機器の使用を徹底させるための研修

人材確保等支援助成金(介護福祉機器助成コース)の受給要件

人材確保等支援助成金(介護福祉機器助成コース)を受給するためには、介護事業主が以下の措置を実施することとされています。

  • 導入・運用計画の認定
  • 介護福祉機器の導入等
  • 1と2を実施した結果、導入・運用計画期間の終了から1年経過するまでの期間の離職率を、導入・運用計画を提出する前1年間の離職率よりも、下表の目標値以上に低下させること(ただし、離職率の上限は30%)。
対象事業所における雇用保険一般被保険者の人数区分 1~9人 10~29人 30~99人 100~299人 300人以上
低下させる離職率(目標値) 15% 10% 7% 5% 3%

人材確保等支援助成金(介護福祉機器助成コース)の対象となる介護福祉機器

人材確保等支援助成金(介護福祉機器助成コース)の対象となる介護福祉機器は以下のようになっています。

  • 移動・昇降用リフト(立位補助器、非装着型移乗介助機器を含む。)
  • 装着型移乗介助機器
  • 体位変換支援機器
  • 特殊浴槽

働き方改革推進支援助成金(労働時間短縮・年休促進支援コース)

働き方改革推進支援助成金(労働時間短縮・年休促進支援コース)は、生産性を向上させ、労働時間の削減や年次有給休暇の促進に向けた環境整備に取り組む中小企業事業主に支給される助成金です。
受給対象となる取組みをいずれか1つ以上実施し、それぞれの取組に対して以下の「成果目標」1から3のうち1つ以上を選択し、その達成状況に応じて助成金が支給される仕組みとなっています。
【設定する成果目標】

  • 全ての対象事業場において、令和5年度又は令和6年度内において有効な36協定について、時間外・休日労働時間数を縮減し、月60時間以下、又は月60時間を超え月80時間以下に上限を設定し、所轄労働基準監督署長に届け出を行うこと
  • 全ての対象事業場において、年次有給休暇の計画的付与の規定を新たに導入すること
  • 全ての対象事業場において、時間単位の年次有給休暇の規定を新たに導入し、かつ、特別休暇(病気休暇、教育訓練休暇、ボランティア休暇、新型コロナウイルス感染症対応のための休暇、不妊治療のための休暇、時間単位の特別休暇)の規定をいずれか1つ以上を新たに導入すること
    ※上記の成果目標に加えて、対象事業場で指定する労働者の時間当たりの賃金額の引上げを3%以上行うことを成果目標に加えることができます。

働き方改革推進支援助成金(労働時間短縮・年休促進支援コース)の受給対象の取組み

働き方改革推進支援助成金(労働時間短縮・年休促進支援コース)の受給対象となる取組みは、以下のいずれか1つ以上となっています。

  • 労務管理担当者に対する研修
  • 労働者に対する研修、周知・啓発
  • 外部専門家(社会保険労務士、中小企業診断士など) によるコンサルティング
  • 就業規則・労使協定等の作成・変更
  • 人材確保に向けた取組
  • 労務管理用ソフトウェアの導入・更新
  • 労務管理用機器の導入・更新
  • デジタル式運行記録計(デジタコ)の導入・更新
  • 労働能率の増進に資する設備・機器等の導入・更新

働き方改革推進支援助成金(労働時間短縮・年休促進支援コース)の受給金額

働き方改革推進支援助成金(労働時間短縮・年休促進支援コース)の受給金額は、以下のうちいずれか低い方の金額となっています。

  • 成果目標1から3の上限額および賃金加算額の合計額
  • 対象経費の合計額×補助率3/4※
    ※常時使用する労働者数が30人以下かつ、支給対象の取組で6から9を実施する場合で、その所要額が30万円を超える場合の補助率は4/5

働き方改革推進支援助成金(労働時間短縮・年休促進支援コース)の受給要件

働き方改革推進支援助成金(労働時間短縮・年休促進支援コース)の受給要件は、以下のようになっています。

  • 労働者災害補償保険の適用事業主であること
  • 交付申請時点で、「成果目標」1から3の設定に向けた条件を満たしていること
  • 全ての対象事業場において、交付申請時点で、年5日の年次有給休暇の取得に向けて就業規則等を整備していること

介護ロボット導入支援事業費補助金(北海道)

厚生労働省は介護ロボットの開発・普及を促進しており、様々な自治体で介護ロボット導入支援事業が行われています。ここでは、北海道における介護ロボット導入支援事業費補助金についてご紹介します。
北海道における介護ロボット導入支援事業費補助金は、介護ロボット・ICT機器は、介護従事者の身体的負担の軽減や業務の効率化に有効であるものの、一般的に高額であることから、介護ロボット・ICTの普及促進のため、機器を購入する事業所に対して給付される補助金です。

介護ロボット導入支援事業費補助金(北海道)の受給金額

北海道における介護ロボット導入支援事業費補助金の受給金額は、事業に応じて以下の表の通りです。

事業の区分 補助上限額 補助率
介護ロボット導入事業 1機器あたり30万円
※移乗介護及び入浴支援を目的とする介護ロボットについては、1機器あたり、100万円
1/2以内
見守り機器の導入に伴う通信環境整備 1事業所あたり 750万円 1/2以内
ICT導入事業 1事業所あたり職員数に応じて、次に掲げる補助上限額
  • 1名~10名 100万円
  • 11名~20名 160万円
  • 21名~30名 200万円
  • 31名~260万円
1/2以内

介護ロボット導入支援事業費補助金(北海道)の受給要件

北海道における介護ロボット導入支援事業費補助金の受給要件は、以下のようになっています。

  • 介護保険法(平成9年12月17日法律第123号)に基づく介護サービス事業者の指定を受けた北海道内に所在する施設・事業所のうち、交付要綱に規定している施設・事業所
  • 介護従事者負担軽減のための介護ロボット等導入計画またはICT導入計画を策定し、導入後の効果を北海道へ報告する
  • 以下の3つのいずれかの事業に当てはまる
     ◦介護ロボット導入事業
     ◦見守り機器の導入に伴う通信環境整備
     ◦ICT導入事業           
    など

介護ロボット導入支援事業費補助金(北海道)の受給対象経費

北海道における介護ロボット導入支援事業費補助金の受給対象経費は、介護ロボット・ICTの購入、リースに契約に係る経費とし、保険料、消費税及び地方消費税は含まないものとするとされています。

IT導入補助金

IT導入補助金とは、中小企業・小規模事業者等が自社の課題やニーズに合ったITツールを導入した場合に経費の一部が支給される補助金です。
IT導入補助金は、通常枠の「A類型」、「B類型」、「セキュリティ対策推進枠」、デジタル化基盤導入枠の「デジタル化基盤導入類型」、「複数社連携IT導入類型」の5つが設けられています。

IT導入補助金については こちらの記事で詳しく解説していますので、よろしければご覧ください。

サービス種別ごとの開業時におすすめの助成金・補助金

通所介護(デイサービス)や訪問介護など、サービス種別ごとの事業所立ち上げ・開業時におすすめの助成金・補助金については、以下の記事で詳しくご紹介しています。

リンク:デイサービスの立ち上げに活用できる助成金・補助金【通所介護の開業準備】
リンク:訪問介護事業所の立ち上げにおすすめな助成金・補助金【開業】

介護事業を開業する際の資金調達方法

介護事業を開業するためには、物件の取得、備品の購入、人材の採用に係る費用や運転資金といった開業資金を確保する必要があります。
こうした開業資金を調達する方法は、助成金や補助金の活用以外にも、金融機関からの融資や知人からの借入など様々な方法が考えられます。
介護事業を開業する際の資金調達方法について、 詳しくはこちらの記事をご覧ください

介護事業所の開業をカイポケが支援します!

介護事業所を開業する際には、助成金・補助金の申請や金融機関からの融資などによって資金調達をする必要があります。それ以外にも開業に向けて、事業計画の作成、法人設立、従業員の採用、利用者獲得のための営業など、経営者がやらなくてはならないことはたくさんあります。
『カイポケ開業支援』では、経営者の皆様が開業準備における不安や疑問をサポートするサービスを提供しています。専任の担当者が一緒に法人設立から事業開始までサポートしておりますので、 詳しくはこちらからお問い合わせいただけると幸いです

まとめ

ここまで、介護事業を開業する際や、開業後の事業所運営で活用できる助成金・補助金の受給金額や要件、介護事業の開業資金の調達方法などについてご紹介してきましたが、いかがでしたか。
国が行っているもの以外にも、都道府県や市町村による独自の助成金・補助金がありますので、少しでも開業資金を確保するためにも、起業前にご自身が開業予定の地域で活用できる助成金・補助金がないか調べてみるのが良いでしょう。
最後までお読みいただきありがとうございました。

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