国保連請求ソフト(簡易入力・伝送通信ソフト)の導入方法を紹介。簡易入力・伝送通信ソフトのデメリットとおすすめの介護請求ソフトとは?



介護事業所を新規で開設する皆様は、介護報酬を請求するためのソフト・システムについて「どのソフトを使えばいいの?」、「国保連の請求ソフト(簡易入力ソフト・伝送通信ソフト)と民間のソフト会社から販売されている介護請求ソフトはどちらがいいの?」と迷っているのではないでしょうか?
この記事では、そのような悩みをお持ちの皆様へ、国保連の請求ソフトの導入方法、国保連の請求ソフトを使うデメリット、おすすめの介護請求ソフトについてご紹介します。
ぜひ最後までお読みください。

介護請求ソフト

目次

国保連請求ソフト(簡易入力・伝送通信ソフト)とは?

国保連請求ソフトとは、国保中央会(国民健康保険中央会)が提供している国保連(国民健康保険団体連合会)への請求情報の作成と伝送を行うためのソフトで、簡易入力ソフトと伝送通信ソフトの2つをまとめて「介護伝送ソフト」という名称で呼ばれています。ソフトの導入・維持にかかるコストが安く、伝送業務に特化している点が国保連伝送ソフトの特徴となっています。

国保連伝送とは?

国保連伝送とは、インターネット回線を使用して介護給付費を請求するために必要なデータを国保連に送信することを指します。
介護サービスの提供を行った場合、事業者は利用者様に請求した費用(所得に応じた負担割合分)を除いた費用について保険者である市町村に請求しますが、市町村は介護給付費の支払いを国保連へ委託しているため、実際には国保連に対して請求を行うことになります。

簡易入力ソフトとは?

簡易入力ソフトとは、利用者情報・事業所情報等のデータを入力・保存し、国保連へ伝送するデータ(介護給付費請求書、介護給付費明細書、給付管理票)を作成するためのソフトです。

伝送通信ソフトとは?

伝送通信ソフトとは、簡易入力ソフトで作成した介護給付費請求書、介護給付費明細書、給付管理票のデータを取り込み、国保連への伝送を行うためのソフトです。作成したデータを送信するだけでなく、国保連からの審査結果や支払通知等の受信をするためにも使います。

国保連請求ソフト(簡易入力・伝送通信ソフト)の機能

国保連請求ソフトの機能は、サービス事業所等から国保連への請求情報作成と伝送業務に特化しているため、とてもシンプルです。

国保連請求ソフトの機能 機能の概要
台帳管理 請求明細書等を作成するための、利用者情報・事業所情報等のデータを入力・保存することができる機能。
請求明細書・給付管理票作成 台帳を参照し、請求明細書・給付管理票を作成する機能。居宅サービス、地域密着型サービス、居宅介護支援、施設サービス、介護予防サービス、地域密着型介護予防サービス、介護予防支援、介護予防・日常生活支援総合事業に対応。
伝送 国保連へ介護給付費請求書・給付管理票等の伝送請求や、国保連からの審査支払結果通知・連絡文書等の受信をする機能。

参考:国保中央会介護伝送ソフトVer.9

国保連請求ソフト(簡易入力・伝送通信ソフト)の料金・価格

国保連請求ソフトは初期費用として以下の表のような電子証明書発行料とソフト利用料が必要です。法改正時に単位数マスタを購入する必要がありますが、保守費用などの維持費用はかかりません。

国保連伝送ソフト利用料 6万円
電子証明書発行料(介護保険請求だけの場合) 1万3,200円
合計 7万3,200円

無料の介護伝送ソフトはあるの?

民間の介護伝送ソフトの中には、無料で利用できるものもあります。フリーの介護ソフトについて、 詳しくはこちらの記事をご覧ください

国保連請求ソフト(簡易入力・伝送通信ソフト)の導入方法

ここからは、国保連請求ソフトを導入する方法について、順を追ってご紹介していきます。

【国保連請求ソフトの導入手順】

  • 動作環境を確認する
  • ソフト利用の申込をする
  • ソフトをインストールする
  • インターネット請求開始の届出を行う
  • 電子請求受付システムの仮パスワードを変更する
  • 電子証明書を取得・インストールする

1.動作環境を確認する

まずは、ご自身の事業所で利用しているパソコンや通信環境が国保連請求ソフトの動作環境を満たしているか確認しましょう。国保連請求ソフトの動作環境は以下の通りです。

OS Windows 8.1(64bit)
Windows 8.1Pro(64bit)
Windows 10 Home(32bit/64bit)
Windows 10 Pro(32bit/64bit)
Webブラウザ Internet Explorer 11
モニター解像度 1280×768ピクセル以上
通信環境 インターネット回線(推奨ADSL以上)
CD-ROMドライブ インストール時に必要

2.ソフト利用の申込をする

国保中央会のホームページ にアクセスして、利用申込書(エクセルファイル)をダウンロードし、事業所番号や利用枚数などの必要事項を記入しましょう。
利用申込書へ記入が完了したら、介護伝送ソフト受付センターに申込書をメール送信します。

3.ソフトをインストールする

国保連請求ソフト(国保中央会介護伝送ソフト Ver.9)が届いたら、ソフトを使用したいパソコンにCR-ROMを読み込みます。CD-ROM内にある「インストールマニュアル」を参照しながら、

  • 伝送請求API
  • 伝送通信ソフト
  • 簡易入力ソフト

をそれぞれインストールしましょう。

4.インターネット請求開始の届出を行う

国保連にインターネット請求開始の届出を行います。各都道府県の国保連によって届出方法が異なりますので、国保連合会のホームページ等で確認しましょう。
届出が承認されるとユーザIDや仮パスワード等が記載されている「電子請求登録結果に関するお知らせ」が届きます。

5.電子請求受付システムの仮パスワードを変更する

「電子請求登録結果に関するお知らせ」に記載されている仮パスワードは、 電子請求受付システムに最初にログインした際、必ず変更する必要があります。

6.電子証明書を取得・インストールする

電子請求受付システムから電子証明書を取得し、インストールします。この際に、電子証明書発行料として1万3,200円(介護保険請求の場合)が必要になってきます。

国保連請求ソフト(国保連請求システム)のメリット

それでは、ここで国保連請求ソフトを導入するメリットをご紹介していきます。

メリット①利用料金が安価

はじめにご紹介した通り、国保連請求ソフトには初期費用(ソフト利用料+電子証明書発行料)、法改正時に単位数マスタの購入費用はかかりますが、それ以外に維持費用はかかりません。
民間の介護ソフトには、購入するタイプや月々の使用料を支払うタイプの料金体系がありますが、それらのソフトはおおよそ月々数千円〜数万円の費用がかかってしまいます。そういった介護ソフトと比較した場合、国保連請求ソフトは、安価なソフトだと言えるでしょう。

メリット②解約金がかからない

国保連請求ソフトは、使用を中止した場合に解約金を支払う必要がありません。そのため、使い勝手が悪かった場合や他のソフトへ乗り換えを行いたい場合などに、利用を中止しやすいこともメリットです。

国保連請求ソフト(国保連請求システム)のデメリット

一方、民間の介護請求ソフトと比較した際に、国保連請求ソフトにはデメリットもあります。

デメリット①利用者様への請求業務ができない

国保連請求ソフトは、国保連への請求業務に特化したソフトのため、利用者様への請求業務はできないというデメリットがあります。介護報酬の利用者負担金の計算をすることはできますが、その他費用の計算や合算をすることができません。
また、多くの民間の介護ソフトに備わっているような、計画書の作成やサービス提供の記録作成、それらから請求データに実績を反映させる機能などはありません。
ですから、介護ソフトを導入して業務効率化を図っていきたいという方にとっては、やや機能面で物足りないかもしれません。

デメリット②転記・複数回の入力業務が発生する

国保連請求ソフトでは、利用者への請求書の発行、口座引き落としデータの作成ができないため、請求書やデータ作成のために違うソフト・システムに複数回同じデータを入力する必要がでてきます。転記をするたびに入力ミスがないかチェックすることになるため、手間がかかってしまいます。

デメリット③入金確認・返戻・再請求に苦労する

国保連請求ソフト上では、国保連への請求分しか支払結果を確認することができません。利用者負担金の入金確認は違う方法で行わなければいけないので手間がかかります。また、返戻があった場合に、国保連請求・利用者負担金請求を別々の方法で行うことになるため、再請求にも手間がかかります。

デメリット④1台のパソコンでしか使えない

国保連請求ソフトは、CD-ROMからパソコンにインストールするタイプのソフトです。1台のパソコンでしか使えないため請求業務に時間がかかり、残業の原因となっているケースが多いようです。

デメリット⑤問い合わせはE-mailかFAXが推奨されている

国保連伝送ソフトのサポート体制は、E-mail、FAX、電話でのヘルプデスクがありますが、原則として、E-Mail、FAXでの問い合わせが推奨されています。E-Mail、FAXでは、ソフトを操作する上で分からないことがあった際に、解決するのに時間がかかってしまう場合もあります。

国保連へ伝送請求する方法

国保連への介護給付費の請求は、サービス提供月の翌月10日までに、インターネットでの伝送、もしくは磁気媒体(CD-R等)の送付により電子請求を行うことが原則となっています。その中でも、伝送に係る業務の手間・時間を削減するために、インターネットでの伝送が主流となっています。
国保連へのインターネット伝送は、国保連請求ソフト(伝送通信ソフト)だけでなく、民間の介護ソフトでも行うことができます。

国保連請求ソフト(伝送通信ソフト)で伝送する場合の手順

  • 簡易入力ソフトで作成した国保連への請求明細書や給付管理票などの請求データを伝送通信ソフトに取り込む
  • 伝送通信ソフトで国保連へ請求データを伝送する
  • データ受付の結果(受付確認処理)を確認する
    ※受付確認処理の結果、「△」となった場合は請求データの修正が必要なため、請求取消依頼を行い、修正後のデータを再度伝送する必要があります。

国保連請求ソフトと民間の介護伝送ソフト・介護保険請求システムとの違い

国保中央会による国保連請求ソフト(簡易入力・伝送通信ソフト)以外にも、民間のベンダーから様々な介護請求ソフトが販売されていますが、国保連請求ソフトと民間の介護請求ソフトには、料金や機能・サービスなどに違いがあります。
例えば料金の面で見ると、国保連請求ソフトは初期費用として電子証明書発行料とソフト利用料が必要ですが、それ以外の費用はかかりません。一方、民間の介護請求ソフトは、月額数千円から数十万円の費用がかかります。
こちらの記事では、料金、機能・サービスなどの観点から、民間の介護ソフトと国保連請求 ソフトとの違いを詳しく比較していますので、 ぜひこちらの記事もご覧ください

民間の国保連への介護伝送ソフトの一覧

ここでは、国保連への伝送機能がある民間の介護ソフトを一覧でご紹介していきます(カイポケより下は五十音順)。

ソフト名 社名
カイポケ 株式会社エス・エム・エス
インフォ・テック介護伝送ソフト 株式会社インフォ・テック
おくる君 株式会社インタートラスト
介護請求伝送サービス 株式会社富士通四国インフォテック
介舟ファミリー 株式会社日本コンピュータコンサルタント
カナミック 株式会社カナミックネットワーク
ケア樹Free 株式会社グッドツリー
けあ蔵 アルティウスリンク株式会社
ケアネットメッセンジャー 株式会社日本ケアコミュニケーションズ
でんそう君 株式会社ハイテックシステムズ
ファーストケア 株式会社ビーシステム
ほのぼのNEXT NDソフトウェア株式会社

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まとめ

ここまで、国保連請求ソフトの機能・料金やメリット・デメリット、国保連請求ソフトを導入する方法などについてご紹介してきましたが、いかがでしたでしょうか。
国保連請求ソフトは利用料金が安いといったメリットがある一方で、民間の介護ソフトに比べると機能が限られていたり、十分なサポート体制がなかったりするといったデメリットもありました。
メリットとデメリットを理解して、国保連請求ソフトにするのか、民間の介護請求ソフトにするのかを決めましょう!
最後までお読みいただきありがとうございました。

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