通所介護計画書とは?記入例と様式ダウンロード
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利用者お一人お一人の状態や希望によって、どのような介護サービスを必要としているのかが大きく異なります。利用者の希望する生活、利用したいサービスに合わせて、ケアマネジャーがケアプランを作成し、その中にデイサービスが位置付けられることで、デイサービスの利用へと繋がっています。 そして、デイサービスではケアプランを基に、それぞれの事業所で具体的にどのようなサービスを実施するかを計画した『通所介護計画書』を作成し、その計画に沿ったサービスの提供を行う必要があります。 今回は、デイサービスの運営において重要な役割を持つ通所介護計画書の書き方と留意点についてご紹介します。ぜひご一読ください。
目次
1.通所介護計画書とは
通所介護計画書とは、通所介護サービスを利用している利用者ごとに、具体的にどのような内容のサービスを提供するのかを記載した計画書です。サービス提供全体の基本的方向性を定めているケアプランに基づいて作成され、通所介護サービスに対する個別支援計画としての役割を担っています。
また、通所介護計画は、事業所の職員間での情報共有ツールとしての役割も担っています。事業所では、常に同じ職員が同じ利用者にサービスを提供しているわけではないので、職員間で利用者の情報を共有しておく必要があり、そのような時にも通所介護計画書が利用されています。情報を共有することで、利用者に必要なサービスの把握だけでなく、サービスの品質の均一化を図ることができるでしょう。
2.通所介護計画書の書き方
基本情報
作成日・前回作成日・初回作成日
通所介護計画書の作成日を記入します。通所介護計画書がすでに作成されていて、それを更新・変更する場合は、前回の作成日、初回の作成日についても記入します。
利用者氏名、性別、生年月日、要介護度
利用者の氏名、ふりがな、性別、生年月日、年齢、要介護度を記入します。
計画作成者
通所介護計画書の作成者の氏名と職種を記入します。
障害高齢者の日常生活自立度
該当する障害高齢者の日常生活自立度に丸を付けます。
なお、障害高齢者の日常生活自立度の判定は以下のようになっています。
障害高齢者の日常生活自立度のランク | 基準 | 区分 |
---|---|---|
J | 何らかの障害等を有するが、日常生活はほぼ自立しており独力で外出する |
J1 交通機関等を利用して外出する
J2 隣近所へなら外出する |
A | 屋内での生活は概ね自立しているが、介助なしには外出しない |
A1 介助により外出し、日中はほとんどベッドから離れて生活する
A2 外出の頻度が少なく、日中も寝たり起きたりの生活をしている |
B | 屋内での生活は何らかの介助を要し、日中もベッド上での生活が主体であるが、座位を保つ |
B1 車椅子に移乗し、食事、排泄はベッドから離れて行う
B2 介助により車椅子に移乗する |
C | 1日中ベッド上で過ごし、排泄、食事、着替において介助を要する |
C1 自力で寝返りをうつ
C2 自力で寝返りもうてない |
認知症高齢者の日常生活自立度
該当する認知症高齢者の日常生活自立度に丸を付けます。
なお、認知症高齢者の日常生活自立度の判定は以下のようになっています。
認知症高齢者の日常生活自立度のランク | 基準 | 区分 |
---|---|---|
Ⅰ | 何らかの認知症を有するが、日常生活は家庭内及び社会的にほぼ自立している。 | - |
Ⅱ | 日常生活に支障を来たすような症状・行動や意思疎通の困難さが多少見られても、誰かが注意していれば自立できる。 |
Ⅱa 家庭外でⅡの状態が見られる
Ⅱb 家庭内でもⅡの状態が見られる |
Ⅲ | 日常生活に支障を来たすような症状・行動や意思疎通の困難さが見られ、介護を必要とする。 |
Ⅲa 日中を中心としてⅢの状態が見られる
Ⅲb 夜間を中心としてⅢの状態が見られる |
Ⅳ | 日常生活に支障を来たすような症状・行動や意思疎通の困難さが頻繁に見られ、常に介護を必要とする。 | - |
M | 著しい精神症状や周辺症状あるいは重篤な身体疾患が見られ、専門医療を必要とする。 | - |
利用者の基本情報
通所介護利用までの経緯
ケアプランや事前情報に書かれている通所介護サービスを利用する経緯や目的、期待される効果等の内容や、担当者会議で話し合われた情報を基に記入します。
利用者本人の希望・家族の希望
通所介護サービスの利用開始前に行う契約の時又は面談や見学の際に、利用者とその家族が希望していることを聞き取って記入します。
利用者本人の社会参加の状況
利用者の社会参加の状況を聞き取って記入します。社会参加の状況は、自治会や町内会、地域行事、ボランティア、趣味活動などについて、現在の参加状況と過去の参加状況を聞き取っておくと良いでしょう。
利用者の居宅の環境
自宅を訪問した際や面談の際に、利用者の居宅での生活空間や使用している福祉用具の設置状況等を把握し記入します。
健康状態
主治医意見書やケアプラン、事前情報等から利用者の病名や健康状態、合併症の有無、服薬状況についての情報を記入します。特に服薬に係る情報については、薬を持参してくるのを忘れていないか、食事提供時に薬の飲み忘れがないかなどをデイサービスのスタッフが確認することになりますので、把握しておきましょう。また、これらの情報は重要な情報なので、常に最新で正確な情報を得ることが重要となっています。
ケアの上での医学的リスク
主治医意見書等を参考に通所介護サービスを提供する上での医学的なリスク、注意すべき点について把握し、記入します。
サービス利用目標・サービス提供内容の設定
長期目標
ケアプランの長期目標で定めている期間を参考に6ヵ月~1年程の期間で、通所介護サービスの利用を通じて、達成可能な目標を記入します。そして、目標は、具体的に、わかりやすく、記載することが重要です。利用者がどのような生活を送りたいのかという希望に沿った目標を設定しましょう。
短期目標
ケアプランの短期目標を参考に1ヵ月~3ヵ月程の期間で、先ほど設定した長期目標を達成するために日々取り組む目標を記入します。こちらも、具体的に、わかりやすく、記載することが重要です。
目標の設定にあたっては、事業所がハードルの高い目標を勝手に設定してしまうと、利用者の意欲低下を招いてしまうことがあります。利用者やその家族と相談したうえで、しっかりと認識を合わせて、達成でき、前向きに取り組める目標を設定しましょう。
設定日、達成予定日
長期目標と短期目標の設定日と目標の達成予定日を記入します。
達成予定日の日付は、ケアプラン目標の期間によって変わりますが、長期目標の達成予定日は設定日から「6ヵ月~1年程」、短期目標の達成予定日は設定日から「1ヵ月~3ヵ月程」とすることが多いでしょう。
目標達成度
短期目標・長期目標の期間が終了する前に行った評価をもとに、目標達成度について、達成、一部、未達のいずれかに丸を付けます。
サービスの提供内容
通所介護サービスの提供内容について、目的とケアの提供方針・内容、送迎の有無、プログラムなどを具体的に記入します。
提供内容には、提供する目的・方針だけでなく、提供にあたっての留意点なども記入しましょう。また、あいまいな記載をしてしまうと、担当する職員の価値観によって提供するサービスの内容に違いが出てしまうことや、評価を行いづらくなってしまうことがあるので、共通で理解できるような記載内容になるように注意しましょう。
また、達成予定日前に実施した評価について、目的とケアの提供方針・内容ごとに、実施・達成の状況と効果・満足度について記入します。
その他
特記事項
利用者の意向や提供にあたっての留意点など、通所介護を提供する上で必要となる留意事項について記入します。
実施後の変化(総括)・再評価日
実施後の変化と再評価を行った年月日を記入します。
介護サービスは、計画の作成、実行、評価、改善という、いわゆるPDCAサイクルによってより良いサービスに繋げることが求められています。そのため、評価を行い、実施後の変化を記録することで、次の計画作成における『改善』に繋げることができます。
利用者・家族に対する本計画の説明者及び同意日
通所介護計画書を作成・更新した際は、利用者とその家族に説明し、内容について同意を得ることが必要です。
この説明を行う説明者と説明・同意日を記入します。また、同意を得たことを証明するために、電子データ等で交付した場合は、その履歴がわかる物を保管し、書面で交付した場合は、事業所の控えに利用者・家族の署名または捺印をいただくようにしましょう。
通所介護事業所の基本情報
事業所名、郵便番号、住所、管理者氏名、事業所番号、電話番号、FAX番号等を記入します。
3.通所介護計画書の記載例
サービス利用の目的・サービス提供内容の設定の記載例
長期目標
- 自宅内を転ばずに歩くことができる。
- 生活に意欲が持てる。
短期目標
- 定期的に体を動かし、転倒に注意しながら歩くことができる。
- 他の利用者と楽しく過ごすことができる。
目的とケアの提供方針・内容の記載例
諸活動
- 他の利用者との会話を楽しむ。
- 各種レクリエーションに参加する。
個別機能訓練
- 別紙、個別機能訓練計画書参照。
- スクワット10回〇セット、足踏み運動20回〇セット、館内歩行15m往復〇セットを行う。
昼食
- 自力摂取(食事介助なし)。
- 箸使用。
口腔ケア
- 歯ブラシ等を準備し、洗面所までご自身で移動し、口腔内や入れ歯洗浄を行う。
入浴
- 職員の介助にて浴室内を移動する。
- 洗髪・洗身はご自身で行う。
- 浴槽のまたぎ動作は職員見守りのもと、手すりに摑まりながらご自身で行う。
効果、満足度などの記載例
諸活動
実施〇、達成〇
- 他の利用者と楽しく会話することができている。
- 各種レクリエーションにも毎回参加できている。
個別機能訓練
実施〇、達成〇
- 別紙、個別機能訓練計画書参照。
- スクワットや足踏み運動、館内歩行は毎回参加時に意欲的に実施されている。
- 開始時に比べて現在は予定回数を容易に行うことができているように見える。
昼食
実施〇、達成〇
- 食事は今までと変わりなく自力で行うことができている。
- 食後の服薬も声掛けにて問題なく服用できている。
口腔ケア
実施〇、達成〇
- 口腔ケアは今までと変わりなく自力で行えている。
入浴
実施〇、達成〇
- 浴室内の移動や洗髪・洗身は問題なく行うことができている。
- 浴槽のまたぎ動作については時間はかかるが手すりに摑まりながら自身で行うことができている。
プログラムの記載例
プログラムには、利用者の一日の流れについて記入しますが、基本的なスケジュールは事業所が定めるプログラムに沿って記入することになります。その枠内でも、それぞれの利用者の状態や個別の実施内容等に応じて、プログラムの記入をしましょう。
9:00 | サービス提供開始 |
9:15 | トイレ誘導 |
9:30 | 諸活動 |
10:30 | 機能訓練 |
11:30 | 昼食 |
13:00 | 口腔ケア、ティータイム |
13:30 | 入浴 |
15:00 | おやつ・補水 |
15:30 | 諸活動 |
16:00 | トイレ誘導 |
16:10 | サービス提供終了 |
4.まとめ
通所介護では、必ず利用者お一人お一人に合わせた『通所介護計画書』を作成しなければいけないことになっています。
利用者はサービスの利用を継続する中で、状態が改善することや、病気の進行、状態が悪化すること、機能が低下することもあります。そのような際、通所介護で提供したサービスを評価し、通所介護計画書を適切なタイミングで更新する必要があります。
このように、通所介護計画書は作成したら終わりというわけではなく、必要に応じて更新し、利用者やその家族へサービスの内容を伝えるためにも使用する重要な書類です。
ここでご紹介した内容が、皆様の通所介護計画書の作成のお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございました。
5.通所介護計画書の様式の無料ダウンロード
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