【2027年度介護報酬改定】通所介護の論点と対応案まとめ
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この記事は、令和8年10月14日に実施された「第270回社会保障審議会介護給付費分科会」の資料に基づき、通所介護・地域密着型通所介護・認知症対応型通所介護の2027年度介護報酬改定に関する情報をまとめています。
議論・審議が進み、最新の情報が公表される可能性がありますので、ご了承の上、お読みください。
(作成日:2026年(令和8年)10月14日)
参考資料:第270回社会保障審議会介護給付費分科会【資料1】通所介護、地域密着型通所介護、認知症対応型通所介護
論点①必要な介護サービスを提供できる体制
論点:入浴介助を目的とする短時間サービスの評価
- 通所系サービスにおいては、単に入浴サービスのみといった利用は適当ではないといった通所系サービスの本来の目的に照らし、2時間以上3時間未満の利用については、利用者側のやむを得ない事情により長時間のサービス利用が困難な者であることを要件として可能としている。
一方で、現在、中山間地域等においては、訪問入浴介護事業所数は減少傾向にあり、通所介護において短時間で入浴のみを利用したいとの相談があった事業所が約5割であり、そのうちの地域に訪問入浴介護等の入浴介助にかかるサービスが不足していることを理由としたものが約1割程度となっている。特に中山間地域等では入浴サービスにかかる社会資源が不足しており、利用ニーズの需要は多いものの必要とするサービスが受けられないケースもある。
加えて、令和8年地方分権改革に関する提案においても、訪問入浴介護が不足している地域におけるサービスの代替として、通所介護事業所の入浴介助を受けることを目的とした短時間利用を認めるよう明確化が求められている。
こうしたことを踏まえ、社会資源が不足している中山間地域等において、入浴のニーズを満たすためにどのような対応が考えられるか。
対応案:入浴介助を目的とする短時間サービスの評価
- 中山間地域等の入浴介助を目的とした介護サービス事業者が存在しない地域であること等を要件に、例外的に通所介護等において、入浴介助を目的とするサービスを認めることを検討してはどうか。
論点:入浴介助加算の見直し
- 入浴介助加算の算定の課題として、昨今の水道光熱費等の物価高騰により、報酬単価が実態に見合っていないなどにより、事業所運営に大きな影響を与えている実態がある。
また、入浴介助加算(Ⅱ)は、利用者が居宅において、自身で又は家族若しくは居宅で入浴介助を行うことが想定される訪問介護員等の介助によって入浴が出来るようになることを目的とし、原則として医師等が利用者の居宅を訪問し、浴室の環境等を評価することとしているが、算定していない理由として、利用者の居宅を訪問し評価や助言等を行う医師等の確保・連携や、医師等が利用者宅を訪問し、評価をする時間の確保が困難であるとの意見も多い。
こうした状況を踏まえ、利用者ケアの質を確保しつつ、人材を有効的に活用するという観点から、入浴介助加算に関する評価の見直しについて、どのような対応が考えられるか。
対応案:入浴介助加算の見直し
入浴介助加算(Ⅱ)の算定要件の医師等の訪問について、医師等の指示の下、介護職員が居宅を訪問し、情報通信機器等を活用して浴室等の環境等を把握する方法について、医師等が訪問することが困難な場合に限定せずに認めることを検討してはどうか。
また、昨今の水道光熱費等の物価高騰に加えて、人材確保の観点から入浴介助加算の単価設定を見直すことを検討してはどうか。
論点:送迎コスト増に対する報酬上の対応
- 中山間地域等においては、冬期の送迎時間の長時間化など、送迎にかかる負担が大きいことを踏まえ、令和8年度老健事業において把握される実態も勘案しつつ、どのような対応が考えられるか。
対応案:送迎コスト増に対する報酬上の対応
- 人口減少・サービス需要の変化に応じたサービス提供体制の構築に関する介護給付費分科会において説明及び議論を実施予定
論点②経営基盤の強化・負担軽減
論点:キャンセル時などの送迎減算の緩和
- 通所系サービスにおいては、累次の改定により、送迎にかかる費用を基本報酬に包括化し、利用者の居宅と事業所の間の送迎を行わなかった場合については、送迎減算の対象としているところ。
送迎のキャンセル料については、利用者等への説明や同意書による確認等により、利用者から受領することも可能だが、送迎減算については、利用者の居宅へ迎えに行ったが、利用者等の都合により家族等が事業所まで送迎を行った場合など、利用者等の都合による送迎のキャンセルについても減算対象となっており、事業所として予期できるものではなく、送迎のための人件費や燃料費等が通常時と同様にかかっていることからも、経営に負担が生じている。
対応案:キャンセル時などの送迎減算の緩和
- 例えば、利用者の居宅まで迎えに行った際に発生するような「突発的な送迎のキャンセル」について、例外的な取扱いとして、送迎減算の対象から外すことを検討してはどうか。
論点:共同送迎の推進
- 事業所の送迎においては、中山間地域に限らず送迎に従事する職員の確保が困難であり、特に都市部においては、近隣事業所との送迎職員の取り合いが発生する可能性があることや、燃料費や車両の保有にかかる経費も大きいなど、非効率な送迎コストが生じている実態が存在する。
こうしたことも踏まえ、介護事業所等が保有する送迎車両の有効活用について、送迎業務を地域共生社会づくりのための団体に集約し、複数の通所介護に通う利用者を共同送迎するなどの好事例も見られるが、公共交通機関や他サービス事業所が存在しない地域において、共同送迎や送迎委託が難しい場合も存在する。
一方、移動手段の確保に課題を抱える「交通空白」が全国で発生している中、持続可能な地域公共交通を構築していくためには、医療・福祉施設等の利用者向け送迎サービスを含む「地域の輸送資源のフル活用」の重要性が一層高まっており、こうした取組を促進するための新たな枠組みを盛り込んだ「地域公共交通の活性化及び再生に関する法律の一部を改正する法律」が本年6月に成立し、同年10月16日に施行される予定である。
また、送迎時の課題では、利用者の乗降介助の負担が大きいとの回答が一定程度あげられた一方で、通所介護における送迎時の居宅内の介護・支援状況について、「ほぼ全ての利用者で行っている」「一部の利用者で行っている」と回答した事業所が約7割であり、事業所として1回当たりの居宅内の支援時間は30分未満が約9割であるなど、サービス提供時間に含めることができる範囲内で実施している状況である。
上記を踏まえ、送迎にかかる事業所の経営的負担や人材及び地域の社会資源の有効活用の観点から、どのような対応が考えられるか。
対応案:共同送迎の推進
- 地域における送迎の効率性を高める観点から、他法人や他事業所と連携して行う共同送迎の取扱いをより明確にするとともに、利用者の生活を支える機能の向上や地域共生の観点から、これまでの共同送迎と同様に雇用契約や業務委託契約などによる責任の明確化が図られることを前提とする中で、通所系サービスにおいて送迎を実施したと認められる同乗の範囲を、現状認められている他介護サービス事業所及び障害福祉サービス事業所に加え、児童の通園・通学、地域の買い物支援などとの同乗も拡充することを検討してはどうか。
論点:延長加算の見直し
- 延長加算は家族介護者の負担軽減を図るため、通常の利用時間(9時間未満)を超えてサービス提供する事業者への評価を行うものである。
延長加算ニ(12時間以上13時間未満の場合)の算定率は事業所ベースで通所介護は0.0%、地域密着型通所介護及び認知症対応型通所介護0.1%であり、延長加算ホ(13時間以上14時間未満の場合)の算定率は、通所介護、地域密着型通所介護、認知症対応型通所介護で0.0%である。
延長加算を算定しない理由としては、「突発的なやむを得ない理由の場合、延長加算を算定せずに柔軟に対応しているため」と回答した事業所の割合が最も多かった。
令和6年度改定における審議報告も踏まえ、利用者のわかりやすさという観点や介護サービス事業者の事務負担軽減の観点から、算定率の低い延長加算ニ・ホについてどのように考えるか。
対応案:延長加算の見直し
- 算定率の低い、延長加算ニ(12時間以上13時間未満の場合)・ホ(13時間以上14時間未満の場合)については、利用者のわかりやすさという観点や事業者の事務負担軽減の観点から廃止してはどうか。
論点:中重度者ケア体制加算の見直し
- 通所介護及び地域密着型通所介護の1事業所当たり利用者数は、通所介護は50.5人、地域密着型通所介護は24.6人であり、要介護3~5の利用者が全体に占める割合は、地域密着型通所介護と通所介護でそれぞれ約3割である。
中重度者ケア体制加算については、配置基準に規定する員数に加えて、看護職員又は介護職員を常勤換算方法で2以上配置しなければならないこととしている。
通所介護及び地域密着型通所介護においては、平均利用者数に倍程度の差があるが、中重度者ケア体制加算の配置要件については同等の数を求めていることや、加算単位数は同額であることから、職員の配置にかかるコストは変わらないものの、経営の圧迫につながっている状況にある。
上記を踏まえ、地域密着型通所介護の中重度者の受け入れによる経営負担や人材確保の観点から、どのような対応が考えられるか。
対応案:中重度者ケア体制加算の見直し
- 地域密着型通所介護の中重度者ケア体制加算について、小規模事業所の経営や人材確保の観点から、算定要件の見直しについて検討してはどうか。
論点③独居・認知症高齢者への対応
論点:認知症対応型通所介護の報酬の在り方
- 認知症対応型通所介護においては、小規模であることや認知症の利用者を対象とした専門的なケアを提供するサービスであることから、通常型通所介護や地域密着型通所介護より高い基本報酬としている。
近年においては、通常型通所介護や地域密着型通所介護においても認知症の方を受け入れるケースは増加しており、認知症対応型通所介護と同様に認知症の人やその家族のレスパイトケアとしての機能を担っている。
令和6年1月1日に施行された「共生社会の実現を推進するための認知症基本法」(以下、「認知症基本法」)や令和6年12月3日に閣議決定された認知症施策推進基本計画においては、「認知症の人を単に「支える対象」としてではなく」地域でともに支え合って暮らす取組が必要とされている。
認知症対応型通所介護の請求事業所数及び受給者数は減少傾向にあり、認知症対応型通所介護としての役割や、通所介護や地域密着型通所介護との機能分化を明確にしていくとともに、認知症基本法や認知症施策推進基本計画の考え方からも、今後のサービスとしての在り方も含めてどのような対応が考えられるか。
対応案:認知症対応型通所介護の報酬の在り方
認知症基本法及び認知症施策推進基本計画の理念の下で、現状の通所介護や地域密着型通所介護の強み・特徴、多くの事業所でも一定の認知症の利用者にサービスを提供していることなども踏まえ、地域密着型通所介護の報酬体系やその単位数も参考にしつつ、認知症対応型通所介護について、基本報酬の在り方、認知症高齢者の日常生活自立度からみて重度な利用者を多く受け入れている事業所を評価すること等を検討してはどうか。
また、地域住民をはじめとした多様な主体と連携しながら、例えば、認知症の人が自ら意思決定して地域における多様な社会参加の機会等を確保する事業所などを評価するための新たな報酬設定を検討してはどうか。
論点④住まいの形態に合わせたサービス提供にかかる報酬の在り方について
論点:利用者の居住場所やサービス形態を踏まえた報酬の在り方
- 通所介護・地域密着型通所介護・認知症対応型通所介護における同一建物等居住者への通所サービス提供については、効率的なサービス提供が可能となることを踏まえ、同一建物減算を設けて対応している。
サービス提供の実態や事業所経営への影響等を踏まえつつ、介護人材や利用者の確保が困難となっている中で、利用者がより効率的なサービスの提供を受けられるようにするという観点から、減算及び適用要件の在り方をどのように考えるか。
対応案:利用者の居住場所やサービス形態を踏まえた報酬の在り方
- 送迎コスト等を踏まえた適切な評価を行うとともに、事業所の規模や1回当たりの送迎コスト等の低さやサービス利用日数の多さに着目し、現行の減算による評価に代えて、移動コストやサービス提供の実態をより適切に反映した報酬区分の見直しを検討してはどうか。
最後に
2027年度介護報酬改定に向けて、通所介護・地域密着型通所介護では「必要な介護サービスを提供できる体制」「経営基盤の強化・負担軽減」「独居・認知症高齢者への対応」「住まいの形態に合わせたサービス提供にかかる報酬の在り方」の4つの論点から議論が進められています。
特に、入浴介助加算の要件と単価の見直し、突発的な送迎キャンセルの送迎減算からの除外、延長加算ニ・ホの廃止、同一建物減算に代わる報酬区分の見直しなどは、事業所の収益や運営に直接影響する可能性がある内容です。
現時点ではあくまで議論されている段階であり、具体的な要件や単位数は今後の審議を経て示されますので、最新情報を定期的に確認しましょう。
株式会社エス・エム・エス
カイポケメディア編集部
カイポケメディア編集部には、看護師や社会福祉士をはじめ、介護事業所の運営経験者、介護ソフトの導入サポート経験者など、幅広い知見を持つメンバーが在籍しています。
制度と現場の実務に精通した視点から、介護事業所の開業、日々の業務効率化、経営改善に役立つ情報を発信しています。
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