【2027年度介護報酬改定】居宅介護支援の議論まとめ。論点と対応案
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この記事は、令和8年10月19日に実施された「第271回社会保障審議会介護給付費分科会」の資料に基づき、居宅介護支援の2027年度介護報酬改定に関する情報をまとめています。
議論・審議が進み、最新の情報が公表される可能性がありますので、ご了承の上、お読みください。
(作成日:2026年(令和8年)10月19日)
参考資料:第271回社会保障審議会介護給付費分科会【資料6】居宅介護支援・介護予防支援
論点①高齢者像の変化に対応したケアマネジメントの推進
論点:特定事業所加算の見直し
- 特定事業所加算は、中重度者や支援困難ケースへの積極的な対応を行うほか、専門性の高い人材を確保し、質の高いケアマネジメントを実施している事業所を評価するため、平成18年度介護報酬改定で創設し、以降累次の改定において見直しを行ってきた。
そのような中、主任介護支援専門員の手厚い配置等を評価する特定事業所加算(Ⅰ)と、小規模事業所でも質の高いケアマネジメントを実現していけるよう、事業所間連携による体制確保や対応等を行う事業所を評価する特定事業所加算(A)については、事業所ベースでの算定率が2%を下回っている。
また、近年の要介護度別の利用者1人当たりの労働投入時間を見ると、要介護1・2の利用者に対する時間数と要介護3・4・5の利用者に対する場合の時間数について、大きな差が見られなくなっているところ。
さらに、直近の制度改正による、「福祉サービス・保健医療サービス等利用援助事業」の創設や成年後見制度の見直しに加え、「高齢者等終身サポート事業」を行う事業者の増加など、介護保険外の様々なサービスを巡る環境が変化してきており、このようなサービスとの連携も重要になってきているところ。
このような状況を踏まえ、質の高いケアマネジメントの実施を評価するために、どのような対応が考えられるか。
対応案:特定事業所加算の見直し
中重度者に係るケアマネジメントの業務負担の現状を踏まえるとともに、主任介護支援専門員や常勤職員による手厚い人員配置の評価に重点を置く観点から、特定事業所加算(Ⅰ)の要件のうち、「算定日が属する月の利用者の総数のうち、要介護状態区分が要介護3、要介護4又は要介護5である者の占める割合が100分の40以上であること」については、廃止してはどうか。
特定事業所加算(A)については、算定事業所が少なく、創設当初の目的を達せられていないと考えられることから、廃止することとしてはどうか。なお、算定事業所の経営への影響を勘案し、1年の経過措置を設けてはどうか。
一方で、より上位の加算区分への移行を促すとともに、事業所の負担軽減の観点から、特定事業所加算(A)においてのみ認めている、24時間の連絡体制や研修の実施等についての他事業所等との連携も認めていることについて、上位の加算区分でも認めることとしてはどうか。
また、「福祉サービス・保健医療サービス等利用援助事業」の創設や成年後見制度の見直し、「高齢者等終身サポート事業」を行う事業者の増加といった環境の変化を踏まえ、現行の特定事業所加算の要件である「多様な主体等が提供する生活支援のサービス(インフォーマルサービスを含む)が包括的に提供されるような居宅サービス計画を作成していること」について、計画への位置付けの評価ではなく、様々な地域福祉の主体も含めた地域での連携体制を構築していることを要件としてはどうか。
論点:医療介護連携の推進
- 2040年にかけて、介護と医療の複合ニーズを有する85歳以上の高齢者が一貫して増加することが見込まれる中、ケアマネジメントにおける医療と介護の連携が今後も一層求められる。
これまで、ケアマネジメントにおける医療と介護の連携強化に向けて、運営基準において平時からの医療機関との連携促進を図るとともに、入院・通院時における医療機関との連携(入院時情報連携加算、通院時情報連携加算、退院・退所時加算等)や、ターミナル期の患者への対応(ターミナルケアマネジメント加算)などを介護報酬で評価してきており、令和6年度介護報酬改定においても、医療と介護の連携強化を図るため、関連する加算の見直しを行ったところ。
一方で、各加算について、
・通院時情報連携加算について、医療機関への通院時の同席を要件としているため、居宅を訪問して在宅療養を行う医師と連携していても加算が算定できないケースがあること
・緊急時等居宅カンファレンス加算について、診療報酬側ではオンラインによる参加を認めているにもかかわらず、居宅への訪問が要件となっているため加算が算定できない状態になっていること
・ターミナルケアマネジメント加算について、ターミナルケアマネジメントを行っても、死亡日と死亡日前14日以内に2日以上、利用者の居宅を訪問できなかったため、加算を算定できなかったケースがあること
・特定事業所医療介護連携加算について、小規模な事業所では回数の要件を満たすことが困難であること
といった課題があるところ。
また、退院・退所加算について、区分の数が多く算定率が低い区分が生じている。
医療・介護の関係者、関係機関間の情報提供や共有、相互の理解といった連携をさらに推進するために、どのような方策が考えられるか。
対応案:医療介護連携の推進
- 今後の介護給付費分科会において説明及び議論を実施予定
論点:介護予防支援の円滑な実施
- 地域包括支援センターの業務負担軽減を進めるため、令和6年4月から居宅介護支援事業者も市町村からの指定を受けて介護予防支援を実施できることとされた。
現在、約半数の市町村で指定が行われており、地域包括支援センターの担当圏域内で介護予防支援事業所の指定を受けている居宅介護支援事業所があるケースは約4割ある一方で、事業所ベースで見ると、介護予防支援の指定を受けている居宅介護支援事業所は約2割となっている。
このような状況を踏まえ、居宅介護支援事業者による指定をさらに進めていくため、どのような方策が考えられるか。
対応案:介護予防支援の円滑な実施
- 要支援者においても、一定程度医療介護連携が必要となっている実態があること等を踏まえ、居宅介護支援に設けられている加算(入院時情報連携加算、退院・退所加算、通院時情報連携加算、緊急時等居宅カンファレンス加算)や減算(同一建物減算)について、介護予防支援にも設けることとしてはどうか。
論点:障害高齢者への支援の強化
- 高齢者が抱える課題が複雑化、複合化する中で、障害者が65歳以上となり、介護保険サービスを利用しつつ障害固有のサービスを利用する場合等について、障害福祉サービス事業者だけでなく、市町村の障害福祉担当窓口等との様々な調整が追加で必要になっているという状況が生じている。
対応案:障害高齢者への支援の強化
- 利用者が介護保険サービスと併せて障害福祉サービスを利用する場合の調整業務を評価することとしてはどうか。
論点:主任ケアマネジャーの役割の見直し
- 居宅介護支援事業所の管理者については、平成30年度介護報酬改定において、居宅介護支援事業所における人材育成の取組を推進するため、主任ケアマネジャーであることを要件とした。
一方で、令和6年12月の「ケアマネジメントに係る諸課題に関する検討会」の中間整理において、「個々の居宅介護支援事業所内においては、主任ケアマネジャーが事務的な管理業務に時間を費やし、現場のケアマネジャーの指導が十分にできていない状況がある」との指摘があった。
また、令和7年12月の介護保険部会の意見書においても、「主任ケアマネジャーがその本来の役割を発揮できるよう、その環境整備を進めることが必要である。特に居宅介護支援事業所の管理者として行っている労務・財務管理の業務と、ケアマネジメントやケアマネジャーの育成といった業務との役割分担が課題であり、居宅介護支援事業所の管理者要件についても引き続き介護給付費分科会で検討していくことが適当」とされているところ。
主任ケアマネジャーの役割や専門性を踏まえるとともに、適切な居宅介護支援の提供を確保するため、居宅介護支援事業所の管理者要件についてどのように考えるか。
対応案:主任ケアマネジャーの役割の見直し
介護サービスや他の保健・医療・福祉サービスを提供する者等の地域の関係者との連絡調整の中心的な役割を果たす者としての主任ケアマネジャーの業務と、居宅介護支援事業所の管理者に求める業務との役割分担の観点から、居宅介護支援事業所の管理者については、主任ケアマネジャーであることは求めないこととしてはどうか。
一方で、居宅介護支援の質の確保の観点から、居宅介護支援事業所の管理者の要件については、ケアマネジャーであって、5年の実務経験等を有する者としてはどうか。
論点②ケアマネジャーの業務負担軽減
論点:オンラインモニタリングの推進
- 介護サービスの利用者が増加するとともに、高齢者の抱える課題が複雑化、複合化するなど、ケアマネジャーの役割の重要性が増大する一方で、ケアマネジャーの従事者数は横ばい傾向にあり、個々のケアマネジャーの負担の増大が見込まれる。
そのような中にあっても、利用者のために質の高いケアマネジメントを実現するためには、ICTの活用等による個々のケアマネジメント業務の効率的な実施とともに、業務の実態に応じて報酬上の評価を適切に行うことが必要。
一方で、令和6年度介護報酬改定において、オンラインによるモニタリングの実施を認めたところであるが、普及が進んでいないところ。
このような状況の中、ケアマネジャーの業務負担を軽減するとともに、適切な報酬上の評価を行うため、どのような方策が考えられるか。
対応案:オンラインモニタリングの要件緩和
- ケアマネジャーの業務負担の軽減のため、オンラインによるモニタリングを一層推進する観点から、主治の医師を含めた関係者からの合意(①利用者の心身の状況が安定していること、②利用者がテレビ電話装置等を活用して意思疎通を行うことができること、③オンラインモニタリングでは把握できない情報について担当者から提供を受けること)を得るとされている要件について、手続きを柔軟に行うことができる旨提示することとしてはどうか。
論点:介護予防支援の業務の簡素化
- 令和7年12月の介護保険部会の意見書においては、「介護予防ケアマネジメントについては、アセスメントの結果に基づくケアマネジメントプロセスの効率化を図ってきていることを踏まえ、介護予防支援のプロセスについても効率的な実施に向けた検討が必要」とされたところ。
今後、介護予防支援のプロセスの効率化を図るため、どのような方策が考えられるか。
対応案:介護予防支援の業務の簡素化
- 要支援と要介護の間の連続性の観点から、居宅介護支援と介護予防支援の実務上の取扱いについては、可能な限り揃えていくことが重要であり、ケアプランの様式について、対象者像の違いやそれぞれの様式の目的に留意しつつ、調査研究を行い、その在り方について検討を進めていくこととしてはどうか。
論点③制度改正に伴う対応
論点:更新制廃止・法定研修見直しに伴う対応
- 令和8年6月に成立した「社会福祉法等の一部を改正する法律」による介護保険法の改正において、ケアマネジャーの人材確保・定着を図り、負担を軽減する観点から、研修受講を要件とした資格の更新制を廃止するとともに、専門職としての資質の維持等の観点から、定期的な研修の受講を求めることとされ、事業者に対しても、従事するケアマネジャーが研修を受講できるよう、受講時間の確保や受講状況の確認等の必要な措置を講ずる義務を課すこととされた。
対応案:更新制廃止・法定研修見直しに伴う対応
ケアマネジャーを配置する施設や事業所等の人員基準において、定期的な研修を受講している者等をケアマネジャーとして配置することを求めることとしてはどうか。
また、管理者の責務として、事業所に従事するケアマネジャーに対して受講勧奨を行うことを位置付けてはどうか。
ケアマネジャーの資質の維持等の観点から、研修の受講を担保するため、正当な理由なく研修を受講していない者を配置している場合に減算の規定を設けることとしてはどうか。
定期的な研修を受講しているケアマネジャーの配置と管理者の責務については、ケアマネジャーを配置することとしている他のサービスにおいても同様としてはどうか。
論点:介護予防ケアマネジメントの見直しに伴う対応
- 令和8年6月に成立した「社会福祉法等の一部を改正する法律」による介護保険法の改正において、介護予防ケアマネジメントについて、居宅介護支援事業所が市町村からの直接委託を受けて実施可能となったことを踏まえて、居宅介護支援事業所において介護予防ケアマネジメントを実施する場合のケアマネジャー1人当たりの担当利用者数の算定方法等について所要の措置を講ずる必要がある。
対応案:介護予防ケアマネジメントの見直しに伴う対応
- 居宅介護支援事業所において介護予防ケアマネジメントの対象者を市町村からの直接委託を受けて担当する場合、人員基準及び逓減制に関する取扱件数については、介護予防ケアマネジメントの利用者に3分の1を乗じることとするなど、介護予防支援を実施する場合と同様の取扱いとしてはどうか。
論点④中山間地域等における適切なケアマネジメント提供体制の確保
論点:中山間地域等におけるケアマネジメント提供体制
- 今後、介護サービスの利用者が増加するとともに、高齢者の抱える課題が複雑化、複合化する一方で、ケアマネジャーの従事者数は横ばい傾向にあるなどケアマネジャーの人材確保が喫緊の課題となっている。
特に、中山間・人口減少地域においては、高齢者人口が減少し、サービス需要が減少すると同時に、担い手の不足が他の地域と比較してもさらに深刻な状況になると見込まれている。
中山間地域等を含め、それぞれの地域の状況に応じて、適切なケアマネジメント提供体制を確保していくため、どのような方策が考えられるか。
対応案
- 人口減少・サービス需要の変化に応じたサービス提供体制の構築に関する介護給付費分科会において説明及び議論を実施予定
最後に
2027年度介護報酬改定に向けて、居宅介護支援では「高齢者像の変化に対応したケアマネジメントの推進」「ケアマネジャーの業務負担軽減」「制度改正に伴う対応」「中山間地域等における提供体制の確保」の4つの論点から議論が進められています。
特に、特定事業所加算(Ⅰ)の重度者割合要件の廃止や特定事業所加算(A)の廃止、管理者要件の見直し、更新制廃止に伴う研修未受講者の配置に対する減算の新設などは、事業所の体制や収益に直接影響する可能性がある内容です。
現時点ではあくまで議論されている段階であり、具体的な要件や単位数は今後の審議を経て示されますので、最新情報を定期的に確認しましょう。
株式会社エス・エム・エス
カイポケメディア編集部
カイポケメディア編集部には、看護師や社会福祉士をはじめ、介護事業所の運営経験者、介護ソフトの導入サポート経験者など、幅広い知見を持つメンバーが在籍しています。
制度と現場の実務に精通した視点から、介護事業所の開業、日々の業務効率化、経営改善に役立つ情報を発信しています。
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