【2024年度改定対応】訪問介護の特定事業所加算とは?



訪問介護における特定事業所加算とは、介護福祉士等の人材を確保し、質の高いサービスを提供するための体制を構築している事業所を評価する加算です。また、体制の構築だけでなく、重度の利用者を受け入れている事業所を評価する区分も設けられています。
この記事では、特定事業所加算の単位数や算定要件についてまとめていますので、ぜひ最後までお読みください。

目次

訪問介護の特定事業所加算の単位数

訪問介護の特定事業所加算の算定要件

算定要件 (Ⅰ) (Ⅱ) (Ⅲ) (Ⅳ) (Ⅴ)
1.訪問介護員等・サービス提供責任者ごとに作成された研修計画に基づく研修の実施
2.利用者に関する情報又はサービス提供に当たっての留意事項の伝達等を目的とした会議の定期的な開催
3.利用者情報の文書等による伝達、訪問介護員等からの報告
4.健康診断等の定期的な実施
5.緊急時等における対応方法の明示
6.病院、診療所又は訪問看護ステーションの看護師との連携により、24時間連絡できる体制を確保しており、かつ、必要に応じて訪問介護を行うことができる体制の整備、看取り期における対応方針の策定、看取りに関する職員研修の実施等
7.通常の事業の実施地域内であって中山間地域等に居住する者に対して、継続的にサービスを提供していること
8.利用者の心身の状況またはその家族等を取り巻く環境の変化に応じて、訪問介護事業所のサービス提供責任者等が起点となり随時介護支援専門員、医療関係職種等と共同し、訪問介護計画の見直しを行っていること
9.訪問介護員等のうち介護福祉士の占める割合が30%以上、又は介護福祉士、実務者研修修了者、並びに介護職員基礎研修課程修了者及び1級課程修了者の占める割合が50%以上
又は
10.全てのサービス提供責任者が3年以上の実務経験を有する介護福祉士、又は5年以上の実務経験を有する実務者研修修了者・介護職員基礎研修課程修了者・1級課程修了者
11.サービス提供責任者を常勤により配置し、かつ、基準を上回る数の常勤のサービス提供責任者を1人以上配置していること
又は

又は
12.訪問介護員等の総数のうち、勤続年数7年以上の者の占める割合が100分の30以上であること
13.利用者のうち、要介護4、5である者、日常生活自立度(Ⅲ、Ⅳ、M)である者、たんの吸引等を必要とする者の占める割合が20%以上
又は


又は

14.看取り期の利用者への対応実績が1人以上であること(併せて体制要件(6)の要件を満たすこと)

計画的な研修の実施

研修計画の作成では、サービス従事者の資質向上のための研修内容の全体像と研修実施のための勤務体制の確保を定め、訪問介護員等およびサービス提供責任者について個別具体的な研修の目標、内容、研修期間、実施時期等を定める必要があります。

会議の定期的な開催

利用者に関する情報、サービス提供に当たっての留意事項の伝達等を目的とした会議は、おおむね1ヵ月に1回以上の頻度で、サービス提供責任者が主宰し、登録ヘルパーも含めたすべての訪問介護員等が参加するように開催しなくてはいけません。ただし、会議は全員が一堂に会して開催する必要はなく、いくつかのグループに分かれて開催することが認められています。
また、会議はテレビ電話装置等を活用して行うことができます。

利用者に関する情報、サービス提供に当たっての留意事項

利用者に関する情報、サービス提供に当たっての留意事項とは、少なくとも以下の項目について、変化の動向を含めた内容となっています。

文書等による伝達

文書等の確実な方法とは、直接面接しながら文書を手交する方法のほか、FAX、メール等による交付も認められています。

健康診断の定期的な実施

健康診断は、非常勤の訪問介護員も含めたすべての訪問介護員等について、1年に1回以上、事業主の費用負担により実施する必要があります。

緊急時等における対応方法の明示

利用者に、事業所における緊急時の対応方針、緊急時の連絡先、対応可能時間等を記載した文書を交付して、説明することが求められています。

訪問介護員等の有資格者の割合

介護福祉士または介護福祉士、実務者研修修了者、介護職員基礎研修課程修了者、1級課程修了者の割合は、前年度(3月を除く)の実績の平均、または届出日の属する月の前3月の1月あたりの実績の平均について、常勤換算方法で計算し、満たす必要があります。
この計算上、生活援助従事者研修修了者は、「0.5」を掛けて計算し、介護福祉士・実務者研修修了等の資格は、各月の前月末日時点で資格を取得している人数で計算します。

サービス提供責任者の実務経験

サービス提供責任者の実務経験は、資格取得前の期間も含め、在宅や施設を問わず、介護に従事した期間を指しています。

訪問介護の特定事業所加算の留意点

訪問介護の特定事業所加算のQ&A

令和6年度介護報酬改定に関するQ&A(Vol.1)令和6年3月15日 問1
Q.
新設された特定事業所加算(Ⅰ)・(Ⅲ)の重度要介護者等対応要件である看取り期の利用者への対応実績について、前12月間における実績と算定期間の具体的な関係性如何。
A.

令和6年度介護報酬改定に関するQ&A(Vol.1)令和6年3月15日 問2
Q.
新設された特定事業所加算(Ⅰ)・(Ⅲ)の重度要介護者等対応要件である看取り期の利用者への対応体制について、病院、診療所又は訪問看護ステーション(以下「訪問看護ステーション等」という。)の看護師との連携により24時間連絡できる体制を確保することとされているが、具体的にどのような体制が想定されるか。
A.
「24 時間連絡ができる体制」とは、事業所内で訪問介護員等が勤務することを要するものではなく、夜間においても訪問介護事業所から連携先の訪問看護ステーション等に連絡でき、必要な場合には事業所からの緊急の呼び出しに応じて出勤する体制をいうものである。
具体的には、

イ 管理者を中心として、連携先の訪問看護ステーション等と夜間における連絡・対応体制に関する取り決め(緊急時の注意事項や利用者の病状等についての情報共有の方法等を含む)がなされていること。

ロ 管理者を中心として、訪問介護員等による利用者の観察項目の標準化(どのようなことが観察されれば連携先の訪問看護ステーション等に連絡するか)がなされていること。

ハ 事業所内研修等を通じ、訪問介護員等に対して、イ及びロの内容が周知されていること。

といった体制を整備することを想定している。

令和6年度介護報酬改定に関するQ&A(Vol.1)令和6年3月15日 問3
Q.
特定事業所加算(Ⅴ)の体制要件における中山間地域等に居住する者への対応実績について、具体的にどのように算出するのか。
A.
中山間地域等に居住する者への対応実績については、利用実人員を用いて算定するものとされているが、例えば下記のような場合、前3月の平均値は次のように計算する(前年度の平均値の計算についても同様である。)。

(※)特別地域加算、中山間地域等における小規模事業所加算、中山間地域等に居住する者へのサービス提供加算
(注1)一体的運営を行っている場合の介護予防訪問介護の利用者に関しては計算には含めない。
(注2)特別地域加算等の算定を行っている利用者に関しては計算には含めない。
・中山間地域等に居住する利用者(A,D(特別地域加算等を算定する利用者Cを除く))
2人(1月)+2人(1月)+1人(3月) =5人
したがって、対応実績の平均は5人÷3月≒1.6人≧1人
なお、当該実績については、特定の月の実績が1人を下回ったとしても、前年度又は前3月の平均が1人以上であれば、要件を満たす。

令和6年度介護報酬改定に関するQ&A(Vol.1)令和6年3月15日 問4
Q.
特定事業所加算(Ⅴ)を算定する利用者が、月の途中において、転居等により中山間地域等からそれ以外の地域(又はその逆)に居住地が変わった場合、実際に中山間地域等に居住している期間のサービス提供分のみ加算の対象となるのか。あるいは、当該月の全てのサービス提供分が加算の対象となるのか。
A.
該当地域に居住する期間のサービス提供分のみ加算の対象となる。

令和6年度介護報酬改定に関するQ&A(Vol.1)令和6年3月15日 問5
Q.
新設された特定事業所加算(Ⅴ)について、「利用者の心身の状況等に応じて、随時、関係者が共同して訪問介護計画の見直しを行うこと」とされているが、訪問介護計画の見直しに当たり全ての職種が関わることが必要か。また、訪問介護計画の見直しが多職種協働により行われたことを、どのように表せばよいか。
A.
・特定事業所加算(Ⅴ)を算定する訪問介護事業所は、日々変化し得る利用者の状態を確認しつつ、利用者にとって必要なサービスを必要なタイミングで提供し、総合的に利用者の在宅生活の継続を支援することが求められている。当該加算を算定する事業所においては、中山間地域等にあって、必ずしも地域資源等が十分ではない場合もあることから、訪問介護事業所のサービス提供責任者が起点となり、利用者の生活全般に着目し、日頃から主治の医師や看護師、その他の従業者といった多様な主体との意思疎通を図ることが必要となり、継続的なサービス提供を行うことと併せて,他の地域の訪問介護事業所とは異なる「特有のコスト」を有しているため、特定事業所加算により評価するものである。

・ 訪問介護事業所における訪問介護計画の見直しは、サービス提供責任者を中心に多職種協働により行われるものであるが、その都度全ての職種が関わらなければならないものではなく、見直しの内容に応じて、適切に関係者がかかわることで足りるものである。

・ また、訪問介護計画の見直しに係る多職種協働は、必ずしもカンファレンスなどの会議の場により行われる必要はなく、日常的な業務の中でのかかわりを通じて行われることも少なくない。通常の業務の中で、主治の医師や看護師、介護職員等の意見を把握し、これに基づき訪問介護計画の見直しが行われていれば、本加算の算定要件を満たすものである。なお、加算の要件を満たすことのみを目的として、新たに多職種協働の会議を設けたり書類を作成することは要しない。

令和6年度介護報酬改定に関するQ&A(Vol.1)令和6年3月15日 問6
Q.
特定事業所加算(Ⅲ)、(Ⅳ)の勤続年数要件(勤続年数が7年以上の訪問介護員等を30%以上とする要件)における具体的な割合はどのように算出するのか。
A.
勤続年数要件の訪問介護員等の割合については、特定事業所加算(Ⅰ)・(Ⅱ)の訪問介護員等要件(介護福祉士等の一定の資格を有する訪問介護員等の割合を要件)と同様に、前年度(3月を除く11 ヶ月間。)又は届出日の属する月の前3月の1月当たりの実績の平均について、常勤換算方法により算出した数を用いて算出するものとする。
※ 令和3年度介護報酬改定に関するQ&A(Vol.4)(令和3年3月29日)問1は削除する。

令和6年度介護報酬改定に関するQ&A(Vol.1)令和6年3月15日 問7
Q.
「訪問介護員等の総数のうち、勤続年数7年以上の者の占める割合が30%以上」という要件について、勤続年数はどのように計算するのか。
A.
・特定事業所加算(Ⅲ)、(Ⅳ)における、勤続年数7年以上の訪問介護員等の割合に係る要件については、
- 訪問介護員等として従事する者であって、同一法人等での勤続年数が7年以上の者の割合を要件としたものであり、
- 訪問介護員等として従事してから7年以上経過していることを求めるものではないこと(例えば、当該指定訪問介護事業所の訪問介護員等として従事する前に、同一法人等の異なるサービスの施設・事業所の介護職員として従事していた場合に勤続年数を通算して差し支えないものである。)。

・「同一法人等での勤続年数」の考え方について、
- 同一法人等(※)における異なるサービスの事業所での勤続年数や異なる雇用形態、職種(直接処遇を行う職種に限る。)における勤続年数
- 事業所の合併又は別法人による事業の承継の場合であって、当該事業所の職員に変更がないなど、事業所が実質的に継続して運営していると認められる場合の勤続年数は通算することができる。
(※)同一法人のほか、法人の代表者等が同一で、採用や人事異動、研修が一体として行われる等、職員の労務管理を複数法人で一体的に行っている場合も含まれる。

※令和3年度介護報酬改定に関するQ&A(Vol.4)(令和3年3月29日)問2は削除する。

令和6年度介護報酬改定に関するQ&A(Vol.1)令和6年3月15日 問8
Q.
勤続年数には産前産後休業や病気休暇の期間は含めないと考えるのか。
A.
産前産後休業や病気休暇のほか、育児・介護休業、母性健康管理措置としての休業を取得した期間は雇用関係が継続していることから、勤続年数に含めることができる。

※ 令和3年度介護報酬改定に関するQ&A(Vol.4)(令和3年3月 29 日)問3は削除する。

令和6年度介護報酬改定に関するQ&A(Vol.1)令和6年3月15日 問14
Q.
特定事業所加算(Ⅰ)・(Ⅲ)の重度要介護者等対応要件である看取り期の利用者への対応体制及び看取り連携体制加算について、看取り期における対応方針は、管理者を中心として、介護職員、看護職員、介護支援専門員等による協議の上、定められていることが必要とされているが、その他に協議を行うことが想定される者としては、医師も含まれるのか。
また、対応方針を定めるにあたっての「協議」とは具体的にはどのようなものか。
A.
・貴見のとおり医師も含まれると考えて差し支えない。
・ また、看取り期における対応方針の「協議」については、必ずしもカンファレンスなどの会議の場により行われる必要はなく、例えば、通常の業務の中で、主治の医師や看護師、介護支援専門員等の意見を把握し、これに基づき対応方針の策定が行われていれば、本加算の算定要件を満たすものである。

令和6年度介護報酬改定に関するQ&A(Vol.1)令和6年3月15日 問15
Q.
特定事業所加算(Ⅰ)・(Ⅲ)の重度要介護者等対応要件である看取り期の利用者への対応体制及び看取り連携体制加算について、「適宜、利用者等に理解しやすい資料を作成し、代替することは差し支えない。」とあるが、「代替」とは具体的にどういうことか。
A.
・質の高い看取り介護を実施するためには、多職種連携により、利用者等に対し、十分な説明を行い、理解を得るよう努力することが不可欠である。このため、利用者への介護記録等その他の利用者に関する記録の開示又は当該記録の写しの提供を行う際に、利用者またはその家族の理解を支援させる目的で、補完的に理解しやすい資料を作成し、これを用いて説明することも差し支えないこととしたものである。
・なお、その際、介護記録等の開示又は写しの提供を本人またはその家族が求める場合には、提供することが必要である。

令和6年度介護報酬改定に関するQ&A(Vol.1)令和6年3月15日 問16
Q.
特定事業所加算(Ⅰ)・(Ⅲ)の重度要介護者等対応要件である看取り期の利用者への対応体制及び看取り連携体制加算について、「本人またはその家族に対する随時の説明」とあるが、具体的にどういうことか。
A.
看取り期における対応方針に基づき、利用者の状態又は家族の求め等に応じ、介護職員、看護職員等から介護記録等利用者に関する記録を活用し行われるサービスについての説明のことをいう。

令和6年度介護報酬改定に関するQ&A(Vol.1)令和6年3月15日 問116
Q.
「家族に対する介護等を日常的に行っている児童、障害者、生活困窮者、難病患者等の高齢者以外の対象者への支援に関する知識等に関する事例検討会、研修等に参加していること」について、自ら主催となって実施した場合や「他の法人が運営する指定居宅介護支援事業者と共同で事例検討会、研修会等を実施」した場合も含まれるか。
A.
含まれる。

令和6年度介護報酬改定に関するQ&A(Vol.1)令和6年3月15日 問117
Q.
「家族に対する介護等を日常的に行っている児童、障害者、生活困窮者、難病患者等の高齢者以外の対象者への支援に関する知識等に関する事例検討会、研修等に参加していること」について、これらの対象者に対し支援を行った実績は必要か。
A.
・事例検討会、研修等に参加していることを確認できればよく、支援実績までは要しない。
・ なお、当該要件は、介護保険以外の制度等を活用した支援が必要な利用者又はその家族がいた場合に、ケアマネジャーが関係制度や関係機関に適切に繋げられるよう必要な知識等を修得することを促すものであり、ケアマネジャーに対しケアマネジメント以外の支援を求めるものではない。

最後に

この記事は、作成時点の最新資料・情報を基に作成しています。具体的な解釈や申請等については、その都度、最新情報をご確認いただき、自治体等へ申請・お問い合わせいただきますようお願い致します。

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