【無料ひな型】訪問介護のアセスメントシートとは?書き方のポイントや項目を解説

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訪問介護に従事される方の中には「アセスメントシートの書き方のポイントは?」「アセスメントシートに記載すべき内容は?」など疑問に思われる方もいらっしゃるでしょう。

この記事では訪問介護のアセスメントを行わなければいけない理由、アセスメントシートの主な項目、記入する際のポイントなどを解説します。
ぜひ最後までお読みください。

目次

訪問介護のアセスメント

訪問介護のアセスメントとは?

訪問介護におけるアセスメントとは、利用者様の心身の状態や生活環境、本人・家族の希望などの情報を、「何ができるのか」「何に困っているのか」「どんな支援があれば理想の生活に近づくのか」といった視点からヒアリングを行い、状況・課題の把握・分析することです。

アセスメントはサービスを開始する前に実施し、アセスメントの情報をもとに利用者様に適した訪問介護サービスを計画します。
また、サービスの開始前だけでなく、状態の変化や環境の変化があった場合には随時アセスメントを実施し、計画を見直します。

アセスメントを行わなければいけない理由

訪問介護では、必ずアセスメントを実施する必要があります。
厚生労働省が定める運営指導で確認される『確認項目及び確認文書』においても明記されています。

確認項目 確認文書
訪問介護計画の作成

(第 24 条)

・居宅サービス計画に基づいて訪問介護計画が立てられているか

・利用者の心身の状況、希望および環境を踏まえて訪問介護計画が立てられているか

・サービスの具体的内容、時間、日程等が明らかになっているか

・利用者又はその家族への説明・同意・交付は行われているか

・目標の達成状況は記録されているか

・達成状況に基づき、新たな訪問介護計画が立てられているか

・居宅サービス計画

・訪問介護計画

(利用者又は家族の

同意があったことがわか

るもの)

・アセスメントシート

・モニタリングシート

つまり、訪問介護事業者は利用者の心身の状況、希望および環境の把握(=アセスメント)を行い、アセスメントの記録(アセスメントシート等)を保管しておく必要があります。

訪問介護のアセスメントシートとは?

アセスメントシートとは、アセスメントを行った日時、場所、利用者様に関して得た情報などを記載する書類です。
訪問介護計画の作成・見直しなどの際に使用します。

また、アセスメントシートは、アセスメントを実施したことを証明する書類でもあり、運営指導では「確認文書」として提出が求められることがあります。
訪問介護においてアセスメントシートは、利用者様に合った支援を行うための土台となる非常に重要な書類です。

アセスメントシートに記載する主な項目

訪問介護のアセスメントシートの様式は定められていません。
そのため、各事業所が方針に合わせて、必要な情報を適切に把握できるようなフォーマットを用意して使っています。

ここでは、訪問介護のアセスメントにおいて記載する主な項目を例としてご紹介します。

基本情報に関する項目

基本情報に関する項目 記載する内容
基本情報(受付、利用者等基本情報)
  • 利用者受付情報(受付日時、受付対応者、受付方法等)
  • 利用者の基本情報(氏名、性別、生年月日住所、電話番号等の連絡先)
  • 利用者以外の家族等の基本情報
これまでの生活と現在の状況
  • 利用者の現在の生活状況
  • これまでの生活歴等
利用者の社会保障制度の利用情報
  • 利用者の被保険者情報(介護保険、医療保険等)
  • 年金の受給状況(年金種別等)
  • 生活保護受給の有無
  • 障害者手帳の有無
  • その他の社会保障制度等の利用状況
現在利用している支援や社会資源の状況
  • 利用者が現在利用している介護保険サービス・医療保険サービス・障害福祉サービス、自治体が提供する公的サービス、フォーマルサービス以外の生活支援サービス等の状況
日常生活自立度(障害)
  • 障害高齢者の日常生活自立度(寝たきり度)
日常生活自立度(認知症)
  • 認知症高齢者の日常生活自立度
主訴・意向
  • 利用者の主訴や意向
  • 家族等の主訴や意向
認定情報
  • 利用者の認定結果(要介護状態区分、審査会の意見、区分支給限度額等)
今回のアセスメントの理由
  • アセスメントの実施に至った理由(初回、要介護認定の更新、区分変更、サービスの変更、退院・退所、入所、転居、そのほか生活状況の変化、居宅介護支援事業所の変更等)

課題分析(アセスメント)に関する項目

課題分析(アセスメント)に関する項目 記載する内容
健康状態
  • 利用者の健康状態及び心身の状況(身長、体重、BMI、血圧、既往歴、主傷病、症状、痛みの有無、褥そうの有無等)
  • 受診に関する状況(かかりつけ医・かかりつけ歯科医の有無、その他の受診先、受診頻度、受診方法、受診時の同行者の有無等)
  • 服薬に関する状況(かかりつけ薬局・かかりつけ薬剤師の有無、処方薬の有無、服薬している薬の種類、服薬の実施状況等)
  • 自身の健康に対する理解や意識の状況
ADL
  • ADL(寝返り、起きあがり、座位保持、立位保持、立ち上がり、移乗、移動方法、歩行、階段昇降、食事、整容、更衣、入浴、トイレ動作等)
IADL
  • IADL(調理、掃除、洗濯、買物、服薬管理、金銭管理、電話、交通機関の利用、車の運転等)
認知機能や判断能力
  • 日常の意思決定を行うための認知機能の程度
  • 判断能力の状況
  • 認知症と診断されている場合の中核症状及び行動・心理症状の状況
コミュニケーションにおける理解と表出の状況
  • コミュニケーションの理解の状況
  • コミュニケーションの表出の状況(視覚、聴覚等の能力、言語・非言語における意思疎通)
  • コミュニケーション機器・方法等
生活リズム
  • 1日及び1週間の生活リズム・過ごし方
  • 日常的な活動の程度(活動の内容・時間、活動量等)
  • 休息・睡眠の状況(リズム、睡眠の状況)
排泄の状況
  • 排泄の場所・方法、尿・便意の有無
  • 失禁の状況等
  • 後始末の状況等
  • 排泄リズム(日中・夜間の頻度、タイミング等)
  • 排泄内容(便秘や下痢の有無等)
清潔の保持に関する状況
  • 入浴や整容の状況
  • 皮膚や爪の状況(皮膚や爪の清潔状況、皮膚や爪の異常の有無等)
  • 寝具や衣類の状況(汚れの有無、交換頻度等)
口腔内の状況
  • 歯の状態(歯の本数、欠損している歯の有無等)
  • 義歯の状況(義歯の有無、汚れ・破損の有無等)
  • かみ合わせの状態
  • 口腔内の状態(歯の汚れ、舌苔・口臭の有無、口腔乾燥の程度、腫れ・出血の有無等)
  • 口腔ケアの状況
食事摂取の状況
  • 食事摂取の状況(食形態、食事回数、食事の内容、食事量、栄養状態、水分量、食事の準備をする人等)
  • 摂食嚥下機能の状態
  • 必要な食事の量(栄養、水分量等)
  • 食事制限の有無に関する項目
社会との関わり
  • 家族等との関わり(家庭内での役割、家族等との関わりの状況)等)
  • 地域との関わり(参加意欲、現在の役割
  • 参加している活動の内容等)
  • 仕事との関わり
家族等の状況
  • 本人の日常生活あるいは意思決定に関わる家族等の状況(本人との関係、居住状況、年代、仕事の有無、情報共有方法等)
  • 家族等による支援への参加状況(参加意思、現在の負担感、支援への参加による生活の課題等)
  • 家族等について特に配慮すべき事項に関する項目
居住環境
  • 日常生活を行う環境(浴室、トイレ、食事をとる場所、生活動線等)
  • 居住環境においてリスクになりうる状況(危険個所の有無、整理や清掃の状況、室温の保持、こうした環境を維持するための機器等)
  • 自宅周辺の環境やその利便性等
その他留意すべき事項・状況
  • 利用者に関連して、特に留意すべき状況(虐待、経済的困窮、身寄りのない方、外国人の方、医療依存度が高い状況、看取り等)
  • その他生活に何らかの影響を及ぼす事項

訪問介護のアセスメントシートの書き方【3つのポイント】

訪問介護のアセスメントシートを書く際には、以下の3つのポイントを意識して記入するとよいでしょう。

それぞれの項目について詳しく見ていきましょう。

「できること」も明確に記載する

アセスメントでは「何ができないか」だけではなく「何ができるか」も正確に記載することが重要です。

例えば、「調理は難しいが、食器の準備はできる」「外出は付き添いが必要だが、室内での移動は可能」など、できる範囲と支援が必要が範囲を切り分けて記載することで、利用者様の自立している部分を尊重しつつ、適切な支援を提供することが可能になります。

主観や推測ではなく「事実」に基づいて記録する

アセスメントシートでは、「事実」に基づいた客観的な内容・表現であることが大切です。
主観的な印象や曖昧な表現は避け、客観的な内容・表現での記載を心がけましょう。

例えば、「元気そう」と曖昧な表現で書くのではなく、「受け答えがはっきりしており、質問にも即答していた」など、具体的な言動をもとに記載します。

訪問介護計画につながることを意識する

アセスメントシートの記録は、訪問介護計画の元となる大切な情報です。
利用者の状態を把握するだけではなく、具体的にどのような支援が必要か判断するためのプロセスであることを意識しましょう。
「この情報からどんな支援が必要だと判断できるか」を意識しながら記載することで、実際の支援につながるアセスメントシートになります。

【無料】訪問介護アセスメントシートのひな型・テンプレートをダウンロード

訪問介護アセスメントシートのひな型は下記より無料でダウンロードいただけます。
ぜひご活用ください。

まとめ

ここまで、訪問介護のアセスメントを行わなければいけない理由、アセスメントシートの主な項目、記入する際のポイントを解説してきました。

アセスメントシートは利用者様の支援方針を決めるために聴き取った情報を記載する大切な書類になります。
適切に抜けもれなく情報収集ができるよう、事業所に合ったフォーマットを使用しましょう。
本記事ではアセスメントシートのひな型・テンプレートのダウンロードいただくことも可能なので、ぜひご活用ください。
最後までお読みいただきありがとうございました。

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