訪問介護のスキルアップ・キャリアアップのための研修・資格とは?
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訪問介護事業所のサービスの質の向上を図るためにも、人材育成に力を入れている事業者の皆様も多いのではないでしょうか。
職員にスキルアップをしてもらいたいと考えた時に、「どうすれば訪問介護員にスキルアップしてもらえるの?」や「どのような研修や資格を受けてもらうとスキルアップに繋がるの?」といった疑問が浮かぶかもしれません。
そのような疑問をお持ちの経営者・管理者の皆様に向けて、この記事では、訪問介護事業所で働く職員のスキルアップの方法や、スキルアップに役立つ研修・資格についてご紹介していきます。
目次
- 訪問介護員のキャリアアップとは?
- 訪問介護員のスキルアップのために取得してほしい資格とは?
- 訪問介護員のスキルアップのために受講してほしい研修とは?
- 事業者が行う訪問介護員のスキルアップのための支援・制度とは?
- まとめ
訪問介護員のキャリアアップとは?
キャリアアップとは、専門的な知識や高い能力を身につけて、役職や地位、経歴を高めることを言います。
訪問介護事業所の訪問介護員には、「訪問介護員」→「資格取得・経験を積んだ訪問介護員」→「サービス提供責任者」→「管理者」といったキャリアアップの例が挙げられます。
また、多角的に事業所を経営している場合は、訪問介護事業所の管理者に向けたキャリアアップだけでなく、他の事業所の管理者・中間管理職などを目指すこともできます。
訪問介護員のスキルアップのために取得してほしい資格とは?
スキルアップとは、学習や研修、訓練などを通して自身の能力を高めることを言います。
訪問介護員のスキルアップに資する資格として、以下のような資格が挙げられます。
- 介護福祉士
- 認定介護福祉士
- 認知症ケア専門士
それでは、一つずつ詳しく見ていきましょう。
介護福祉士
介護福祉士とは、「社会福祉士及び介護福祉士法」に基づく名称独占の国家資格で、専門知識と技術をベースに日常生活に援助が必要な方々の支援を行う資格です。
介護福祉士の資格を取得するには?
介護福祉士の資格を取得するためには、介護福祉士国家試験に合格する必要があり、この国家試験を受験するためには、EPAルートを除くと3つのルートがあります。
【福祉系高校ルート】
文部科学大臣及び厚生労働大臣が指定する福祉系高校で必要な知識と技能を修得した後に、国家試験を受験するルート。
【介護福祉士養成施設ルート】
都道府県知事が指定する介護福祉士養成施設等で必要な知識と技能を修得をした後に、国家試験を受験するルート。
【実務経験・実務者研修ルート】
3年以上の介護等の業務に関する実務経験と、都道府県知事が指定する実務者研修等で必要な知識と技能の修得をした後に、国家試験を受験するルート。
認定介護福祉士
認定介護福祉士とは、一般社団法人認定介護福祉士認証・認定機構によって創設された民間資格で、介護福祉士の上位資格として位置づけられています。
認定介護福祉士の資格を取得するには?
認定介護福祉士の資格を取得するためには、受講要件をクリアした上で認定介護福祉士養成研修を受講し、全科目(22科目)を修了する必要があります。
【受講要件】
- 介護福祉士の資格がある
- 介護福祉士資格取得後の実務経験5年以上
- 介護職員を対象とした現任研修の100時間以上の研修歴がある
- 研修実施団体の課すレポート課題または受講試験において一定の水準の成績を修めている(免除の場合あり)
認知症ケア専門士
認知症ケア専門士とは、認知症ケアに対する優れた知識と技能、倫理観を備えた専門技術士を養成することを目的に、一般社団法人日本認知症ケア学会が創設した民間資格です。
認知症ケア専門士の資格を取得するには?
認知症ケア専門士の資格を取得するためには、受験資格をクリアした上で、認定試験を受験する必要があります。
【受験資格】
- 認知症ケアに関する施設・団体機関等おいて、試験実施年の3月31日より過去10年間に、3年以上の認知症ケアの実務経験がある
【資格取得までの流れ】
- 第1次認定試験(WEB試験)に合格
- 第2次認定試験(論述試験)に合格
- 倫理研修(研修動画)の受講
訪問介護員のスキルアップのために受講してほしい研修とは?
訪問介護員のスキルアップに役立つ研修として、以下のような研修が挙げられます。
- 実務者研修
- 喀痰吸引等研修
- 認知症にかかわる実践的な研修
それでは、一つずつ詳しく見ていきましょう。
実務者研修
実務者研修は、より実践的な介護知識や技術の習得を目的とした、介護職員初任者研修の上位資格です。実務者研修を修了すると、サービス提供責任者になるための要件を満たすことができます。
受講要件と費用
実務者研修は、保有している資格によって受講科目の免除があります。
ここでは、介護労働安定センターが実施している実務者研修過程における保有資格別の受講費用をご紹介します。
受講時間 | 450時間コース | 320時間コース | 95時間コース | 50時間コース |
保有資格 | 無資格 | ヘルパー2級および初任者研修修了者 | ヘルパー1級修了者 | 介護職員基礎研修修了者 |
受講料 | 無料 | 140,000円 | 100,000円 | 70,000円 |
テキスト代 | 12,650円 | 12,650円 | 5,280円 | 3,080円 |
損害保険料 | 面接授業日数×30円 | なし | なし | なし |
喀痰吸引等研修
喀痰吸引等研修とは、2012年4月から、介護福祉士および一定の研修を受けた介護職員等が、医療や介護との連携により安全確保が図られているなどの一定の条件の下で「たんの吸引等」を実施することができるようになったことから、施設や居宅において「たんの吸引」および「経管栄養」を行える介護職員を養成するために制度化された研修です。
喀痰吸引等研修は、以下のように3種類に分類されています。
種類 | 対象行為 |
---|---|
第1号研修 | たんの吸引(口腔内、鼻腔内、気管カニューレ内部)、経管栄養(胃ろう又は腸ろう、経鼻経管栄養) |
第2号研修 | たんの吸引(口腔内、鼻腔内気管カニューレ内部)、経管栄養(胃ろうまたは腸ろう、経鼻経管栄養)のうちいずれか任意の行為 |
第3号研修 | たんの吸引(口腔内、鼻腔内、気管カニューレ内部)、経管栄養(胃ろう又は腸ろう、経鼻経管栄養)
※特定の利用者様に対してたんの吸引等を実施する場合 |
ここからは、介護労働安定センター長野支部が実施している喀痰吸引等研修の内容をご紹介します。
受講要件
以下の全ての要件を満たした上で、受講予定者を勤務する事業所の長が推薦する必要があります。
- 以下のいずれかに当てはまる
- 介護福祉士資格保有者
- 実務者研修修了者
- 第二号研修修了者
- 介護福祉士養成校の卒業生で「医療的ケア」の科目において基本研修(講義・演習)を修了している
- 介護または障害者支援等の経験がある
- 長野県に住所がある又は長野県に所在する事業所に勤務している
- 原則として、現在勤務する事業所に上記医療行為を行なう対象者がいる
- 原則として、現在勤務する事業所が特定事業所として登録申請している又は登録申請を行う予定である
- 原則として、現在勤務する事業所に実地研修指導者がおり、実地研修に際し指導を受けることができる
- 免除科目以外の全科目出席可能である
費用
介護福祉士、介護・障害者支援経験者 経過措置対象者(口免)含む | 実務者研修修了者 | 第二号研修修了者、養成校卒業生 | |
---|---|---|---|
受講料 | 100,000円 | 40,000円 | 5,000円 |
テキスト代 | 3,080円 | 3,080円 | |
合計 | 103,080円 | 43,080円 | 5,000円 |
認知症にかかわる実践的な研修
認知症にかかわる実践的な研修には、「認知症介護実践者研修」、「認知症介護実践リーダー研修」、「認知症対応型サービス事業管理者研修」など、様々な種類があります。
ここでは、東京都が実施している「認知症介護実践者研修」について詳しくご紹介します。
目的
認知症介護実践者研修は、「認知症の人が、能力に応じて自立した日常生活を営む」ことを支援するための実践的な知識・技術を学び、サービス形態にとらわれない支援を展開できるようになることを目的として実施されています。
また、介護現場の中心的存在として、他の職員をリードし、認知症支援の質を向上させるために具体的な行動ができることを目指した研修となっています。
受講要件
以下の要件を全て満たしている必要があります。
- 東京都内の介護保険施設・事業所(居宅介護支援事業所を除く)に従事して いる介護職員等
- 原則として、認知症の人の介護に関する経験が2年程度以上
費用
- 無料
事業者が行う訪問介護員のスキルアップのための支援・制度とは?
訪問介護員にスキルアップしてもらうためには、事業者がスキルアップのための支援を行うことも大切です。
【従業員のスキルアップのための制度】
- 書籍の購入費用の全額または一部を補助する制度
- 資格取得時に受験料や教材費を助成する制度
- 勤務時間内に研修や勉強会への参加を認める制度
- 特定の資格を取得した際に手当を支給する制度
まとめ
ここまで、訪問介護事業所の職員にスキルアップしてもらうための研修・資格についてご紹介してきましたが、いかがでしたでしょうか。
事業所全体のサービスの質の向上を図るため、そして成長を実感しながら長く働いてもらうためにも、事業者としてスキルアップのための支援を行うことが大切になっています。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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