訪問介護(ヘルパーステーション)の法定研修とは?計画の作成のポイントもご紹介!
SMS CO.,LTD
訪問介護(ヘルパーステーション)は、サービスの質を確保するために様々な研修を従業員に受講させる必要があります。そして従業員の研修受講状況は、運営指導のチェックポイントにもなっています。
訪問介護の経営者・管理者である皆様は、「訪問介護の法定研修をすべて実施したいが、どのような種類の研修を実施しなくてはいけないの?」、「研修計画の立て方が分からない」、「運営指導で指摘を受けないためにも研修を実施したいけど、簡単に研修を実施する方法はないの?」といった疑問や悩みをお持ちではないでしょうか。
この記事では、訪問介護の法定研修の項目と年間研修計画の作成のポイントなどをご紹介していますので、ぜひ最後までお読みください。
目次
訪問介護(ヘルパーステーション)の法定研修とは?
訪問介護事業所は、運営基準に定められる研修・訓練等を実施しなくてはいけません。
事業者に研修等の実施が義務付けられている研修は「法定研修」と呼ばれています。
その中でも特に、第30条に定められている内容が「事業者は、訪問介護員等の資質の向上のために、その研修の機会を確保しなければならない。」となっているため、介護業務に係る研修や運営基準に定められている業務・方針に関する研修など、様々な研修を実施しなければならないと解釈することができます。
【研修・訓練の実施が定められている運営基準】
- 第30条「勤務体制の確保等」
- 第30条の2「業務継続計画の策定等」
- 第31条「衛生管理等」
- 第37条の2「虐待の防止」
訪問介護(ヘルパーステーション)の法定研修の具体例
ここでは、運営基準に定められている研修(法定研修)について、訪問介護員等の資質向上のために必要となる研修を加えて、具体例としてご紹介しますので、参考情報としてご覧ください。
認知症と認知症ケア
「認知症の人が能力に応じて自立した日常生活を営む」ことを支援するために、認知症介護に必要な知識や技能についての研修。
マナーと接遇
挨拶や身だしなみなどの接遇の基本から利用者様宅を訪問する時、利用者様にサービスを提供する際の声掛けの注意点など、訪問介護事業所で働く上でのマナーについての研修。
ハラスメントの防止、対策
ハラスメント(セクシャルハラスメント、パワーハラスメント、カスタマーハラスメント等)の理解、事業主の方針、対策の必要性、相談の受付・対応についての研修。
業務継続計画(BCP)
自然災害や感染症が発生した場合、発生時の対応とその後の業務継続計画に沿った事業再開までのフローなどについての研修。
感染症等の予防、まん延防止
感染症等に対する理解、平常時の対応、感染症の発生時の対応など事業所の指針、マニュアルに沿った対応方法についての研修。
高齢者虐待防止
虐待の防止のための指針・マニュアル等に基づき、虐待と虐待防止についての研修。
法令遵守
介護保険法や高齢者虐待防止法、労働基準法など業務に関係する法令等の理解と法令遵守の重要性についての研修。
プライバシー保護の取り組み
厚生労働省の「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイダンス」の理解など、利用者様の個人情報やプライバシー保護のためのルールについての研修。
苦情対応
利用者様から苦情を受けた場合の対応と記録、苦情に繋がらないための対応についての研修。
事故対応と再発防止
事故発生時の対応方法、事故に関する記録方法、事故の原因の解析、再発防止策の検討方法についての研修。
緊急時の対応
利用者様の病状や体調が急変した場合の対応方法についての研修。
外部研修も活用しよう!
外部研修とは、事業所以外の各種団体等が開催する研修のことを指します。
ご自身の事業所で講師の確保や資料の作成などが難しい研修の内容・項目については、職能団体等が実施している外部研修を活用しましょう。
ここでは、外部研修の例として、東京都社会福祉協議会が行っている研修をご紹介します。
- 福祉職員職務階層別研修(初任者、中堅職員、チームリーダー、管理職員など)
- 福祉事業所経営支援研修(経営、労務管理、苦情解決など)
- 後輩指導力強化研修(スーパービジョン、コーチング、リーダーシップなど)
- カスタマーハラスメント研修
- メンタルヘルス等講習会
- 認知症介護研修(認知症介護実践者、実践リーダー等)
- 介護職員スキルアップ研修
年間研修計画の作成のポイント
年間研修計画とは、事業所がその年度に実施する研修の計画書です。
年間研修計画を作成する際のポイントは以下のようになります。
- 年間研修計画は、その年度が始まる前までに作成する。
- 社内研修と外部研修を合わせて、1ヵ月に1〜2回のペースで実施・参加を予定する。
- サービスの提供に支障が出ないようにスケジュールを調整する。
- 事業所の現状を考え、必要な研修科目を設定する。
- 研修科目に対して対象者と担当する講師を決めておく。
個別研修計画の作成のポイント
個別研修計画とは、従業員個人ごとのその年度に受講する研修の計画書です。
訪問介護事業所が特定事業所加算を算定する場合は、「個別研修計画書」が必要になります。
特定事業所加算は、専門性の高い人材を確保し、質の高いサービスを提供するための体制を確保することを目的としているため、それぞれの職員に合わせたスキルアップ等に繋がる研修を受講させる必要があります。
個別研修計画を作成する際のポイントは以下のようになります。
- 個別研修計画は、その年度が始まる前までに作成する。
- 常勤・非常勤を問わず従業員全員分について個別研修計画を作成する。
- 個別具体的な研修の目標、内容、研修期間、実施時期等を定める。
まとめ
訪問介護事業所の法定研修と年間研修計画・個別研修計画の作成方法について説明してきました。
事業所として、実施しなくてはいけない研修(法定研修)と実施すべき研修を把握し、適切な年間研修計画を作成しましょう。
最後までお読みいただきありがとうございました。