訪問介護の稼働率の計算方法とは?利用率アップの方法や売上の全国平均もご紹介
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訪問介護事業所の運営をする中で、訪問回数や売上と共に、稼働率を気にしている経営者・管理者の皆様もいらっしゃるでしょう。
その際に、「そもそも訪問介護の稼働率はどうやって計算するの?」や「稼働率をアップさせるためには何をすればいいの?」といった疑問が浮かぶかもしれません。
この記事では、訪問介護事業所を運営する皆様に向けて、稼働率の計算方法や、稼働率をアップするための具体的な方法などについて解説します。
目次
訪問介護の稼働率とは?
訪問介護における稼働率は、厳密な定義は決まっておらず、経営者によって考え方に違いがありますが、この記事では「職員の勤務延時間数に対するサービス提供時間数の割合」として説明します。
稼働率は、職員が勤務時間内にどれだけサービス提供を行うことができたかを表す指標で、稼働率が低いと手待ち時間や事務作業、移動などの時間が多く、売上に直結するサービス提供の時間が少ないということになります。
訪問介護の稼働率の計算方法
稼働率=1カ月のサービス提供時間数÷1カ月の勤務延時間数
勤務延時間数は、休憩時間は含めませんが、以下を含めて算出します。
勤務延時間数に含めるもの
- 事務作業の時間
- 移動時間
- 残業時間
- 勤務時間内の待機時間
- 管理者・サービス提供責任者の勤務時間(訪問可能時間)
訪問介護の訪問回数や売上の全国平均
ここからは、稼働率にも関連している訪問回数と売上金額の全国平均について厚生労働省の調査結果を見ていきましょう。
訪問介護の訪問回数の全国平均とは?
厚生労働省の「令和5年度介護事業経営実態調査」によると『1事業所あたりの延べ訪問回数』と『常勤換算職員1人あたりの訪問回数』の全国平均は以下のようになっています。
- 1事業所あたりの月の延べ訪問回数・・・1月あたり759.6回
- 常勤換算職員1人あたり訪問回数・・・1月あた104.6回
訪問介護の売上の全国平均
厚生労働省の「令和5年度介護事業経営実態調査」によると『訪問介護事業所の収入』と『訪問1回あたり収入(平均単価)』の全国平均は以下のようになっています。
- 訪問介護事業所の収入・・・1月あたり3,011,000円
- 訪問1回あたり収入(平均単価)・・・3,965円
訪問介護の採算ラインを超える訪問回数とは?
実際に採算ラインを超えるために必要となる訪問回数はそれぞれの事業所の人件費率や利益率によって差はありますが、おおよその訪問回数によって平均収支差率に違いがあることが示されています。
厚生労働省の「令和5年度介護事業経営実態調査」によると、訪問回数別の収支差率(税引き後)は以下のようになっており、訪問回数が一定回数を上回ると収支差率が高くなる傾向が分かります。
- 200回以下:1.5%
- 201回~400回:1.8%
- 401回~600回:4.9%
- 601回~800回:6.3%
- 801回~1000回:5.7%
- 1001回~1200回:6.3%
- 1201回~1400回:13.1%
- 1401回~2000回:7.5%
- 2001回以上:12.7%
訪問介護の稼働率をアップする方法とは?
訪問介護の稼働率をアップさせるためには、サービス提供時間数と1カ月の勤務延時間数の差を最小化させること、つまり、サービス提供時間数を増やし、手待ち時間、事務作業、移動などの時間を相対的に減らすことが必要です。
利用者数を増やすための具体的な方法
利用者数を増やすためには、ケアマネジャーなどに事業所を認知してもらい、信頼関係を築き、利用者を紹介してもらうことが大切です。
利用者数を増やす方法の具体例として以下のような取り組みが挙げられます。
- 事業所の強みや特色が伝えられるようなパンフレットを作成し、居宅介護支援事業所・地域包括支援センターに営業に行く。
- 管理者やサービス提供責任者が営業に時間を割けるように、ICT等を導入して他の業務を効率化する。
- ケアマネジャー等との信頼関係を築くために、地域の事例検討会等に積極的に参加・協力する。
- サービスの質の向上に向けた取り組みを行い、ケアマネジャーにサービスの質の高さをアピールする。
- ケアマネジャーに利用者の受け入れ可能な曜日・時間帯等を定期的に伝える。
事務作業や移動時間を削減するための具体的な方法
事務作業や移動時間などを削減するためには、ヘルパーの業務効率化のための取り組みを行っていくことが大切です。
業務効率化の具体例として以下のような取り組みが挙げられます。
- できるだけ移動時間が最小化するように、訪問スケジュール・ルートを見直す。
- 紙で勤務時間の報告をする手間、そのための移動時間を削減するために、スマートフォンで打刻できるアプリを導入する。
- 紙で訪問介護記録を書く手間を削減するために、スマートフォンやタブレットで入力できる介護報酬請求・記録ソフトを導入する。
まとめ
ここまで、訪問介護の稼働率や、稼働率をアップするための具体的な取り組みについて述べてきましたが、いかがでしたでしょうか。
稼働率をアップするためには、サービス提供時間を増やし、事務作業や移動の時間を相対的に減らすことが重要です。そのためには、ケアマネジャーへ営業して利用者様を増やすとともに、ICTなどを導入して記録等の事務作業を効率化することが有用でしょう。
最後までお読みいただきありがとうございました。