デイサービスの開業で失敗しないための対策は?成功事例も!
地域の中での介護ニーズの高まりを受けて、デイサービスの新規開業を検討される方もいらっしゃるかと思います。
デイサービスの開業では、物件の確保や、人材採用、資金調達などやるべきことが多く、手続きが大変で開業を断念するケースも多いです。
また、開業後の人材採用や利用者獲得に不安を感じて、開業を決断できない方もいらっしゃるでしょう。
この記事では、デイサービスの開業で失敗しやすいポイントや、失敗しないための対策、参考にしたい開業の成功事例について詳しくご説明します。
目次
1.デイサービスの動向
デイサービスの倒産件数
株式会社東京商工リサーチの2024年「老人福祉・介護事業」の倒産調査によると、介護事業者(老人福祉・介護事業)の倒産は、過去最多の172件(前年比40.9%増)でした。
なかでもデイサービスを含む通所・短期入所の倒産は、56件と2022年の69件に次ぐ過去2番目の倒産件数です。
原因別では、最多が「販売不振(売上不振)」の125件(構成比72.6%)と、利用者減少による影響が非常に大きいようです。
(【画像引用】東京商工リサーチ 2024年「介護事業者」倒産が過去最多の172件 「訪問介護」が急増、小規模事業者の淘汰加速 より)
赤字のデイサービスの割合
WAM NETの「2022年度通所介護の経営状況について」の調査結果によると、通所介護の赤字事業所の割合は『49.6%』となっています。
通所介護事業所の経営状況は、利用率の低下および水道光熱費率の上昇により半数近くが赤字経営という非常に厳しい状況です。
2.デイサービスの開業で失敗しやすいポイント
デイサービスの開業で失敗しやすいポイントは、
- 条件に合う物件が見つからない
- 職員を採用できず人員基準を満たせない
- 利用者を確保できない
- 資金計画の見通しが甘い
となっていますので、それぞれの詳細について見ていきましょう。
①条件に合う物件が見つからない
デイサービスの開業準備において、最初の大きな壁が「条件に合う物件の確保」です。
適切な物件を確保できないと、そもそも開業ができないことになります。
その際、注意したいのがデイサービスの「設備基準」です。
デイサービスの設備基準では、
- 食堂・機能訓練室(利用定員×3㎡以上)
- 静養室
- 相談室
- 事務室
などの物件に関連する条件が定められています。
また、設備基準の他にも、様々な法律に適合しているか注意しましょう。
- 都市計画法における用途地域はデイサービスが開業できる用途か
- 建築基準法における建物の用途区分は変更の必要がないか
- 消防法上の基準を満たしているか
- 建築基準法に適合しているか
自己判断で大丈夫だと思っていたら、開業直前になって改修の必要がわかり、開業が遅れてしまった…というケースもあります。
適切な物件が見つからなかったり、見つかっても家賃やリフォーム費用が想定以上に高額になってしまったりして、開業そのものを諦めてしまうケースも少なくありません。
②職員を採用できず人員基準を満たせない
デイサービスの開業準備において、次の大きな壁が「職員の確保」です。
人員基準に定められる職種・人数を採用できないと、そもそも開業ができないことになっています。
内閣府の「令和6年版高齢社会白書」によると、2023年の介護関係職種の有効求人倍率は『4.02』となっており、全職業の『1.19』と比較して、とても採用が困難な状況になっています。
デイサービスの人員基準では、
- 管理者が常勤専従で1人
- 生活相談員が1人以上
- 看護職員が1人以上
- 介護職員が利用者の数に応じた数以上
- 機能訓練指導員が1人以上
などの人員に関する条件が定められています。
③利用者を確保できない
開業後の失敗しやすいポイントとして「利用者を確保できないこと」も挙げられます。
利用者獲得のために営業に行ってはいるけれど、なかなかうまくいかず、利用につながらない…というケースは多々あります。
利用者獲得が進まない状況が続くと、赤字経営になり、事業の経営に失敗してしまうことになります。
④資金計画の見通しが甘い
開業後の失敗しやすいポイントとして「資金計画の見通しが甘いこと」も挙げられます。
デイサービスの開業に必要な資金は、約1,500万円が一般的な相場と言われています。
デイサービスの開業では、自己資金に加えて、金融機関から資金調達を行うことが一般的です。
そして融資を受けた場合は、開業後は定期的に返済を行うことになります。
そうしたなかで、開業後の収入の見積もりが甘かったり、開業前後で予想以上に支出が増えてしまったりすると資金不足に陥り、事業の経営に失敗してしまうことになります。
3.デイサービスの開業で失敗しないための対策
①物件は早めに調査・確保しておく
「開業予定日を決めているけど、いい物件が見つからないので開業できない」とならないように、物件探しは早めに始めましょう。
介護保険法の設備基準、都市計画法、建築基準法、消防法などの希望の条件を満たす物件はなかなか見つからないので、不動産屋に条件を伝えて該当物件の紹介を受けるだけでなく、不動産情報サイトやアプリなども利用すると良いでしょう。
ただし、賃貸の場合、あまり早くに物件を確保してしまうと、賃貸料が発生することになるため、費用が掛かる点には注意が必要です。
②様々な求人媒体を利用し、人材採用を進める
介護業界の求人倍率は高いので、「ハローワークに求人票を出す」だけでは採用したい職種・人数の確保は難しいでしょう。
採用がうまく進まない場合に備えて、様々な求人媒体を把握して、利用しましょう。
一般的に、介護業界で利用されている求人媒体・採用方法には以下のような種類があります。
- ハローワーク
- 求人情報誌
- Webの求人情報サイト
- 人材紹介サービス
- リファラル採用(職員からの紹介)
- SNS採用(ソーシャルリクルーティング)
③利用者獲得のため営業に行き、自社の強みをPRする
開業直後は特に「新規利用者が増えない」という問題が起きやすいので、居宅介護支援事業所や地域包括支援センターに営業に行きましょう。
営業に行っているのに利用者が増えない場合、「事業所の強み・魅力を十分にアピールできていない」という可能性があるので、自社の強み等をきちんと伝えられるように、営業用のトークスクリプトやチラシ等を準備しましょう。
営業に伺う際は、営業される側の立場に立って考え、一方的な伝達にならないように注意しましょう。
④綿密な資金計画を立てる
資金不足で事業所の経営に失敗しないためには、「綿密な資金計画を立てること」が重要です。
開業資金が不足しないように、開業に必要な備品・消耗品はできるだけ抜けもれなくリストアップすることを目指しましょう。
介護報酬は2か月遅れで入金されるため、少なくとも2か月分の運転資金は確保しつつ、月々の支払いから資金繰り表を作成し、キャッシュフローを把握しなければいけません。
また、予想よりも収入が少なくなってしまったり、突発的な支出があったりすることは起こりえますので、予備費を考慮した資金計画を立てましょう。
資金計画に不安を感じる場合は、税理士などの専門家に相談することをオススメしています。
4.参考にしたい!デイサービス開業の成功事例
事例1:株式会社ルート 様
20代半ばでリハビリ特化型デイサービスを開業。初めてでもスムーズに立ち上げられました。
カイポケのソフトを使用するにあたり、開業支援サービスを目にしたため活用。
各ステップごとの注意事項や、次のステップの案内などが適切で、スムーズに開業準備を進められた。
詳細はこちらの記事をご覧ください。
事例2:株式会社えんパシー 様
開業するための資金繰りをどのようにするのか、集めた資金をどのように配分して事業を立ち上げるのかイメージが湧かず不安。
他社の事例も交えながら、法人設立から開業後まで一気通貫でサポート。理想的な事業所を無事開業。
詳細はこちらの記事をご覧ください。
まとめ
デイサービス開業で失敗しやすいポイントと失敗しないための対策について詳しく説明してきましたが、いかがでしたか?
失敗しやすいポイントとしては、物件や人材が確保できない、利用者が確保できない、資金不足などが挙げられます。
それぞれのポイントについて適切に対策し、スムーズな開業で事業の早期黒字化・安定化を目指しましょう。
もしもデイサービスの開業について不安な方には、専任スタッフが開業まで伴走支援する「カイポケ開業支援サービス」のご利用をオススメします。
商圏調査をふくむ事業計画、融資相談、人材採用支援などもオプションで選択可能です。
解決策のひとつとしてぜひご検討ください。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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