デイサービス(通所介護)で作成必須のマニュアル一覧!



デイサービスの開業を検討している皆様の中には、「開業までにどのようなマニュアルを揃えなくてはいけないの?」や「マニュアルはどうやって作成すればいいの?」といった疑問をお持ちの方もいらっしゃるでしょう。
この記事では、デイサービスにおいて作成するマニュアルの種類や作成方法などをご紹介しています。

スタートからゴールまで3ステップを描いた紙の写真

目次

デイサービス(通所介護)のマニュアルとは

マニュアルとは、業務の全体像や仕事に対する考え方と共に、仕事の進め方や必要な準備などを、誰が見ても分かるよう具体的に示した書類です。
デイサービスが作成するマニュアルには、緊急時・急変時対応マニュアルや事故対応マニュアルなどの運営指導で確認される作成義務があるものと、請求業務マニュアルや新人研修マニュアルなどの作成義務はないが業務を効率化するために作成した方が良いものに分けられます。

作成しておかなくてはいけないマニュアル
  • 緊急時・急変時対応マニュアル
  • 苦情対応マニュアル
  • 事故対応マニュアル
  • ハラスメント防止マニュアル
  • 非常災害時対応マニュアル
  • 感染症及び食中毒の予防及びまん延の防止のための指針
  • 虐待防止のための指針
作成しておいた方が良いマニュアル
  • 請求業務・介護ソフトのマニュアル
  • マナー・接遇マニュアル
  • 生活相談員の業務マニュアル
  • 看護師の業務マニュアル
  • 介護職員の業務(入浴介助、清拭、排泄解除、食事介助、移動介助等)マニュアル
  • 新人研修マニュアル
  • 送迎・福祉車両のマニュアル
  • 防犯設備のマニュアル
  • お問い合わせ対応マニュアル
  • 個人情報取扱マニュアル
    など

デイサービス(通所介護)の作成義務があるマニュアルの一覧

まずは、デイサービス事業所で作成義務があるマニュアルをご紹介していきます。
作成義務があるマニュアルは、運営基準に作成が義務付けられているものを指します。 運営指導(実地指導)では、マニュアル等を作成しているかをチェックされますので、もしマニュアル等を作成していない場合、運営指導で指摘を受けることになります。

【運営指導でチェックされるマニュアル・指針の一覧】

  • 緊急時・急変時対応マニュアル
  • 苦情対応マニュアル
  • 事故対応マニュアル
  • ハラスメント防止マニュアル
  • 非常災害時対応マニュアル
  • 感染症及び食中毒の予防及びまん延の防止のための指針
  • 虐待防止のための指針

ここからは、それぞれのマニュアルに記載する項目などを詳しく見ていきます。

デイサービスで必要なマニュアル①緊急時・急変時対応マニュアル

緊急時・急変時対応マニュアルには、デイサービスで利用者様の体調・病状に急変が生じた場合に取るべき対応等を記載します。
通所介護では、運営基準に以下のように緊急時等の対応を行わなければならないことが定められ、運営指導の標準確認項目として「緊急時対応マニュアル等が整備されているか」という項目があることから、緊急時・急変時対応マニュアルは、作成しなくてはいけない書類となっています。

(緊急時等の対応)
第二十七条 通所介護事業者は、現に指定通所介護の提供を行っているときに利用者に病状の急変が生じた場合その他必要な場合は、速やかに主治の医師への連絡を行う等の必要な措置を講じなければならない。

(引用元:指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準)

緊急時・急変時対応マニュアルには、以下のように救急隊や主治医等へ連絡する手順を分かりやすく記載します。

【緊急時・急変時対応マニュアルに記載する項目】

  • 急変時の確認事項(意識状態、呼吸状態、発熱、嘔吐等)
  • 急変時に行う処置内容
  • 救急隊へ連絡するべき状況(意識障害、呼吸停止、呼吸困難、けいれん発作等)
  • 119番で救急隊へ伝える情報・伝え方
  • ケアマネジャーや家族への連絡方法
    など

デイサービスで必要なマニュアル②苦情対応マニュアル

苦情対応マニュアルには、利用者様やご家族からの苦情に適切に対応するために、事業所における苦情処理の体制や手順を記載します。
通所介護では、運営基準に以下のように苦情に対応しなければならないことが定められています。

(苦情処理)
第三十六条 指定通所介護事業者は、提供した指定通所介護に係る利用者及びその家族からの苦情に迅速かつ適切に対応するために、苦情を受け付けるための窓口を設置する等の必要な措置を講じなければならない。
2 指定通所介護事業者は、前項の苦情を受け付けた場合には、当該苦情の内容等を記録しなければならない。
3 指定通所介護事業者は、提供した指定通所介護に関し、法第二十三条の規定により市町村が行う文書その他の物件の提出若しくは提示の求め又は当該市町村の職員からの質問若しくは照会に応じ、及び利用者からの苦情に関して市町村が行う調査に協力するとともに、市町村から指導又は助言を受けた場合においては、当該指導又は助言に従って必要な改善を行わなければならない。
4 指定通所介護事業者は、市町村からの求めがあった場合には、前項の改善の内容を市町村に報告しなければならない。
5 指定通所介護事業者は、提供した指定通所介護に係る利用者からの苦情に関して国民健康保険団体連合会(国民健康保険法(昭和三十三年法律第百九十二号)第四十五条第五項に規定する国民健康保険団体連合会をいう。以下同じ。)が行う法第百七十六条第一項第三号の調査に協力するとともに、国民健康保険団体連合会から同号の指導又は助言を受けた場合においては、当該指導又は助言に従って必要な改善を行わなければならない。
6 指定通所介護事業者は、国民健康保険団体連合会からの求めがあった場合には、前項の改善の内容を国民健康保険団体連合会に報告しなければならない。

(引用元:指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準)

苦情対応マニュアルには、以下の項目を分かりやすく記載します。

【苦情対応マニュアルに記載する項目】

  • 苦情対応の基本(話し方、話を理解してもらえない場合の対応方法など)
  • 苦情処理の体制(相談窓口や担当者)
  • 苦情処理の流れ(記録、市町村や国保連等への調査の協力、改善報告、家族やケアマネジャー、主治医への報告など)
    など

デイサービスで必要なマニュアル③事故対応マニュアル

事故対応マニュアルには、利用者様が安心して通所介護サービスを利用できるよう、事故が発生した場合に事業者が取る措置や対応、その手順等を記載します。
通所介護の運営基準には、「事故発生時の対応」について以下のように定められています。

(事故発生時の対応)
第三十七条 指定通所介護事業者は、利用者に対する指定通所介護の提供により事故が発生した場合は、市町村、当該利用者の家族、当該利用者に係る居宅介護支援事業者等に連絡を行うとともに、必要な措置を講じなければならない。
2 指定通所介護事業者は、前項の事故の状況及び事故に際して採った処置について記録しなければならない。
3 指定通所介護事業者は、利用者に対する指定通所介護の提供により賠償すべき事故が発生した場合は、損害賠償を速やかに行わなければならない。

(引用元:指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準)

事故対応マニュアルには、以下の項目を分かりやすく記載します。

【事故対応マニュアルに記載する項目】

  • 利用者様の身体の保護と安全確保の方法(事故状況の把握、傷害の程度を判断、救急車の手配、止血や人工呼吸等等の対応)
  • 関係者への連絡(ケアマネジャー、行政、医師、救急車等)
  • ご家族への連絡網(職員からの報告⇒管理者⇒ご家族)
  • 被害拡大防止のための対応(食中毒や感染症の発生等の際は医師や関係機関等の指示に従う)
  • 事故の記録の作成方法
    など

デイサービスで必要なマニュアル④ハラスメント防止マニュアル

ハラスメント防止マニュアルには、職場におけるセクシャルハラスメントやパワーハラスメントを防止するために、ハラスメント対策への基本方針や具体的な取組みなどについて記載します。
通所介護では、ハラスメントの防止について運営基準に以下のように定められています(「勤務体制の確保等」より一部抜粋)。

(勤務体制の確保等)
第百一条
4 指定通所介護事業者は、適切な指定通所介護の提供を確保する観点から、職場において行われる性的な言動又は優越的な関係を背景とした言動であって業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより通所介護従業者の就業環境が害されることを防止するための方針の明確化等の必要な措置を講じなければならない。

(引用元:指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準)

ハラスメント防止マニュアルの作成に当たっては、厚生労働省老人保健健康増進等事業「 介護現場におけるハラスメント対策マニュアル (株式会社三菱総合研究所) 」を参考にして作成しましょう。

令和4年三菱総合研究所 介護現場におけるハラスメント対策マニュアル

(出典: 令和4年三菱総合研究所 介護現場におけるハラスメント対策マニュアル

デイサービスで必要なマニュアル⑤非常災害時対応マニュアル

非常災害時対応マニュアルには、火災や台風等の非常災害が発生した際に適切な対応を取れるように、災害時の連携体制や避難、救出などの手順を記載します。
通所介護の運営基準には、「非常災害対策」について以下のように定められています。

(非常災害対策)
第百三条 指定通所介護事業者は、非常災害に関する具体的計画を立て、非常災害時の関係機関への通報及び連携体制を整備し、それらを定期的に従業者に周知するとともに、定期的に避難、救出その他必要な訓練を行わなければならない。
2 指定通所介護事業者は、前項に規定する訓練の実施に当たって、地域住民の参加が得られるよう連携に努めなければならない。

(引用元:指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準)

非常災害時対応マニュアルには、以下の項目を記載します。

【非常災害時対応マニュアルに記載する項目】

  • 施設の立地条件(地形、災害危険区域等の該当の有無、予測される災害)
  • 災害に関する情報の入手方法
  • 関係機関の連絡先および通信手段(消防、警察、市町村、電力会社、水道局、自治会、病院、取引先)
  • 職員の連絡先と緊急連絡網
  • 利用者様やご家族の連絡先
  • 避難を開始する時期、判断基準
  • 避難場所
  • 避難経路
  • 避難方法
  • 災害時の職員の参集基準、役割分担
  • 関係機関との連携体制
  • 食料、防災資材・機材の備蓄リスト
    など

デイサービスで必要なマニュアル⑥感染症及び食中毒の予防及びまん延の防止のための指針

感染症及び食中毒の予防及びまん延の防止のための指針には、通所介護事業所において食中毒・感染症が発生・まん延しないために、事業所が行う対策について記載します。
通所介護では、感染症及び食中毒の予防及びまん延の防止について、運営基準に以下のように定められています。

(衛生管理等)
第百四条 指定通所介護事業者は、利用者の使用する施設、食器その他の設備又は飲用に供する水について、衛生的な管理に努め、又は衛生上必要な措置を講じなければならない。
2 指定通所介護事業者は、当該指定通所介護事業所において感染症が発生し、又はまん延しないように、次の各号に掲げる措置を講じなければならない。
一 当該指定通所介護事業所における感染症の予防及びまん延の防止のための対策を検討する委員会(テレビ電話装置等を活用して行うことができるものとする。)をおおむね六月に一回以上開催するとともに、その結果について、通所介護従業者に周知徹底を図ること。
二 当該指定通所介護事業所における感染症の予防及びまん延の防止のための指針を整備すること。
三 当該指定通所介護事業所において、通所介護従業者に対し、感染症の予防及びまん延の防止のための研修及び訓練を定期的に実施すること。

(引用元:指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準)

感染症及び食中毒の予防及びまん延の防止のための指針の作成に当たっては、厚生労働省の「 介護現場における感染対策の手引き」を参考に、以下の項目を分かりやすく記載します。

【感染症及び食中毒の予防及びまん延の防止のための指針に記載する項目】

  • 感染症対策についての基本的な考え方
  • 感染管理体制
  • 日頃の対策(事業所内の衛生管理、手洗い等のケアにかかる感染対策)
  • 感染発生時の対応(発生状況の把握、感染拡大の防止、医療機関や保健所、市町村等との連携、行政等への報告)
  • 新型コロナウイルス感染者が発生した場合の対応
    など

デイサービスで必要なマニュアル⑦虐待防止のための指針

虐待防止のための指針には、通所介護事業所における虐待の発生や再発を予防するために、事業所が行う対策について記載します。
通所介護の運営基準には、「虐待の防止」について以下のように定められています。

(虐待の防止)
第三十七条の二 指定訪問介護事業者は、虐待の発生又はその再発を防止するため、次の各号に掲げる措置を講じなければならない。
一 当該指定訪問介護事業所における虐待の防止のための対策を検討する委員会(テレビ電話装置等を活用して行うことができるものとする。)を定期的に開催するとともに、その結果について、訪問介護員等に周知徹底を図ること。
二 当該指定訪問介護事業所における虐待の防止のための指針を整備すること。
三 当該指定訪問介護事業所において、訪問介護員等に対し、虐待の防止のための研修を定期的に実施すること。
四 前三号に掲げる措置を適切に実施するための担当者を置くこと。

(引用元:指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準)

通所介護の運営基準の解釈通知には、虐待の防止のための指針として以下の項目を記載しなければならないことが定められています。

【虐待の防止のための指針に記載する項目】

  • 事業所における虐待の防止に関する基本的考え方
  • 虐待防止検討委員会その他事業所内の組織に関する事項
  • 虐待の防止のための職員研修に関する基本方針
  • 虐待等が発生した場合の対応方法に関する基本方針
  • 虐待等が発生した場合の相談・報告体制に関する事項
  • 成年後見制度の利用支援に関する事項
  • 虐待等に係る苦情解決方法に関する事項
  • 利用者等に対する当該指針の閲覧に関する事項
  • その他虐待の防止の推進のために必要な事項
    など

デイサービス(通所介護)で作成しておいた方が良いマニュアルの一覧

運営基準で定められているマニュアル以外にも、請求業務マニュアルやマナー・接遇マニュアルなどを作成することで、職員が入れ替わった際の引継ぎや人材育成を効率よく行ったり、サービスの質を一定の水準に保ったりするメリットがあります。
通所介護事業所で作成しておいた方が良いマニュアルには、以下のようなものが挙げられます。

【デイサービスで作成しておいた方が良いマニュアル】

  • 請求業務・介護ソフトのマニュアル
  • マナー・接遇マニュアル
  • 生活相談員の業務マニュアル
  • 看護師の業務マニュアル
  • 介護職員の業務(入浴介助、清拭、排泄解除、食事介助、移動介助等)マニュアル
  • 新人研修マニュアル
  • 送迎・福祉車両のマニュアル
  • 防犯設備のマニュアル
  • お問い合わせ対応マニュアル
  • 個人情報取扱マニュアル
    など

デイサービス(通所介護)のマニュアルの作り方

デイサービスで利用するマニュアルは、誰が見ても記載されている内容が分かるように作成することが重要です。ここからは、分かりやすいマニュアルの作成方法をご紹介していきます。

①マニュアルの目的を明確にする

マニュアルを作成する際は、マニュアルの目的を明確にすることが大切です。
また、いつ、誰が、どのような目的で使用するためのマニュアルなのかを具体的に考え、記載しましょう。

②ひな形を参考にする

マニュアルを一から作成するのは時間と手間がかかりますので、厚生労働省や市町村等が公開しているひな形を参考に作成しましょう。
事業所によって記載内容に違いがある項目もあるので、インターネット等で公開されているひな形をそのまま利用せずに、内容を精査することが大切です。

【マニュアルのひな形の例】

③手順をフローチャートで示す

マニュアルでは、様々な業務の手順を説明します。複雑な業務の手順やプロセスは、文章で記載するよりもフローチャートにした方が、業務の流れを理解しやすいことがあります。
特に事故や緊急時の対応などは、職員が心理的に焦ってしまうケースでは、視覚的に分かりやすいことでミスが減りますので、フローチャートを活用しましょう。

④チェックリストを活用する

マニュアルに沿って実際に行動できているかどうかは、チェックリストを活用してチェックすると良いでしょう。マニュアルの内容についての理解度を測ることができ、チェックリストの特定の項目だけ実施できていない場合、マニュアルの記載方法等を見直す機会となります。

チェックリスト(体制整備、平常時の対応)

(出典: 福岡県介護事故防止対応マニュアル作成の手引

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まとめ

ここまで、デイサービスで作成するマニュアルの種類や作成方法についてご紹介してきましたが、いかがでしたか。
デイサービスでは様々なマニュアルを作成しなくてはいけませんが、作成し、内容を精査するためには多くの時間と手間がかかってしまいます。まずは、作成する予定のマニュアルをリストアップし、次のステップとして、参考になるひな形が公開されていないか確認し、ひな形ファイルをベースに作成を進めるのが良いでしょう。
ここでご紹介した内容が皆様の事業所のマニュアル作りのお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございました。

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