放課後等デイサービスを開業するには?立ち上げ・起業・独立の流れを解説
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放課後等デイサービスの開業を考えている皆様は、「放課後等デイサービスを開業するには何から始めればいいの?」や「放課後等デイサービスを立ち上げたいけど、事業は軌道に乗るだろうか?」と悩まれているかもしれません。
この記事では、放課後等デイサービスの起業を考えている皆様に向けて、事業計画書の作成や指定申請といった開業・立ち上げの流れや、放課後等デイサービスの需要・市場の動向などを解説していきます。
目次
放課後等デイサービスとは?
放課後等デイサービスとは、6歳から18歳までの障害のある児童に対して、放課後や学校休業日に生活に必要な能力の向上のためのサービス等を提供する事業所です。
児童の自立支援、生活の充実を図るために様々な取り組み・プログラムを提供し、児童の成長をサポートします。
放課後等デイサービスの需要と市場の動向
近年、放課後等デイサービスの需要は非常に高くなっています。
需要の高まりから、放課後等デイサービスの利用児童の数は、2014年の8万3,360人から2021年には27万4,414人となり、事業所数は、2014年の5,267件から2021年には1万7,372件と、どちらも3倍以上に増加しています。
ですから、放課後等デイサービス事業の市場は成長領域だと言えるでしょう。
(厚生労働省令和4年第6回障害児通所支援に関する検討会資料より作成)
(厚生労働省令和3年社会福祉施設等調査より作成)
放課後等デイサービスを開業したら儲かるの?
放課後等デイサービスの開業を考えている方は、「放課後等デイサービスを開業したら儲かるの?」ということが特に気になるでしょう。
厚生労働省の「令和4年障害福祉サービス等経営概況調査」によると、収入と支出の差を表す『収支差率』は、2021年度の決算で全国平均が5.9%となっています。障害福祉サービス全体の平均収支差率が5.1%であることを考慮すると、放課後等デイサービスは『十分に儲かる可能性がある事業』だと言えるでしょう。
ただし、以下のグラフのように、収支差率が0%を下回っている赤字の事業所も一定数存在しますから、コストを削減しながらも利用児童数を確保することが大切になります。
放課後等デイサービスを開業するために必要な条件・資格
「放課後等デイサービスを開業するために必要な資格はあるのか、自分でも開業できるのか」とお考えの方も多いでしょう。
放課後等デイサービスの経営者になるためには必要な資格はありません。
しかし、開業時に必要な職種と配置人数が決まっているので、無資格の場合には、ご自身を必要な職種として配置することができず、その分人件費が多くなってしまうことに注意しましょう。
また、放課後等デイサービスを開業するためには、会社・事業所として以下の条件を満たしている必要があります。
- 法人格を有していること
- 人員基準を満たしていること
- 設備基準を満たしていること
- 運営基準を満たしていること
それぞれ詳しく見ていきましょう。
①法人格を有していること
放課後等デイサービスは個人では運営することができず、法人格が必要です。法人格は、株式会社や合同会社といった『営利法人』と、一般社団法人、社会福祉法人、医療法人、特定非営利活動法人などの『非営利法人』の2つに大きく分けられます。
上記のいずれの法人格でも放課後等デイサービスを運営をすることができますが、それぞれ設立にかかる時間や費用、条件などが異なりますので、皆様の状況に合わせた法人格を選択しましょう。ここ数年で放課後等デイサービスを開業した方は、営利法人である株式会社、合同会社を選ぶことが多いようです。
②人員基準を満たしていること
事業運営のために必要な人員に関する基準が、以下のように定められています。人員基準は開業時、そして事業開始後も継続して満たさなくてはいけない基準であり、基準を満たしていない場合は、開業時の指定を受けることができないですし、事業開始後の報酬を請求することもできなくなります。
要件 | 資格 | |
管理者 | 1人以上
※1 |
なし |
児童発達支援管理責任者 | 1人以上 | 児童発達支援管理責任者(研修修了と実務経験) |
児童指導員または保育士 | 児童が10人まで:2人以上
児童が10人超:児童の数が10を超えて5またはその端数を増すごとに1を加えて得た数以上 ※2 ※3 |
指導員任用資格(大学の特定の特定の学部・学科の卒業、社会福祉士、精神保健福祉士、児童福祉事業の実務経験等)、保育士 |
機能訓練担当職員 | 必要な場合にのみ配置
※3 |
理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、心理担当職員等(臨床心理士、公認心理士等) |
看護職員 | 必要な場合にのみ配置 | 保健師、助産師、看護師、准看護師 |
※1 管理者は管理業務に支障がない場合、他の職務を兼務することが可能です。
※2 児童指導員または保育士のいずれか1人以上は常勤である必要があります。
※3 機能訓練担当職員が放課後等デイサービスのサービス提供時間帯を通じて、専らサービスの提供に当たる場合は、児童指導員または保育士の合計数に含めることができます。ただし、機能訓練担当職員を児童指導員または保育士の合計数に含める場合、合計数の半数以上は児童指導員または保育士でなければなりません。
放課後等デイサービスの人員基準について、 詳しくはこちらの記事をご覧ください。
③設備基準を満たしていること
事業運営のために必要な設備・備品に関する基準が、以下のように定められています。
- 発達支援室
発達支援室は、利用者への支援を行うためのスペースです。サービス提供に必要な広さを有している必要があり、児童1人当たり2.47㎡以上の面積が必要になります。 - 相談室
相談室は、利用を検討している保護者等を応接するためのスペースです。プライバシーへ配慮し、独立した部屋もしくはパーテーションの設置等が求められます。 - 事務室
事務室は、職員が事務業務を行うためのスペースです。特に広さの指定はありませんが、事務机やPC、複合機などの設置ができるくらいの広さは必要でしょう。
その他、洗面所やトイレ、利用する児童の障害によっては、静養室や遊戯室、屋外遊戯場、医務室などの設置が必要な場合もあります。
放課後等デイサービスの設備基準について、 詳しくはこちらの記事をご覧ください。
④運営基準を満たしていること
事業所を適切に運営するための基準が運営基準です。ここでは主な運営基準の項目をいくつかご紹介します。
- 利用定員(原則10名以上、重症心身障害児が主の場合は5名以上)
- 放課後等デイサービス計画の作成
- 内容及び手続きの説明及び同意
- 運営規程
- 緊急時の対応
- 非常災害対策
など
放課後等デイサービスの運営基準について、 詳しくはこちらの記事をご覧ください。
放課後等デイサービスの開業・立ち上げの流れ
開業までのステップ①法人設立
まず、会社の目的や役員、株主等を決定し、定款、役員の同意書等の登記に必要となる書類を作成します。
書類を準備できたら、管轄の法務局へ書類を提出し、法務局の審査を経て、登記に必要な登録免許税や印紙税を納付し、手続きが完了します。株式会社の設立には、登録免許税や印紙税などを合わせて20万円ほどの費用がかかります。
登記手続きにおいて書類の不備等がある場合は、修正して再提出しなくてはいけなくなるので、何度も法務局に行く手間や時間を取れない方は、行政書士などの専門家の助けを受けるとスムーズに手続きを進められるでしょう。
開業までのステップ②事業計画書の作成
事業計画書には、どのような事業を行いたいのかという事業方針や、どれくらいの利用者数が期待できるのか、周辺の競合となる事業所などの情報を記載します。
事業計画書は放課後等デイサービスの許認可を受ける指定申請時に提出を求められることがあるほか、金融機関から融資を受ける際にも使う書類です。
放課後等デイサービスの事業計画書について、 詳しくはこちらの記事をご覧ください。
開業までのステップ③資金調達
放課後等デイサービスの開業には、一般的に『1,500万円〜1,800万円』ほどの開業資金が必要になると言われています。しかし、そのすべてをご自身の貯蓄等から捻出できる人は少ないでしょう。
そのため、開業資金を調達するために、ご自身で用意された自己資金に加えて、金融機関から融資を受ける方が多いです。
放課後等デイサービスの事業では、融資を受ける金融機関として政府系金融機関である日本政策金融公庫が選ばれています。
放課後等デイサービスの開業資金や調達方法について、 詳しくはこちらの記事をご覧ください。
開業までのステップ④物件探し・契約
放課後等デイサービスでは、設備基準を満たすことができる物件を手配しなくてはいけません。また、設備基準以外にも、立地や賃料、コンセプトを実現できるかといった点でも物件を探すことになります。
近年では、インターネット等を使った物件探しが一般的ですが、未公開の物件もあるので、開業予定地域の不動産会社への相談も行い、幅広く情報を集めましょう。
開業までのステップ⑤従業員を採用
事業者として「指定」を受けるためには、人員基準を満たす必要があります。そのため、指定申請を行う前に、求人を行い、面接を経て、従業員を採用することになります。
開業しようと思っている放課後等デイサービスの定員数や提供するサービスの内容等から採用しなくてはいけない従業員数を算出し、「いつまでに、どの職種を、何人採用しなくてはいけないのか」を明確にしましょう。
採用の方法には、ハローワーク以外にも、新聞折込、求人雑誌、インターネットの求人広告、人材紹介などもありますので、費用面での負担も考えながら採用活動を進めましょう。
開業までのステップ⑥物件のリフォーム
放課後等デイサービスを運営するためには、発達支援室や相談室のスペースの分離、トイレ・洗面所の設置・増設、防音対策など物件をリフォームする必要があります。また、設備等がそのまま使用できる物件であったとしても、壁紙の張替え、電源の設置など多少のリフォームは行うことを想定しておきましょう。
開業までのステップ⑦備品等の調達
放課後等デイサービスの運営では、たくさんの備品・消耗品等を準備しなくてはいけません。
デスクやチェアといったオフィス家具、PC、複合機などの電化製品、児童が使用するロッカーや絵本、おもちゃ、教材、衛生管理や安全管理のための用品も準備することになります。納品にどれくらい時間がかかるのか等を考慮し、必要な備品をそろえていきましょう。
開業までのステップ⑧指定申請
放課後等デイサービスを開業するためには、「指定申請」という行政からの許認可を受けるための手続きを行う必要があります。
指定申請手続きは、開業する事業所が法律に定められた指定基準(人員・設備・運営の基準)を満たしていることを証明するための書類等を準備し、提出することを指します。書類の提出は、市町村によって期日が決められていますが、開業希望月の『2か月前の末日』が期日となっている市町村が多いようです。
また、指定申請の前の段階で「事前相談」が必要となるケースもありますので、開業希望月の『3か月前〜6か月前』までに市町村の担当窓口へ一度、開業の相談をしておきましょう。
放課後等デイサービスの指定申請について、 詳しくはこちらの記事をご覧ください。
指定申請に必要な書類の一覧
こちらでは例として東京都で新規指定申請の際に必要になる指定申請書類の一覧をご紹介します。
- 指定申請書
- 指定に係る記載事項(付表)
- 障害児(通所・入所)給付費算定に係る体制等に関する届出書(様式第1号)
- 障害児通所・入所給付費の算定に係る体制等状況一覧表
- 各種加算の届け出
- 社会保険及び労働保険への加入状況にかかる届出書
- 会社・法人の登記事項証明書
- 賃貸借契約書・平面図・写真
- 備品一覧
- 管理者経歴書
- 児童発達支援管理責任者経歴書
- 児童発達支援管理責任者の研修修了証、資格証の写し
- 児童発達支援管理責任者の実務経験証明書
- 従業者の勤務の体制及び勤務形態一覧表
- 保育士、児童指導員等の資格証・実務経験証明書の写し
- 運営規定
- 苦情解決の概要
- 協力医療機関
- 就業規則
- 児童福祉法第21条の5の15第3項各号の規定に該当しない旨の誓約書
- 事業開始届
- 事業計画書
- 収支予算書
- 社会福祉施設等における耐震化について
開業までのステップ⑨請求ソフトの手配
放課後等デイサービス事業では、サービスを提供した対価を国民健康保険団体連合会(以下、国保連)と利用児童の保護者へ請求することになります。開業後の請求業務をスムーズに行うためにも開業前に請求ソフトの導入を進めましょう。
請求ソフトには、サービス提供記録の作成や請求データ作成、請求書発行などの機能を中心として、様々な機能が付いているソフトがあります。金額や料金体系が異なるため、複数のソフトを比較して検討することをおすすめします。
放課後等デイサービスの請求ソフトの選び方について、 詳しくはこちらの記事をご覧ください。
開業までのステップ⑩利用児童の獲得
開業日が決まったら、開業日に向けて、利用児童を募集します。
事業所を紹介するパンフレット、名刺、HPなどを作成し、営業活動を行いましょう。営業活動としては、障害児相談支援への訪問、事業所説明会の実施、近隣の学校への訪問などを行うと良いでしょう。
放デイの立ち上げはカイポケの開業支援サービスがおすすめ
放課後等デイサービス事業の開業には、半年から1年ほどの準備期間が必要になります。そして、この開業準備期間に、法人設立や指定申請といった行政手続き、物件・備品等の手配、職員の採用などを行います。
『カイポケ開業支援』では、行政手続きに関する情報提供や開業スケジュールの作成など、開業に必要な様々なサポートを無料で提供しています。
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まとめ
放課後等デイサービスを開業・立ち上げの流れや必要な資格、おすすめの開業支援サービスなどについてお伝えしてきましたが、いかがでしたでしょうか。
放課後等デイサービスを開業するためには、法人設立や指定申請、人材採用など、経営者の皆様がやらなければならないことはたくさんあります。
開業準備をスムーズに進めたい、開業の手続きに不安がある、という方は、ぜひカイポケの開業支援サービスにお問い合わせください。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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