デイサービス(通所介護)の運営基準とは?開業時に理解しておくべきポイントを解説!



デイサービス(通所介護)の開業を考えている方々の中には、「デイサービスの運営基準で、開業時に特に気を付けた方がいい項目はあるの?」や「デイサービスの運営基準を守らなかった場合、どうなるの?」と疑問を感じている方もいらっしゃるでしょう。
この記事では、デイサービスの運営基準の内容と開業時に注意するべき項目、運営基準を守らなかった場合にどうなるかについてご紹介していきます。

通所介護 運営基準

目次

デイサービス(通所介護)の運営基準とは

デイサービス(通所介護)の運営基準は、デイサービスを開業・運営する際に遵守しなければならない3つの指定基準のうちのひとつです。運営基準には、サービスの内容や提供方法、事故や災害への対策などといった、事業者が守らなければならないルールが定められています。

デイサービス(通所介護)の指定基準とは

デイサービス(通所介護)の指定基準とは、指定権者(都道府県または市)に通所介護事業者としての指定を受けるために守らなければならない条件で、運営基準のほかに、人員基準と設備基準があります。
開業時には、従業者の勤務体制及び勤務形態一覧表や設備・備品等一覧表、運営規程等の書類を通して、指定基準を満たしているかどうかを確認されます。

デイサービス(通所介護)人員基準とは

デイサービス(通所介護)人員基準には、デイサービスを開設・運営するにあたって必要な職種や人数が定められています。例えば、介護職員は利用者数が15人までは1人以上、利用者数が16人以上は「(利用者数-15人)÷5+1」以上必要です。

職種名 配置基準 資格要件
管理者 1人 特になし
生活相談員 1人以上 社会福祉士
精神保健福祉士
社会福祉主事
看護職員 1人以上 看護師
准看護師
介護職員 利用者数が15人までは1人以上
利用者数が16人以上は「(利用者数-15人)÷5+1」以上
特になし
機能訓練指導員 1人以上 理学療法士
作業療法士
言語聴覚士
看護師
准看護師
柔道整復師
あん摩マッサージ指圧師
はり師・きゅう師(※実務経験の要件あり)

デイサービス(通所介護)の人員基準について、 詳しくはこちらの記事をご覧ください

デイサービス(通所介護)設備基準とは

デイサービス(通所介護)設備基準には、デイサービスを開設・運営するにあたって必要な以下のような設備や備品が定められています。

【設備基準に定められた設備・備品】

  • 食堂
  • 機能訓練室
  • 消火設備
  • 静養室
  • 相談室
  • 事務室
  • その他の設備(洗面台、トイレ、厨房など)

デイサービス(通所介護)の運営基準の一覧

それでは、デイサービス(通所介護)の運営基準を一覧で確認しましょう。

  • 第8条 内容及び手続の説明及び同意
  • 第9条 提供拒否の禁止
  • 第10条 サービス提供困難時の対応
  • 第11条 受給資格等の確認
  • 第12条 要介護認定の申請に係る援助
  • 第13条 心身の状況等の把握
  • 第14条 居宅介護支援事業者等との連携
  • 第15条 法定代理受領サービスの提供を受けるための援助
  • 第16条 居宅サービス計画に沿ったサービスの提供
  • 第17条 居宅サービス計画等の変更の援助
  • 第19条 サービスの提供の記録
  • 第96条 利用料等の受領
  • 第21条 保険給付の請求のための証明書の交付
  • 第97条 指定通所介護の基本取扱方針
  • 第98条 指定通所介護の具体的取扱方針
  • 第99条 通所介護計画の作成
  • 第26条 利用者に関する市町村への通知
  • 第27条 緊急時等の対応
  • 第52条 管理者の責務
  • 第100条 運営規程
  • 第101条 勤務体制の確保等
  • 第30条の2 業務継続計画の策定等
  • 第102条 定員の遵守
  • 第103条 非常災害対策
  • 第104条 衛生管理等
  • 第32条 掲示
  • 第33条 秘密保持等
  • 第34条 広告
  • 第35条 居宅介護支援事業者に対する利益供与の禁止
  • 第36条 苦情処理
  • 第104条の2 地域との連携等
  • 第104条の3 事故発生時の対応
  • 第37条の2 虐待の防止
  • 第38条 会計の区分
  • 第104条の4 記録の整備

デイサービス(通所介護)の運営基準で開業までに理解しておくべき項目

これまでご紹介したように、デイサービス(通所介護)の運営基準には多くの項目がありますが、ここではデイサービスを開業する際に理解しておくべき運営基準の項目について詳しくご紹介していきます。

第8条 内容及び手続の説明及び同意

第8条 
1 指定通所介護事業者は、指定通所介護の提供の開始に際し、あらかじめ、利用申込者又はその家族に対し、第二十九条に規定する運営規程の概要、通所介護員等の勤務の体制その他の利用申込者のサービスの選択に資すると認められる重要事項を記した文書を交付して説明を行い、当該提供の開始について利用申込者の同意を得なければならない。
2 指定通所介護事業者は、利用申込者又はその家族からの申出があった場合には、前項の規定による文書の交付に代えて、第五項で定めるところにより、当該利用申込者又はその家族の承諾を得て、当該文書に記すべき重要事項を電子情報処理組織を使用する方法その他の情報通信の技術を利用する方法であって次に掲げるもの(以下この条において「電磁的方法」という。)により提供することができる。この場合において、当該指定通所介護事業者は、当該文書を交付したものとみなす。
一 電子情報処理組織を使用する方法のうちイ又はロに掲げるもの
イ 指定通所介護事業者の使用に係る電子計算機と利用申込者又はその家族の使用に係る電子計算機とを接続する電気通信回線を通じて送信し、受信者の使用に係る電子計算機に備えられたファイルに記録する方法
ロ 指定通所介護事業者の使用に係る電子計算機に備えられたファイルに記録された前項に規定する重要事項を電気通信回線を通じて利用申込者又はその家族の閲覧に供し、当該利用申込者又はその家族の使用に係る電子計算機に備えられたファイルに当該重要事項を記録する方法(電磁的方法による提供を受ける旨の承諾又は受けない旨の申出をする場合にあっては、指定通所介護事業者の使用に係る電子計算機に備えられたファイルにその旨を記録する方法)
二 磁気ディスク、シー・ディー・ロムその他これらに準ずる方法により一定の事項を確実に記録しておくことができる物をもって調製するファイルに前項に規定する重要事項を記録したものを交付する方法
3 前項に掲げる方法は、利用申込者又はその家族がファイルへの記録を出力することによる文書を作成することができるものでなければならない。
4 第二項第一号の「電子情報処理組織」とは、指定通所介護事業者の使用に係る電子計算機と、利用申込者又はその家族の使用に係る電子計算機とを電気通信回線で接続した電子情報処理組織をいう。
5 指定通所介護事業者は、第二項の規定により第一項に規定する重要事項を提供しようとするときは、あらかじめ、当該利用申込者又はその家族に対し、その用いる次に掲げる電磁的方法の種類及び内容を示し、文書又は電磁的方法による承諾を得なければならない。
一 第二項各号に規定する方法のうち指定通所介護事業者が使用するもの
二 ファイルへの記録の方式
6 前項の規定による承諾を得た指定通所介護事業者は、当該利用申込者又はその家族から文書又は電磁的方法により電磁的方法による提供を受けない旨の申出があったときは、当該利用申込者又はその家族に対し、第一項に規定する重要事項の提供を電磁的方法によってしてはならない。ただし、当該利用申込者又はその家族が再び前項の規定による承諾をした場合は、この限りでない。
(引用元:指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準)



デイサービス事業者は、利用者様にサービスを提供する前に、利用者様またはそのご家族に対して、運営規程の概要や職員の勤務体制などを記した重要事項説明書を交付して説明を行い、サービス提供開始への同意を得る必要があります。
そのために、

  • 契約書
  • 重要事項説明書
  • 個人情報同意書

などを開業までに準備する必要があります。

デイサービスの契約書について、 詳しくはこちらの記事をご覧ください

第19条 サービスの提供の記録

第19条
1 指定通所介護事業者は、指定通所介護を提供した際には、当該指定通所介護の提供日及び内容、当該指定通所介護について法第四十一条第六項の規定により利用者に代わって支払を受ける居宅介護サービス費の額その他必要な事項を、利用者の居宅サービス計画を記載した書面又はこれに準ずる書面に記載しなければならない。
2 指定通所介護事業者は、指定通所介護を提供した際には、提供した具体的なサービスの内容等を記録するとともに、利用者からの申出があった場合には、文書の交付その他適切な方法により、その情報を利用者に対して提供しなければならない。
(引用元:指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準)



デイサービス事業者は、利用者様にサービスを提供した際に、

  • サービスの提供日
  • 保険給付の額
  • 具体的なサービス内容
  • 利用者様の心身の状況

などを記録するとともに、利用者様からの申し出があった場合には、その情報を利用者様に提供しなければなりません。
介護サービスを提供しながら、バイタルや水分摂取量などを紙に手書きで記録するのは手間がかかるため、タブレットやスマートフォンなどで記録をとることができる介護ソフトを導入している事業所も多いです。
事務負担を軽減するためにも、開業前に記録業務を効率化できる「介護ソフト」の導入を検討しましょう。

第100条 運営規程

第100条 
指定通所介護事業者は、指定通所介護事業所ごとに、次に掲げる事業の運営についての重要事項に関する規程(以下この章(第五節を除く。)において「運営規程」という。)を定めておかなければならない。
一 事業の目的及び運営の方針
二 従業者の職種、員数及び職務の内容
三 営業日及び営業時間
四 指定通所介護の利用定員
五 指定通所介護の内容及び利用料その他の費用の額
六 通常の事業の実施地域
七 サービス利用に当たっての留意事項
八 緊急時等における対応方法
九 非常災害対策
十 虐待の防止のための措置に関する事項
十一 その他運営に関する重要事項
(引用元:指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準)



デイサービスの運営規程は指定申請時に必要ですから、運営基準で定められた11つの項目について定めた運営規程を作成しておきましょう。

第101条 勤務体制の確保等

第101条
1 指定通所介護事業者は、利用者に対し適切な指定通所介護を提供できるよう、指定通所介護事業所ごとに従業者の勤務の体制を定めておかなければならない。
2 指定通所介護事業者は、指定通所介護事業所ごとに、当該指定通所介護事業所の従業者によって指定通所介護を提供しなければならない。ただし、利用者の処遇に直接影響を及ぼさない業務については、この限りでない。
3 指定通所介護事業者は、通所介護従業者の資質の向上のために、その研修の機会を確保しなければならない。その際、当該指定通所介護事業者は、全ての通所介護従業者(看護師、准看護師、介護福祉士、介護支援専門員、法第八条第二項に規定する政令で定める者等の資格を有する者その他これに類する者を除く。)に対し、認知症介護に係る基礎的な研修を受講させるために必要な措置を講じなければならない。
4 指定通所介護事業者は、適切な指定通所介護の提供を確保する観点から、職場において行われる性的な言動又は優越的な関係を背景とした言動であって業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより通所介護従業者の就業環境が害されることを防止するための方針の明確化等の必要な措置を講じなければならない。
(引用元:指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準)



従業者の勤務体制及び勤務形態一覧表は、指定申請時に提出が求められる書類のひとつです。
また、「指定通所介護事業者は、通所介護従業者の資質の向上のために、その研修の機会を確保しなければならない」という記載もされていますから、開業までに従業員向けの法定研修の計画を策定しましょう。

第34条 広告

第34条
指定通所介護事業者は、指定通所介護事業所について広告をする場合においては、その内容が虚偽又は誇大なものであってはならない。
(引用元:指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準)



新規開業時には、利用者様を集めるために宣伝・広告を行う場合もあるかもしれません。しかし、「その内容が虚偽又は誇大なものであってはならない。」と定められているため、注意しましょう。

第104条の3 事故発生時の対応

第104条の3
1 指定通所介護事業者は、利用者に対する指定通所介護の提供により事故が発生した場合は、市町村、当該利用者の家族、当該利用者に係る居宅介護支援事業者等に連絡を行うとともに、必要な措置を講じなければならない。
2 指定通所介護事業者は、前項の事故の状況及び事故に際して採った処置について記録しなければならない。
3 指定通所介護事業者は、利用者に対する指定通所介護の提供により賠償すべき事故が発生した場合は、損害賠償を速やかに行わなければならない。
4 指定通所介護事業者は、第九十五条第四項の指定通所介護以外のサービスの提供により事故が発生した場合は、第一項及び第二項の規定に準じた必要な措置を講じなければならない。
(引用元:指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準)



デイサービス事業者は、サービス提供により事故が発生した場合、保険者や利用者様の家族、ケアマネジャーなどに連絡を行い、必要な措置を講じ、その過程を記録する必要があります。
さらに、「利用者に対する指定通所介護の提供により賠償すべき事故が発生した場合は、損害賠償を速やかに行わなければならない。」との記載があります。そのため、指定申請時には、損害賠償保険証書の写し等が求められる場合もあります。

デイサービス(通所介護)の運営基準を守らないとどうなる?

開業時の指定申請の際に、運営基準にかかわる運営規程や従業者の勤務体制及び勤務形態一覧表といった書類に不備がある場合は、指定を受けることができません。
また、指定権者によって行われる運営指導(実地指導)や監査で運営基準に違反していると判断された場合、改善命令が出されます。
また、改善命令を出されてからも改善が見られない場合は、指定取消の行政処分を受けることもあります。

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デイサービス(通所介護)を開業する際には、運営基準や人員基準の内容をしっかり理解した上で指定申請に関する書類を作成する必要があります。そのほかにも、事業計画の作成、法人設立、従業員の採用、利用者獲得のための営業など、事業者がやらなくてはならないことはたくさんあります。
そのような中で、「開業についての知識がない」や「効率的に開業準備を進めたい」、「開業に伴う資金調達はどうしよう」といった悩みや疑問がでてくるかもしれません。
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まとめ

ここまで、デイサービスの運営基準の内容と、開業時に注意するべき項目、運営基準を守らなかった場合のリスクなどについてご紹介してきましたが、いかがでしたでしょうか。
運営基準は、開業時はもちろん、事業所の運営が始まってからも遵守し続けなければいけません。そのため、事業所運営が始まる前から、運営基準の内容について理解を深めていくことが重要になってきます。
最後までお読みいただきありがとうございました。


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