通所介護(デイサービス)の事業計画書の書き方



厚生労働省の「平成26年度介護サービス施設・事業所調査」によれば、全国の通所介護(デイサービス)事業所の数は、介護保険制度発足時に比べて4倍の4.1万カ所に増えています。

そのような状況でも利用者と介護スタッフを確保し、安定した経営を続けていくためには、しっかりとした事業計画が不可欠です。
開業資金の融資や自治体に事業者指定申請をする時にも、事業計画書の作成は欠かせません。

通所介護の新規開業を目指す事業者の皆様のために、事業計画書の書き方についてまとめました。

通所介護 事業計画書

目次

通所介護(デイサービス)の事業計画書を書く理由とは?

通所介護を開設するにあたって、事業計画書を作成することは不可欠です。
作成の目的には、次の3点が挙げられます。

都道府県や市町村に事業者指定申請するため

通所介護サービスを提供する事業者指定には、事業者申請をして指定を受けることが必要となります。
新規の場合にはたくさんの書類の提出や添付が求められており、事業計画書もその1つに含まれています。

指定を受けてオープンしたはいいが、すぐに行き詰って閉鎖したとなると利用者に大きな不利益が生じます。
また、指定を与えた自治体の責任も問われますから、見通しが立っているのか、実際に運営していけそうかチェックされます。

事業計画書は、それを判断する材料として提出が求められます。

融資申請の際に金融機関へ提出するため

開業にかかる資金は、金融機関等から融資を受けて開業資金に充てるケースも多いです。

金融機関側も利子を含めた融資額の回収の見込みがなければ、融資を行うことができない、審査にあたってはしっかりした事業プランが作られているか確認します。
そのため、自分だけでなく他人が見ても内容が伝わる事業計画書を作成しましょう。

経営者として、今後の事業の見通しを立てるため

通所介護を開設するということは、経営をして収益をあげ、安定した運営を続けていくことが目的の一つです。

事業の展望や収益の予測がたてられることは、経営者として重要な能力です。
これまで被雇用者として働いてきた人が経営者となる場合には、それまでと違った目線から事業や経営について考える必要があります。

通所介護(デイサービス)の事業計画書の書き方

上に挙げた3つの目的を達成するために、どのような内容の事業計画書を書いていけばいいか手順をまとめました。

事業計画書には、必ずこれといったものはなく様々な型があるので、事業計画書の内容として不可欠な点を挙げていきます。

経営方針、プラン

どのように事業体制を整えて、運営していくのか。
また、時期に応じて事業体制を拡大させていくのかなど長期に渡るプランが必要です。
大まかな方針に加えて、開業まで、開業から半年、1年後、2年後など短期から長期に渡っての展望を設定します。

目標を高く持つことも大切ですが、利用者数の伸びや報酬単価といった数値は現実的に考えます。
資金運用や介護保険改正など、想定されるリスクへの対処方法なども考えておきます。

事業内容

具体的にどのようなサービス内容のデイサービスを開業するのかを決めます。

規模はどうするのか、入浴設備を設置するのか、顧客のターゲット層となるのは要介護度が軽い方や要支援の方か、あるいは報酬単価の高い要介護度3以上の方や認知症のある方をたくさん受け入れるのかなど、コンセプトをはっきりとさせることが重要です。

資金計画

通所介護の事業を行うにあたって、具体的にどのタイミングでどれくらいの資金が必要なのかを計算します。

例えば、開業までには設備投資や物件の購入費、広告代、職員採用にかかる費用や研修費などが必要です。

その後も、従業員の給料や賞与など毎月あるいは特定の月にかかる支出があります。
これらの調達方法はどうするのか、融資を受けた場合は利子を含めてどのくらいの期間をかけて返済するのかを計画しておきます。

制度変更などの不測の事態への対応

介護保険法は、3年ごとに改正されます。

事業や規模により、管轄が都道府県から市町村に移されたり、基本報酬単価が減らされる一方、新規の加算が作られたりと、毎回どの事業者も対応に追われています。

常に最新の情報や改正の動向をチェックして、早めに対応できるようにしておくことが大切です。

通所介護(デイサービス)の事業計画書を書く際の注意点

指定基準を満たしているか

指定申請書には、決まった書式があります。
事業計画書を書いている段階でもこの書式を意識することが重要です。
つまり、お互いに内容がリンクしている必要があります。

通所介護の開業において、設備基準を満たすことは特に重要です。
訪問系サービス種とは違って通所介護には、利用者1人あたりの床面積や車椅子対応のトイレの設置、ベッドのある静養室の設置などが義務付けられています。
事業計画書の物件調査では、リノベーション後にこれらの設備基準を満たせる物件であるかを常にチェックしておきます。

事業開始後を想定できているか

実際にデイサービスをオープンさせたあと、資金繰りの目途が立つのか想定することも必要です。

利用者数がなかなか増えず収入が予定より少なかった場合でも、数カ月は給与や光熱費など決まった支払いが滞りなく行えるように運転資金を確保しておかなければなりません。

また、事故や災害など不測の事態が起きた場合、あるいは職員が病欠の日の対応はどうするのかということもあらかじめ検討しておきましょう。

まとめ

初めて事業計画書を作る場合、内容のしっかりしたものを作成するのはそう簡単ではありません。
何度も書き直したり、詳細を追加したりしながら、形にしていきます。

逆に、事業計画書がしっかりとしたものならば、指定申請をする際や融資を受ける際に、スムーズに事を運ぶことができます。
必要であるならば、プロのサポートを受けて指定申請や融資に通りやすい事業計画書を作ることも可能です。
デイサービスの開業にあたって、まず事業計画書の作成から取り掛かりましょう。

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