デイサービスで人材採用をする方法【通所介護の開業準備】



デイサービス(通所介護)の開業を検討している皆様の中には、「デイサービスではどのような流れで採用活動を進めればいいの?」や「開業時にはどの職種を何人採用すればいいの?」などと悩まれている方もいらっしゃるでしょう。
この記事では、デイサービス(通所介護)の採用活動の流れや魅力的な募集要項の作成方法、職員を採用する方法、媒体別のコストなどについてご紹介していきます。

テーブル越しに相談する人物の手元の写真

目次

デイサービスは開業時に人員基準を満たす必要がある

デイサービス(通所介護)は、開業時に指定基準を満たしたうえで、指定権者(都道府県または市)に指定申請を行うことになります。指定基準には、人員基準と運営基準、設備基準の3つがあり、このうち人材採用に関わってくるのは『人員基準』です。
デイサービス(通所介護)の人員基準には、デイサービスを開設・運営するにあたって必要な職種や人数が定められています。例えば、介護職員の場合、利用者数が15人までは1人以上、利用者数が16人以上は「(利用者数-15人)÷5+1」以上必要です。

職種名 配置基準 資格要件
管理者 1人 特になし
生活相談員 1人以上 社会福祉士
精神保健福祉士
社会福祉主事
看護職員 1人以上 看護師
准看護師
介護職員 利用者数が15人までは1人以上
利用者数が16人以上は「(利用者数-15人)÷5+1」以上
特になし
機能訓練指導員 1人以上 理学療法士
作業療法士
言語聴覚士
看護師
准看護師
柔道整復師
あん摩マッサージ指圧師
はり師・きゅう師(※実務経験の要件あり)

デイサービス(通所介護)の人員基準について、 詳しくはこちらの記事をご覧ください

介護業界の有効求人倍率の推移

厚生労働省の職業安定業務統計によると、介護サービスの職業(介護サービス員、ホームヘルパーなど)の有効求人倍率は、全職種と比較すると大きく上回って推移しています。
2021年の介護サービスの職業の有効求人倍率は3.6倍と、求人に対して応募が不足した状態となっており、介護業界の人材採用は容易ではないことが伺えます。

介護サービスの職業の有効求人倍率の推移

(厚生労働省 「職業安定業務統計」より作成)

デイサービス(通所介護)の採用活動の流れ

デイサービス(通所介護)の開業時における採用活動の流れをご紹介します。

【採用活動の流れ】

  • 採用計画を策定
  • 人材募集
  • 採用選考
  • 内定・入社手続き

採用活動の流れ①採用計画を策定

まずは、「いつまでに」「どの職種を」「何人」「どのような雇用形態で」などといった観点から採用計画を策定します。
デイサービスで必要になる職員の人数は利用者数によって変わってきますから、事業所の定員から採用しなくてはいけない人数の目安を決めましょう。

採用活動の流れ②人材募集

採用計画が決まったら、募集要項を作成し、実際に人材募集を始めることになります。人材募集の方法は、ハローワークや求人広告、自社ホームページ、SNSなど様々な手段がありますので、後ほど詳しくご紹介していきます。

採用活動の流れ③採用選考

求職者からの応募があったら、採用選考を行います。一般的には書類選考や面接などを行い、応募者の中から内定者を選んでいくことになります。
選考の際には、応募者のスキルや人柄、事業所の理念や方針への共感などが判断の基準になります。

採用活動の流れ④内定・入社手続き

選考を通して応募者の中から内定者を決定したら、採用通知を行います。採用通知をしたあとに内定を辞退されてしまう可能性もあるため、内定者の疑問や不安を解消する場を設けるなど、内定後のフォローは適切に行う必要があります。

デイサービス(通所介護)の魅力的な募集要項の作成方法

ここからは、求職者が「応募したい」となるようなデイサービスの募集要項の作成方法をご紹介していきます。

デイサービス(通所介護)の募集要項に記載する項目

デイサービスの募集要項には、以下の項目を記載します。

【デイサービスの募集要項に記載する内容】

  • 職種名
  • 雇用形態
  • 仕事内容
  • 必要な資格
  • 勤務時間
  • 就業場所
  • 賃金・賞与
  • 休日
  • 福利厚生
    など

デイサービス(通所介護)の募集要項でアピールするべきポイント

募集要項は求職者が必ず目を通すことになりますから、事業所の魅力が伝わるような書き方をする必要があります。それでは、求職者は、事業所のどのような点に惹かれて就職を決めるのでしょうか。
社会福祉振興・試験センターの 「令和2年度 社会福祉士・介護福祉士・精神保健福祉士 就労状況調査」によると、社会福祉士や介護福祉士の『現在の職場を選択した理由(複数回答)』は、「やりたい仕事だった」や「勤務形態が希望に沿う」、「給与や賃金の水準に満足できた」が高い割合となっています。ですから、募集要項では、こうしたポイントをアピールしていくことが大切になってきます。

社会福祉士 介護福祉士
やりたい仕事だった 64.2% 48%
法人・会社の理念や方針に共感した 16.9% 10.3%
法人の安定性や将来性 35% 22.2%
職場の雰囲気や人間関係が良い 21.9% 25.3%
給与や賃金の水準に満足できた 28.4% 21.4%
勤務形態が希望に沿う 41% 43.2%
副業・兼業ができる 4.2% 4.6%
育児や介護の支援が得られる 10.6% 6.4%
キャリアアップの可能性があった 17.3% 12.1%
教育研修や資格取得支援が充実している 7.2% 6.9%
その他 17.1% 24%

(出典:社会福祉振興・試験センター 「令和2年度 社会福祉士・介護福祉士・精神保健福祉士 就労状況調査」

デイサービス(通所介護)の募集要項を差別化する方法

デイサービスの求人は多くある中で、求職者の目に留まるような募集要項を作成するためには、以下のような工夫をする必要があります。

  • 仕事内容が正確に伝わるように、一日のスケジュールや利用者数、職員構成などを具体的に記載する
  • 職場の雰囲気が伝わるように、事業所の写真や既に採用した社員のインタビュー、経営者からのメッセージなどを記載する
  • 数年勤続した場合の給与の伸び率が分かるように、勤続年数ごとの給与の例を記載する
  • 時短勤務可、週○日勤務から可、土日休みなど、出来得る限りの柔軟な勤務形態を設けて記載する
    など

デイサービス(通所介護)で職員を採用する方法とコスト

デイサービスで職員を効果的に採用するためには、ひとつの媒体・方法だけでなく、いくつかの媒体・方法を組み合わせることが大切です。
社会福祉振興・試験センターの 「令和2年度 社会福祉士・介護福祉士・精神保健福祉士 就労状況調査」によると、社会福祉士や介護福祉士の『現在の職場を探した方法(複数回答)』は、「友人・知人からの紹介」や「ハローワークの無料職業紹介」、「民間の職業紹介、就職情報誌、求人チラシ、求人情報サイト等」などが高い割合となっています。

社会福祉士 介護福祉士
福祉人材センターの無料職業紹介 4.9% 2.4%
ハローワークの無料職業紹介 18.7% 24.2%
民間の職業紹介、就職情報誌、求人チラシ、求人情報サイト等 13.4% 21.3%
法人・会社の求人(就職説明会等) 9.3% 3.4%
行政広報誌(区報・市報等) 7.6% 2.3%
学校・養成施設等での進路指導 10.9% 7.3%
実習・施設見学・ボランティア 5.5% 5.1%
前の職場からの紹介 3.2% 3.4%
友人・知人からの紹介 21.6% 28.6%
その他 16.7% 11%

ここからは、デイサービスの職員を採用する方法・媒体別のコストをご紹介していきます。

①ハローワーク

ハローワーク(公共職業安定所)は、求人を無料で登録することができます。ハローワークは管轄する地域の求人を中心に扱っているため、その地域に特化した採用に強い媒体です。

②民間の職業紹介

民間の職業紹介は有料人材紹介サービスとも呼ばれ、採用が1件決まるごとに人材紹介会社に手数料を支払う媒体となっています。
厚生労働省が2019年に実施した 「医療・介護分野における職業紹介事業に関するアンケート調査」によると、採用1件あたりの職業紹介事業者に支払った手数料額の平均は、職種別で以下のようになります。

  • 介護職員・・・50.1万円
  • 看護職員・・・71万円
  • リハビリ専門職・・・78.3万円

③民間の就職情報誌

民間の就職情報誌の相場は、誌面に掲載する大きさにもよりますが、相場は1月あたり約2万円〜40万円となっています。フリーペーパーとしてスーパー等の地域のお店に置かれていることが多く、その地域の求職者の目にとまる媒体です。

④民間の求人情報サイト

民間の求人情報サイトは、サイトに求人を掲載する媒体で、期間によって必要となる費用は変わってきますが、相場は1月あたり約5万円〜100万円の費用がかかります。

⑤自社ホームページ・SNS

自社ホームページやSNSは、無料で人材採用を行うことができる媒体です。ただし、SNSは無料で始めることができますが、フォロワーを増やしてアカウントの認知を広げるまでに時間がかかります。また、ホームページは皆さん自身で無料で作成することもできますが、業者に依頼すると数万円~数十万円かかります。

⑥職員からの紹介(リファラル採用)

職員からの紹介の場合、無料で人材採用を行うことができますが、『リファラル採用』の制度を設け、紹介をした人が採用された場合に紹介をした職員に報酬を支払う場合もあります。

デイサービスの開業時にはいつから採用活動を始める?

求人を掲載してから採用を行うまでは、一般的に約2〜3カ月程度かかると言われています。お伝えしてきたように、介護業界は人材不足となっており、事業所にあった優秀な人材を採用する難易度は高くなっています。ですから、開業日に間に合うように、余裕を持って採用活動を始めましょう。

デイサービスの開業をカイポケがお手伝いします!

デイサービス(通所介護)を開業する際には、人材採用だけでなく、事業計画の作成、法人設立、利用者獲得のための営業など、事業者がやらなくてはならないことはたくさんあります。
『カイポケ開業支援』では、専任の担当者が一緒に法人設立から事業開始までサポートいたしますので、「開業についての知識がない」や「効率的に開業準備を進めたい」と考えている方は、こちらからお気軽にお問い合わせください

まとめ

ここまで、デイサービス(通所介護)の採用活動の流れや魅力的な募集要項の作成方法、職員を採用する方法や媒体別のコストなどについてご紹介してきましたが、いかがでしたでしょうか。
ご自身のデイサービスで長く活躍してもらえるような職員を採用するためにも、採用したい人材像を明確にした上で、魅力的な募集要項を作成し、様々な手段・媒体を駆使して採用活動を進めていきましょう。
最後までお読みいただきありがとうございました。

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