地域密着型通所介護(小規模デイサービス)の設備基準を解説【2021年度法改正対応】
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地域密着型通所介護の開業を検討している皆様の中には、「設備基準って何?」や「地域密着型通所介護を開業するためにはどんな設備や備品を用意すればいいの?」などの疑問をお持ちの方もいらっしゃるでしょう。
この記事では、地域密着型通所介護の設備基準と設備・備品の具体例、指定申請時に必要な設備基準に関する書類などについてご紹介していきます。
目次
地域密着型通所介護とは
地域密着型通所介護とは、事業所と同じ地域に住む要介護1以上の利用者様に施設へ通ってもらい、入浴・排せつ・食事等の介護や、生活等に関する相談および助言・健康状態の確認、機能訓練などを行うサービス種別です。利用者様の社会的孤立感の解消・心身の機能維持、ご家族の身体的・精神的負担を軽減することを目的としています。
2016年度から定員18人以下のデイサービスは地域密着型通所介護として位置付けられ、市町村が指定を行うことになりました。
地域密着型通所介護の設備基準とは
地域密着型通所介護の設備基準は「指定地域密着型サービスの事業の人員、設備及び運営に関する基準」で規定されており、食堂や機能訓練室、相談室といった最低限配置しなくてはならない設備や備品などが定められています。
指定申請を行う際は、設備基準を満たしていることを証明するための書類を提出するので、開業予定日に間に合うように、計画的に設備や備品の整備・購入を進めていくことになります。
【地域密着型通所介護の設備基準で定められた設備・備品の一覧】
- 食堂
- 機能訓練室
- 静養室
- 相談室
- 事務室
- 消火設備など非常災害時に必要な設備
- 地域密着型通所介護の提供に必要なその他の設備・備品
地域密着型通所介護の設備基準①食堂および機能訓練室
食堂および機能訓練室は、「それぞれ必要な広さを有するものとし、その合計した面積は、3㎡に利用定員を乗じて得た面積以上とすること」とされています。
例えば定員が10名の地域密着型通所介護事業所の場合、
- 3㎡×10=30
なので、食堂および機能訓練室を合計した面積は30㎡以上である必要があります。
また、食事の提供や機能訓練の実施に支障がない広さを確保できる場合は、食堂および機能訓練室は同じ場所とすることが認められています。
食堂および機能訓練室に必要な設備・備品の例
- テーブル
- 椅子
- ソファ
- テレビ
- 機能訓練に使用する器具
など
地域密着型通所介護の設備基準②静養室
静養室の広さは具体的に設備基準に定められていませんが、複数の利用者様が同時に利用できるよう、適当な広さを確保します。
静養室に必要な設備・備品の例
- ベッド
- カーテン
- 布団
- 枕
- ナースコールなど緊急時に職員を呼び出す装置
など
地域密着型通所介護の設備基準③相談室
相談室は、遮へい物の設置等により相談の内容が漏えいしないように配慮したスペースを確保します。
相談室に必要な設備・備品の例
- 机
- 椅子・ソファ
- パーテーション
など
地域密着型通所介護の設備基準④事務室
事務室は、事務に必要な備品を配置でき、事務作業が行える適切な広さを確保します。また、利用者様の情報が漏えいしないように配慮します。
事務室に必要な設備・備品の例
- 鍵付き書庫
- 事務机
- 椅子
- 電話・FAX
- コピー機・プリンター
- 通信設備
- パソコン
など
地域密着型通所介護の設備基準⑤消火設備など
消防法やその他の法令等に規定された消化設備その他の非常災害時に必要な設備を設置します。
消防法やその他の法令等に規定された設備については、事業所所在地を管轄する消防署に確認しましょう。
消火設備など非常災害時に必要な設備・備品の例
- 消火器具
- スプリンクラー
- 屋内消火栓
- 自動火災報知機
など
地域密着型通所介護の設備基準⑥その他の設備・備品
これまでご紹介してきた設備・備品のほかに、設備基準には「地域密着型通所介護の提供に必要なその他の設備・備品」も設置することとされています。
その他の設備・備品の例
- トイレ
- 空調・冷暖房設備
- 洗面台
- 厨房・キッチン
- 浴室
など
地域密着型通所介護の指定基準とは?
地域密着型通所介護の指定基準とは、指定を受けるために満たさなくてはいけない基準で、設備基準以外にも人員基準、運営基準があります。開業前に行う指定申請では、このうち人員基準と設備基準を満たしていることを証明するための書類を中心に、作成・提出することになります。
地域密着型通所介護の人員基準とは?
地域密着型通所介護の人員基準には、事業所運営をする際に確保しなければならない職員の員数や職種が定められており、管理者が常勤専従で1人、生活相談員が1人以上、看護職員が1人以上、介護職員が利用者様の数が15人までは1人以上、利用者様の数が15人を超す場合は1人に利用者様の数が15人を超えた人数を5で割った数を加えた数以上、機能訓練指導員が1人以上となっています。
職種 | 配置基準 | 資格要件 |
---|---|---|
管理者 | 常勤専従で1人 | 特になし |
生活相談員 | 専従で提供日ごとの勤務延時間数をサービス提供時間数で割った数が1人以上 | 社会福祉主事、社会福祉士、精神保健福祉士、それらと同等以上の能力を有すると認められる者 |
看護職員 | 単位ごとに専従で1人以上※1 | 看護師もしくは准看護師 |
介護職員 |
①サービス提供時間に応じて専従で次の数以上
|
特になし |
機能訓練指導員 | 1人以上 | 理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、看護職員、柔道整復師、あん摩マッサージ指圧師、はり師又はきゅう師※2 |
※1
地域密着型通所介護の提供時間帯を通じて専従する必要はないが、地域密着型通所介護と密接かつ適切な連携(地域密着型通所介護事業所へ駆け付けることができる体制や適切な指示ができる連絡体制などの確保)を図る、もしくは、病院・診療所・訪問看護ステーションと、提供時間帯を通じた密接かつ適切な連携により確保することとされています。
※2
はり師及びきゅう師については、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、看護職員、柔道整復師又はあん摩マッサージ指圧師の資格を有する機能訓練指導員を配置した事業所で6カ月以上機能訓練指導に従事した経験を有する者に限るとされています。
地域密着型通所介護の運営基準とは?
地域密着型通所介護の運営基準には、事業所が適切なサービスを提供するために守らなければならないルールが定められており、サービス提供開始までの手順、提供するサービスの内容や提供方法、必要な書類や記録、取り組みなどが規定されています。
【地域密着型通所介護の運営基準の項目例】
- 内容および手続きの説明と同意
- 提供拒否の禁止
- サービス提供困難時の対応
- 受給資格等の確認
- 要介護認定の申請を援助
- 心身の状況等の把握
- 居宅介護支援事業者等との連携
- 法定代理受領サービスの提供を受けるための援助
- 居宅サービス計画に沿ったサービスの提供
- 居宅サービス計画等の変更を援助
- サービス提供の記録
- 利用料等の受領
- 保険給付の請求のための証明書の交付
- 地域密着型通所介護の基本取扱方針
- 地域密着型通所介護の具体的取扱方針
- 地域密着型通所介護計画の作成
- 利用者に関する市町村への通知
- 緊急時の対応
- 管理者の責務
- 運営規程
- 勤務体制の確保等
- 業務継続計画の策定等
- 定員の遵守
- 非常災害対策
- 衛生管理等
- 地域との連携等
- 記録の整備
など
地域密着型通所介護の運営基準について、 詳しくはこちらの記事をご覧ください。
地域密着型通所介護の指定申請時に必要な設備基準に関する書類
地域密着型通所介護の指定申請時には、設備基準を満たしていることを証明するための書類を提出する必要があります。
ここでは、神奈川県横浜市を例に、指定申請時に必要な設備基準に関する書類をご紹介します。
【地域密着型通所介護の指定申請時に必要な設備基準に関する書類の一覧】
- 登記事項証明書の原本(発行から3月以内のもの)
- 建物の賃貸借契約書の写しまたは建物の登記簿謄本(登記事項証明書)の原本
- 事業所の平面図
- 面積一覧表
- 事業所の写真(食堂・機能訓練室、静養室、浴室、建物外観)
地域密着型通所介護の開業をカイポケが支援します!
地域密着型通所介護を開業する際には、設備基準をはじめとした指定基準の内容を理解した上で指定申請に関する書類を作成するほか、法人設立や利用者獲得のための営業などを行います。
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まとめ
ここまで、地域密着型通所介護の設備基準や設備・備品の具体例、指定申請時に必要な設備基準に関する書類などについてご紹介してきましたが、いかがでしたか。
地域密着型通所介護を開業する際は、設備基準を満たすために建物をリフォーム・備品を購入することになりますので、開業予定日に間に合うよう計画的に進めていきましょう。
最後までお読みいただきありがとうございました。