介護保険制度改正情報2018年まとめ
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概要
2015年(平成27年)度の介護報酬改定では、介護報酬の改定率「-2.27%」となり、多くの介護事業者にとって、厳しい改定となりましたが、2018年(平成30年)度の介護報酬改定では、改定率「+0.54%」と若干のプラス改定となりました。
ここでは、主要な改正事項として
「地域包括ケアシステムの推進」、「自立支援・重度化防止に資する質の高い介護サービスの実現」、「多様な人材の確保と生産性の向上」、「介護サービスの適正化・重点化を通じた制度の安定性・持続可能性の確保
」
の4つを軸に、今回の改正についてまとめます。
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「地域包括ケアシステムの推進」について
「地域包括ケアシステムの推進」は「中重度の要介護者も含め、どこに住んでいても適切な医療・介護サービスを切れ目なく受けることができる体制を整備」を目的とした内容となっています。具体的には、下記が主要な変更点となっています。
・見取り・ターミナルケア
今回の改正でより重視されるようになったのが見取り・ターミナルケアです。多くのサービスにおいて、ターミナルケアを行った場合に取得できる加算の単位が増えたり新設されたりし、より評価がされるようになりました。
・ケアマネにおける医療との連携
ケアマネ事業所において、入退院時に医療機関との情報連携に対する評価が充実し、新たな加算も設立されました。
訪問看護事業所等から伝えられた利用者の情報を、主治医等の適切な医療関係者に伝達することも義務付けられました。
・リハビリテーションにおける医療から介護への円滑な移行
医療保険のリハビリテーションを提供している事業所が、新たに介護保険のサービスを提供開始する場合に、その移行ハードルを下げる目的で、面積・人員・器具の共用に関する要件が緩和されるようになりました。
医療保険と介護保険のそれぞれのリハビリテーション計画書の様式を互換性を持ったものになりました。
・ケアマネ事業所の管理者要件が主任ケアマネジャーに
ケアマネ事業所の管理者要件が見直しとなり、主任ケアマネジャーであることを管理者の要件となりました(3年間の経過措置あり)。
「自立支援・重度化防止に資する質の高い介護サービスの実現」について
「介護保険の理念や目的を踏まえ、安心・安全で、自立支援・重度化防止に資する質の高い介護サービスを実現」を目的とした内容になっています。具体的には、下記が主要な変更点となっています。
・リハビリテーションに関する医師の関与の強化
訪問リハビリテーションと通所リハビリテーションにて、リハビリテーションマネジメントについて、医師の詳細な指示に基づくリハビリテーションの提供を要件とし、現行のリハビリテーションマネジメント加算を充実させ、これをより手厚く評価するにようになりました。
要支援者のリハビリテーションについても、質の高いリハビリテーションを実現するために、要介護者に対して設けられているようなリハビリテーションマネジメント加算が創設されました。
・リハビリテーションにおけるアウトカム評価の拡充
介護予防訪問リハビリテーションにて、現在介護予防通所リハビリテーションに設けられているアウトカム評価(事業所評価加算:要支援状態の維持・改善率を評価)を設け、条件を満たした場合に事業所評価加算の算定を認めるようになりました。
通所リハビリテーションが提供する介護予防リハビリテーションにおいて、生活行為向上リハビリテーション実施加算を新設し、これを評価するようになりました。
・外部リハビリテーション職との連携
通所介護、特別養護老人ホーム等においては、生活機能向上連携加算を新設し、リハビリテーション専門職や医師が共同でアセスメントを行い、個別機能訓練計画書等を作成することを評価するようになりました。
訪問介護においては、現行の生活機能向上連携加算を充実させ、リハビリテーション専門職や医師が訪問して機能訓練を行う場合にはより評価するようになりました。
・通所介護への心身機能の維持に係るアウトカム評価の導入
通所介護事業所にて、自立支援・重度化防止の観点から、ADL維持等加算を新設し、ADL(日常生活動作)の維持又は改善が見られた場合に、これを評価するようになりました。
・訪問介護における外部のリハビリ専門職等との連携の推進を含む自立支援・重度化防止
訪問介護にて、身体介護として行われている「自立生活支援のための見守り的援助」を明確化するとともに、自立支援・重度化防止に資することを目的として、生活援助よりも身体介護に重点を置かれるように、その報酬にメリハリがつけられました。
・身体的拘束等の適正化の推進
施設系サービス、居住系サービスにて、身体的拘束等のさらなる適正化を図られました。
身体的拘束等の適正化のための対策を検討する委員会の開催等を義務付け、未実施の場合は減算する身体拘束廃止未実施減算の減算率見直しとなりました。
「多様な人材の確保と生産性の向上」について
「人材の有効活用・機能分化、ロボット技術等を用いた負担軽減、各種基準の緩和等を通じた効率化を推進」を目的とした内容となっています。具体的には、下記が主要な変更点となっています。
・生活援助に担い手の拡大
訪問介護において、機能分化を目的として、介護福祉士等は身体介護中心に担い、生活援助については必要な知識や技術を身につけるための研修家庭を創出し、介護業界外からの人材を確保していきます。
提供サービスにより要する介護の専門性の高低を明確にしつつ、人材の裾野を広げていくことを目的としています。
・介護ロボットの活用
特別養護老人ホームの夜勤において、見守り機器の導入により効率的に介護が提供できる場合に、夜勤職員配置加算の要件が緩和されました。
・ICTを活用したリハビリテーション会議への参加
リハビリテーション会議(リハビリテーション計画の作成、石による本人・家族へのリハビリテーション計画の説明と同意を得るための会議)において、現状では医師の参加が難しい状況にあり、その解決策としてテレビ電話等を活用してもよいことになりました。
・地域密着型サービスの運営推進会議の効率化
地域密着型サービスにおける、運営推進会議の効率化を目的として、複数の事業所での合同開始を認めるようになりました。
定期巡回・随時対応型訪問看護の介護・医療連携推進会議の開催頻度を、年4回か2回に変更されました。
「介護サービスの適正化・重点化を通じた制度の安定性・持続可能性の確保 」について
「介護サービスの適正化・重点化を図ることにより、制度の安定性・持続可能性を確保」を目的とした 内容となっています。具体的には、下記が主要な変更点となっています。
・福祉用具貸与の上限価格設定
福祉用具貸与について、商品ごとの全国平均貸与価格の公表や上限貸与価格の設定を行います。
さらに利用者が適切な福祉用具を自由に選択できるようにするために、福祉用具専門相談員に対して、商品の特徴や貸与価格に加え全国平均貸与価格を利用者に説明すること、機能や価格帯の異なる複数の商品を提示すること、福祉用具貸与計画書をケアマネにも交付することを義務付けるようになりました。
・訪問看護における報酬体形の見直し
訪問看護師テーションからのリハビリ専門職による訪問について、看護職員との連携が確保できる仕組みを導入しつつ、基本報酬を見直しました。
要介護者と要支援者に対する訪問看護は、そのサービスの提供内容が異なることから、基本報酬に多少の差をつけるようになりました。
・通所介護の基本報酬のサービス提供時間区分の見直し
従来は2時間毎となっていた基本報酬が事業所の規模に応じて、サービス提供時間の実をふまえて1時間毎に見直しがなされました。
・長時間の通所リハビリの基本報酬の見直し
3時間以上の通所リハビリの基本報酬が事業所の規模に応じて見直しがなされました。
本資料は、2018年1月26日開催
「第158回社会保障審議会介護給付費分科会」
の資料をもとに作成した内容となります。本記事の作成時点では1月26日公表データが最新資料となるものの、今後は厚生労働省より解釈通知が出され、また各自治体より詳細な資料などが公開されていきます。そのため本記事は加算についての前提を把握するために活用いただき、具体的な解釈や申請等については都度最新情報をもとにご判断をいただけます様何卒宜しくお願い致します。
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