介護老人保健施設の2021年度介護報酬改定
SMS CO.,LTD
2021年(令和3年)度の介護報酬改定では、『感染症や災害への対応力強化』、『地域包括ケアシステムの推進』、『自立支援・重度化防止の取組の推進』、『介護人材の確保・介護現場の革新』、『制度の安定性・持続可能性の確保』から改定率『+0.70%』のプラス改定となりました。
ここでは、介護老人保健施設の介護報酬改定の内容についてお伝えしますので、ぜひ最後までお読みください。
介護事業の運営に役立つ情報を
定期的にお届けします。
介護老人保健施設の基本報酬の改定
介護老人保健施設費の基本報酬について以下のように改定が行われました。
介護老人保健施設の基本報酬(多床室)
基本報酬 | 現行 | 改定後 | 増減 | |
---|---|---|---|---|
基本型 | 要介護1 | 775 | 788 | +13 |
要介護2 | 823 | 836 | +13 | |
要介護3 | 884 | 898 | +14 | |
要介護4 | 935 | 949 | +14 | |
要介護5 | 989 | 1,003 | +14 | |
在宅強化型 | 要介護1 | 822 | 836 | +14 |
要介護2 | 896 | 910 | +14 | |
要介護3 | 959 | 974 | +15 | |
要介護4 | 1,015 | 1,030 | +15 | |
要介護5 | 1,070 | 1,085 | +15 |
※令和3年9月30日までの間は、基本報酬について、所定単位数の千分の千一に相当する単位数を算定します。
介護老人保健施設の基本報酬(ユニット型個室)
基本報酬 | 現行 | 改定後 | 増減 | |
---|---|---|---|---|
基本型 | 要介護1 | 781 | 796 | +15 |
要介護2 | 826 | 841 | +15 | |
要介護3 | 888 | 903 | +15 | |
要介護4 | 941 | 956 | +15 | |
要介護5 | 993 | 1,009 | +16 | |
在宅強化型 | 要介護1 | 826 | 841 | +15 |
要介護2 | 900 | 915 | +15 | |
要介護3 | 962 | 978 | +16 | |
要介護4 | 1,019 | 1,035 | +16 | |
要介護5 | 1,074 | 1,090 | +16 |
※令和3年9月30日までの間は、基本報酬について、所定単位数の千分の千一に相当する単位数を算定します。
介護老人保健施設の加算・減算等の改定
加算・減算等については、以下のように加算や区分の新設、算定要件の変更等の改定が行われています。
安全管理体制未実施減算、安全対策体制加算
事故発生の防止と発生時の適切な対応を推進する観点から、措置が講じられていない場合の減算と組織的に安全対策を実施する体制を評価する加算が新設されました。
安全管理体制未実施減算:-5単位/日
安全対策体制加算:20単位/回(入所者1人につき1回を限度)
安全管理体制未実施減算の要件
- 運営基準における事故の発生又は再発を防止するための措置が講じられていない場合
※令和3年10月1日から適用
安全対策体制加算の算定要件
- 外部の研修を受けた担当者が配置され、施設内に安全対策部門を設置し、組織的に安全対策を実施する体制が整備されていること
栄養管理の基準を満たさない場合の減算、栄養マネジメント加算
栄養ケア・マネジメントの取組を一層強化する観点から、栄養マネジメント加算が廃止されました。また、3年の経過措置期間が設けられ、「入所者の栄養状態の維持及び改善を図り、自立した日常生活を営むことができるよう、各入所者の状態に応じた栄養管理を計画的に行わなければならない」と栄養マネジメントが基本報酬に包括化され、未実施の減算が新設されました。
(現行)栄養マネジメント加算:14単位/日 ⇒ (改定後)栄養ケア・マネジメントの未実施減算:-14単位/日
ターミナルケア加算
中重度者や看取りへの対応の充実を図る観点から、「死亡日以前31日以上45日以下」の期間にも加算を算定できるようになりました。
また、看取り期における本人・家族との十分な話し合いや他の関係者との連携を一層充実させる観点から、加算の算定要件において、「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン」等の内容に沿った取組が求められることになりました。
【療養型老健以外の場合】
期間 | 現行 | 改定後 |
---|---|---|
死亡日以前31日以上45日以下 | なし | 80単位/日 |
死亡日以前4日以上30日以下 | 160単位/日 | 160単位/日 |
死亡日以前2日又は3日 | 820単位/日 | 820単位/日 |
死亡日 | 1,650単位/日 | 1,650単位/日 |
【療養型老健の場合】
期間 | 現行 | 改定後 |
---|---|---|
死亡日以前31日以上45日以下 | なし | 80単位/日 |
死亡日以前4日以上30日以下 | 160単位/日 | 160単位/日 |
死亡日以前2日又は3日 | 850単位/日 | 850単位/日 |
死亡日 | 1,700単位/日 | 1,700単位/日 |
入退所前連携加算、退所前連携加算
入所者の早期の在宅復帰を促進する観点から、退所前連携加算について、名称の変更、現行の取組の評価の見直し、現行の取組に加えて入所前後から入所者が退所後に利用を希望する居宅介護支援事業者と連携する取組を評価する区分の新設が行われました。
現行の区分・単位数 | 改定後の区分・単位数 |
---|---|
退所前連携加算:500単位/回 |
入退所前連携加算(Ⅰ):600単位/回
入退所前連携加算(Ⅱ):400単位/回 |
入退所前連携加算(Ⅰ)の算定要件
- 入所予定日前30日以内又は入所後30日以内に、入所者が退所後に利用を希望する居宅介護支援事業者と連携し、入所者の同意を得て、退所後の居宅サービス等の利用方針を定めること
- 入所者の入所期間が1月を超え、入所者が退所し、居宅サービス等を利用する場合、入所者の退所に先立って入所者が利用を希望する居宅介護支援事業者に対し、入所者の同意を得て、診療状況を示す文書を添えて居宅サービス等に必要な情報を提供し、かつ、当該居宅介護支援事業者と連携して退所後の居宅サービス等の利用に関する調整を行うこと
入退所前連携加算(Ⅱ)の算定要件
- 入所者の入所期間が1月を超え、入所者が退所し、居宅サービス等を利用する場合、入所者の退所に先立って入所者が利用を希望する居宅介護支援事業者に対し、入所者の同意を得て、診療状況を示す文書を添えて居宅サービス等に必要な情報を提供し、かつ、当該居宅介護支援事業者と連携して退所後の居宅サービス等の利用に関する調整を行うこと
栄養マネジメント強化加算、低栄養リスク改善加算
栄養ケア・マネジメントの取組を一層強化する観点から、低栄養リスク改善加算が廃止され、栄養マネジメント強化加算が新設されました。
栄養マネジメント強化加算:11単位/日
栄養マネジメント強化加算の算定要件
- 管理栄養士を常勤換算方式で入所者の数を50(施設に常勤栄養士を1人以上配置し、給食管理を行っている場合は70)で除して得た数以上配置すること
- 低栄養状態のリスクが高い入所者に対し、医師、管理栄養士、看護師等が共同して作成した、栄養ケア計画に従い、食事の観察(ミールラウンド)を週3回以上行い、入所者ごとの栄養状態、嗜好等を踏まえた食事の調整等を実施すること
- 低栄養状態のリスクが低い入所者にも、食事の際に変化を把握し、問題がある場合は、早期に対応すること
- 入所者ごとの栄養状態等の情報を厚生労働省に提出し、継続的な栄養管理の実施に当たって、当該情報その他継続的な栄養管理の適切かつ有効な実施のために必要な情報を活用していること
経口維持加算
継続的な経口維持に関する取組を進める観点から、原則6月とする算定期間の要件が廃止されました。
経口維持加算(Ⅰ):400単位/月(単位数に変更なし)
経口維持加算(Ⅱ):100単位/月(単位数に変更なし)
口腔衛生管理体制加算
口腔衛生管理体制を確保するよう促すとともに、状態に応じた丁寧な口腔衛生管理を更に充実させるため、口腔衛生管理体制加算が廃止されました。また、3年の経過措置期間がありますが、基本サービスとして、口腔衛生の管理体制を整備し、入所者ごとの状態に応じた口腔衛生の管理を計画的に行うこと(歯科医師又は歯科医師の指示を受けた歯科衛生士が、介護職員に対する口腔衛生に係る技術的助言及び指導を年2回以上実施すること)が求められます。
口腔衛生管理加算
CHASEへのデータ提出とフィードバックの活用による更なるPDCAサイクルの推進・ケアの向上を図ることを評価する区分が新設されました。
口腔衛生管理加算(Ⅰ):90単位/月(単位数に変更なし)
口腔衛生管理加算(Ⅱ):110単位/月
口腔衛生管理加算(Ⅰ)の算定要件
- 現行と同じ
口腔衛生管理加算(Ⅱ)の算定要件
- 口腔衛生管理加算(Ⅰ)の要件と同じ
- 口腔衛生等の管理に係る計画の内容等の情報を厚生労働省に提出し、口腔衛生等の管理の実施に当たって、当該情報その他口腔衛生等の管理の適切かつ有効な実施のために必要な情報を活用していること
かかりつけ医連携薬剤調整加算
かかりつけ医との連携を推進し、継続的な薬物治療を提供する観点から、かかりつけ医連携薬剤調整加算の評価と区分の見直しが行われました。
現行の区分・単位数 | 改定後の区分・単位数 |
---|---|
かかりつけ医連携薬剤調整加算:125単位/回 |
かかりつけ医連携薬剤調整加算(Ⅰ):100単位/回
かかりつけ医連携薬剤調整加算(Ⅱ):240単位/回 かかりつけ医連携薬剤調整加算(Ⅲ):100単位/回 |
かかりつけ医連携薬剤調整加算(Ⅰ)の算定要件
- 介護老人保健施設の医師又は薬剤師が、関連ガイドライン等を踏まえた高齢者の薬物療法に関する研修を受講していること
- 入所後1月以内に、かかりつけ医に、状況に応じて処方の内容を変更する可能性があることについて説明し、合意を得ていること。
- 入所中に服用薬剤の総合的な評価を行い、評価内容や入所時と退所時の処方内容に変更がある場合は変更の経緯及び変更後の状態について、退所時又は退所後1月以内にかかりつけ医に情報提供を行い、その内容を診療録に記載していること
かかりつけ医連携薬剤調整加算(Ⅱ)の算定要件
- かかりつけ医連携薬剤調整加算(Ⅰ)を算定していること
- 入所者の服薬情報等を厚生労働省に提出し、処方に当たって、当該情報その他薬物療法の適切かつ有効な実施のために必要な情報を活用していること
かかりつけ医連携薬剤調整加算(Ⅲ)の算定要件
- かかりつけ医連携薬剤調整加算(Ⅰ)と(Ⅱ)を算定していること
- 6種類以上の内服薬が処方されており、入所中に処方内容を介護老人保健施設の医師とかかりつけ医が共同し、総合的に評価・調整し、介護老人保健施設の医師が、入所時に処方されていた内服薬の種類を1種類以上減少させること
- 退所時において処方されている内服薬の種類が、入所時に比べ1種類以上減少していること
所定疾患施設療養費
入所者により適切な医療を提供する観点から、疾患の発症・治療状況を踏まえて、算定要件や算定日数、対象疾患等の見直しが行われました。
所定疾患施設療養費(Ⅰ):239単位/日(単位数に変更なし)
所定疾患施設療養費(Ⅱ):480単位/日(単位数に変更なし)
現行 | 改定後 | |
---|---|---|
算定要件 | 入所者に対し、投薬、検査、注射、処置等を行った場合に算定 | 入所者に対し、投薬、検査、注射、処置等を行った場合(肺炎の者又は尿路感染症の者については検査を実施した場合に限る。)に算定 |
対象者 |
●肺炎の者
●尿路感染症の者 ●帯状疱疹の者(抗ウイルス剤の点滴注射を必要とする者に限る。) |
●肺炎の者
●尿路感染症の者 ●帯状疱疹の者 ●蜂窩織炎の者 |
算定日数
所定疾患施設療養費(Ⅱ) |
1月に1回、連続する7日を限度 | 1月に1回、連続する10日を限度 |
認知症専門ケア加算
認知症対応力を向上させる観点から、認知症ケアに関する専門研修を修了した者の配置要件において、認知症ケアに関する専門性の高い看護師が対象に加えられました。
認知症専門ケア加算(Ⅰ):1日につき+3単位(単位数に変更なし)
認知症専門ケア加算(Ⅱ):1日につき+4単位(単位数に変更なし)
リハビリテーションマネジメント計画書情報加算
自立支援・重度化防止に向けた更なる質の高い取組を促す観点から、CHASE・VISITへリハビリテーションのデータを提出しフィードバックを受けてPDCAサイクルを推進することを評価する加算が新設されました。
リハビリテーションマネジメント計画書情報加算:33単位/月
リハビリテーションマネジメント計画書情報加算の算定要件
- 医師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士等が共同し、リハビリテーション実施計画を入所者又はその家族等に説明し、継続的にリハビリテーションの質を管理していること
- 入所者ごとのリハビリテーション実施計画の内容等の情報を厚生労働省に提出し、リハビリテーションの提供に当たって、当該情報その他リハビリテーションの適切かつ有効な実施のために必要な情報を活用していること
褥瘡マネジメント加算
介護の質の向上に係る取組を一層推進する観点から、算定頻度、発生予防・状態改善等の取組の評価について見直しが行われ、区分が新設されました。また、令和4年3月31日までは現行の加算を算定する事業所への経過措置として褥瘡マネジメント加算(Ⅲ)の区分も設けられています。
現行の区分・単位数 | 改定後の区分・単位数 |
---|---|
褥瘡マネジメント加算:10単位/月 |
褥瘡マネジメント加算(Ⅰ):3単位/月
褥瘡マネジメント加算(Ⅱ):13単位/月 褥瘡マネジメント加算(Ⅲ):10単位/月 |
褥瘡マネジメント加算(Ⅰ)の算定要件
- 入所者ごとに褥瘡の発生と関連のあるリスクについて、施設入所時等に評価するとともに、少なくとも三月に一回、評価を行い、その評価結果等を厚生労働省に提出し、褥瘡管理の実施に当たって当該情報等を活用していること
- 評価の結果、褥瘡が発生するリスクがあるとされた入所者ごとに、医師、看護師、管理栄養士、介護職員、介護支援専門員その他の職種の者が共同して、褥瘡管理に関する褥瘡ケア計画を作成していること
- 入所者ごとの褥瘡ケア計画に従い褥瘡管理を実施するとともに、その管理の内容や入所者ごとの状態について定期的に記録していること
- 評価に基づき、少なくとも三月に一回、入所者ごとに褥瘡ケア計画を見直していること
褥瘡マネジメント加算(Ⅱ)の算定要件
- 褥瘡マネジメント加算(Ⅰ)の算定要件を満たしていること
- 施設入所時等の評価の結果、褥瘡が発生するリスクがあるとされた入所者等について、褥瘡の発生のないこと
排せつ支援加算
介護の質の向上に係る取組を一層推進する観点から、すべての入所者に対する定期的な評価、算定期間、排せつ状態の改善について見直しが行われ、区分が新設されました。また、令和4年3月31日までは現行の加算を算定する事業所への経過措置として排せつ支援加算(Ⅳ)の区分も設けられています。
現行の区分・単位数 | 改定後の区分・単位数 |
---|---|
排せつ支援加算:100単位/月 |
排せつ支援加算(Ⅰ):10単位/月
排せつ支援加算(Ⅱ):15単位/月 排せつ支援加算(Ⅲ):20単位/月 排せつ支援加算(Ⅳ):100単位/月 |
排せつ支援加算(Ⅰ)の算定要件
- 排せつに介護を要する入所者等ごとに、要介護状態の軽減の見込みについて、医師又は医師と連携した看護師が施設入所時等に評価するとともに、少なくとも六月に一回、評価を行い、その評価結果等を厚生労働省に提出し、排せつ支援に当たって当該情報等を活用していること
- 評価の結果、適切な対応を行うことにより、要介護状態の軽減が見込まれる者について、医師、看護師、介護支援専門員等が共同して、排せつに介護を要する原因を分析し、それに基づいた支援計画を作成し、支援を継続して実施していること
- 評価に基づき、少なくとも三月に一回、入所者等ごとに支援計画を見直していること
排せつ支援加算(Ⅱ)の算定要件
- 排せつ支援加算(Ⅰ)の算定要件を満たしていること
- 適切な対応を行うことにより、要介護状態の軽減が見込まれる者について、施設入所時等と比較して、排尿・排便の状態の少なくとも一方が改善するとともに、いずれにも悪化がない、「または」、おむつ使用ありから使用なしに改善していること
排せつ支援加算(Ⅲ)の算定要件
- 排せつ支援加算(Ⅰ)の算定要件を満たしていること
- 適切な対応を行うことにより、要介護状態の軽減が見込まれる者について、施設入所時等と比較して、排尿・排便の状態の少なくとも一方が改善するとともに、いずれにも悪化がない、「かつ」、おむつ使用ありから使用なしに改善していること
自立支援促進加算
入所者の尊厳の保持、自立支援・重度化防止の推進、廃用や寝たきりの防止等の観点から、定期的に全ての入所者に対する医学的評価と、それに基づくリハビリテーションや日々の過ごし方等についてのアセスメントを実施するとともに、介護支援専門員やその他の介護職員が、日々の生活において適切なケアを実施するための計画を策定し、日々のケア等を行う取組を評価する自立支援促進加算加算が新設されました。
自立支援促進加算:300単位/月
自立支援促進加算の算定要件
- 医師が入所者ごとに、自立支援のために特に必要な医学的評価を入所時に行うとともに、少なくとも六月に一回、医学的評価の見直しを行い、自立支援に係る支援計画等の策定等に参加していること
- 医学的評価の結果、特に自立支援のための対応が必要であるとされた者毎に、医師、看護師、介護職員、介護支援専門員、その他の職種の者が共同して、自立支援に係る支援計画を策定し、支援計画に従ったケアを実施していること
- 医学的評価に基づき、少なくとも三月に一回、入所者ごとに支援計画を見直していること
- 医学的評価の結果等を厚生労働省に提出し、当該情報その他自立支援促進の適切かつ有効な実施のために必要な情報を活用していること
科学的介護推進体制加算
介護サービスの質の評価と科学的介護の取組を推進し、介護サービスの質の向上を図る観点から、利用者のデータの提出、フィードバックに基づくケアプランや計画への反映などを評価する科学的介護推進体制加算が新設されました。
科学的介護推進体制加算(Ⅰ):40単位/月
科学的介護推進体制加算(Ⅱ):60単位/月
科学的介護推進体制加算(Ⅰ)の算定要件
- 入所者・利用者ごとの、ADL値、栄養状態、口腔機能、認知症の状況その他の入所者の心身の状況等に係る基本的な情報を、厚生労働省に提出していること
- 必要に応じてサービス計画を見直すなど、サービスの提供に当たって、上記の情報その他サービスを適切かつ有効に提供するために必要な情報を活用していること
科学的介護推進体制加算(Ⅱ)の算定要件
- 入所者ごとの、ADL値、栄養状態、口腔機能、認知症の状況その他の入所者の心身の状況等に係る基本的な情報に加えて疾病の状況や服薬情報等の情報を、厚生労働省に提出していること
- 必要に応じてサービス計画を見直すなど、サービスの提供に当たって、上記の情報その他サービスを適切かつ有効に提供するために必要な情報を活用していること
サービス提供体制強化加算
サービスの質の向上や職員のキャリアアップを一層推進する観点から見直され、新たな上位区分が新設、従来の区分の要件の変更がありました。
現行の区分・単位数 | 改定後の区分・単位数 |
---|---|
なし | サービス提供体制強化加算(Ⅰ):22単位/回 |
サービス提供体制強化加算(Ⅰ)イ:18単位/回 | サービス提供体制強化加算(Ⅱ):18単位/回 |
サービス提供体制強化加算(Ⅰ)ロ:12単位/回
サービス提供体制強化加算(Ⅱ):6単位/回 サービス提供体制強化加算(Ⅲ):6単位/回 |
サービス提供体制強化加算(Ⅲ):6単位/回 |
サービス提供体制強化加算(Ⅰ)の算定要件のうち、資格・勤続年数要件
サービスの質の向上に資する取組を実施し、以下のいずれかに該当すること
- 介護福祉士80%以上
- 勤続10年以上介護福祉士35%以上
サービス提供体制強化加算(Ⅱ)の算定要件のうち、資格・勤続年数要件
- 介護福祉士60%以上
サービス提供体制強化加算(Ⅲ)の算定要件のうち、資格・勤続年数要件
以下のいずれかに該当すること
- 介護福祉士50%以上
- 常勤職員75%以上
- 勤続7年以上30%以上
介護職員処遇改善加算
介護職員処遇改善加算・介護職員等特定処遇改善加算の算定要件の一つである職場環境等要件について、『取組の見直し』と『当該年度における取組の実施』の変更がありました。
また、介護職員処遇改善加算(Ⅳ)と(Ⅴ)の区分について、上位区分の算定が進んでいることを踏まえて、1年の経過措置期間を設けて廃止することになりました。
職場環境等要件の見直しの方向性
- 職員の新規採用や定着促進に資する取組
- 職員のキャリアアップに資する取組
- 両立支援・多様な働き方の推進に資する取組
- 腰痛を含む業務に関する心身の不調に対応する取組
- 生産性の向上につながる取組
- 仕事へのやりがい・働きがいの醸成や職場のコミュニケーションの円滑化等、職員の勤務継続に資する取組
介護職員等特定処遇改善加算
平均の賃金改善額の配分ルールについて、「その他の職種」は「その他の介護職員」の「2分の1を上回らないこと」とするルールは維持した上で以下の改定が行われました。
【現行】「経験・技能のある介護職員」は「その他の介護職員」の「2倍以上とすること」
【改定後】「経験・技能のある介護職員」は「その他の介護職員」の「より高くすること」
※第199回社会保障審議会介護給付費分科会 参考資料1より引用
介護老人保健施設の介護報酬に係るその他の改定
在宅復帰・在宅療養支援等指標
在宅復帰・在宅療養支援機能を更に推進するため、6月の経過措置期間を設け、「居宅サービス実施数に係る指標における訪問リハビリテーションの比重」、「リハビリテーション専門職配置割合に係る指標における理学療法士・作業療法士・言語聴覚士の3職種の配置の評価」、「医師の詳細な指示に基づくリハビリテーションに関する事項の明確化」について見直しが行われました。
【在宅復帰・在宅療養支援等指標】
①在宅復帰率 |
●50%超:20
●30%超:10 ●30%以下:0 |
---|---|
②ベッド回転率 |
●10%以上:20
●5%以上:10 ●5%未満:0 |
③入所前後訪問指導割合 |
●30%以上:10
●10%以上:5 ●10%未満:0 |
④退所前後訪問指導割合 |
●30%以上:10
●10%以上:5 ●10%未満:0 |
⑤居宅サービスの実施数 |
●3サービス:5
●2サービス(訪問リハビリテーションを含む):3 ●2サービス:1 ●0~1サービス:0 |
⑥リハ専門職の配置割合 |
●5以上(PT、OT、STいずれも配置):5
●5以上:3 ●3以上:2 ●3未満:0 |
⑦支援相談員の配置割合 |
●3以上:5
●2以上:3 ●2未満:0 |
⑧要介護4又は5の割合 |
●50%以上:5
●35%以上:3 ●35%未満:0 |
⑨喀痰吸引の実施割合 |
●10%以上:5
●5%以上:3 ●5%未満:0 |
⑩経管栄養の実施割合 |
●10%以上:5
●5%以上:3 ●5%未満:0 |
管理栄養士の関与の明確化
介護保険施設において多職種連携で行う取組について、管理栄養士の役割や関与を強化する観点から、基本報酬の算定要件において関与する専門職として管理栄養士が明確化されました。
食費の基準費用額
令和2年度介護事業経営実態調査結果から算出した介護保険施設の食費の平均的な費用の額との差の状況を踏まえて、食費の金費用額について、現行の「1,392円/日」から、改定後「1,445円/日」に見直しが行われました。こちらは令和3年8月から施行されます。
リハビリテーション・機能訓練、口腔、栄養の計画や会議
リハビリテーション・機能訓練、口腔、栄養に関する加算等の算定要件とされている計画作成や会議について、リハビリテーション専門職、管理栄養士、歯科衛生士が必要に応じて参加することが明確化されました。
また、リハビリテーション・機能訓練、口腔、栄養に関する各種計画書(リハビリテーション計画書、栄養ケア計画書、口腔機能向上サービスの管理指導計画・実施記録)について、重複する記載項目を整理し、それぞれの実施計画を一体的に記入できる様式が設けられます。
介護老人保健施設の人員、設備、運営の基準、その他の改定
非常災害対策
非常災害対策の訓練の実施にあたって、地域住民の参加が得られるよう連携に努めることが求められることになりました。
個室ユニット型施設の設備・勤務体制
ケアの質を維持しつつも、人材確保や職員定着を目指すために、1ユニットの定員を現行の「おおむね10人以下」から「原則としておおむね10人以下とし、15人を超えないもの」と見直しが行われました。合わせて「当分の間、現行の入居定員を超えるユニットを整備する場合は、ユニット型施設における夜間及び深夜を含めた介護職員及び看護職員の配置の実態を勘案して職員を配置するよう努めるものとする」とされています。
また、ユニット型個室的多床室について、感染症やプライバシーに配慮し、個室化を進める観点から、新たに設置することが禁止されます。
人員配置基準における兼務
人材確保や職員定着の観点から、従来型とユニット型を併設する場合において、入所者の処遇に支障がない場合、現行では認められていなかった介護・看護職員の兼務が認められることになりました。
また、介護老人保健施設と小規模多機能型居宅介護を併設する場合において、入所者の処遇に支障がない・管理上支障がない場合、現行では認められていなかった介護職員、管理者の兼務が認められることになりました。
認知症介護基礎研修の義務化
介護に直接携わる職員の認知症対応力を向上させていくため、介護サービス事業者に、無資格の職員について、認知症介護基礎研修を受講させるために必要な措置を講じることが義務づけられました。これには3年の経過措置、新入職員には1年の猶予期間があります。
情報公表制度における変更
介護サービス情報公表制度において、従業者の認知症介護実践者研修の受講状況などの認知症に係る事業者の取組状況を公表する項目が設けられました。
最後に
本記事は、作成時点の最新資料を基に作成しています。今後、厚生労働省より解釈通知、各自治体より詳細な通知・資料などが公開されますので、具体的な解釈や申請等については、その都度、最新情報を基にご判断をいただきますようお願い致します。
各サービス種別の2021年度介護報酬改定の内容は下記からご覧いただけます
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