【令和3年】2021年度介護報酬改定情報まとめ
SMS CO.,LTD
2021年度介護報酬改定の概要
新型コロナウィルス感染症や大規模災害があり、介護事業者にとって厳しい環境が続く中、2021年(令和3年)度の介護報酬改定では、改定率『+0.70%』の軽微なプラス改定となりました。
ここでは、介護報酬改定の5つの軸である『①感染症や災害への対応力強化』、『②地域包括ケアシステムの推進』、『③自立支援・重度化防止の取組の推進』、『④介護人材の確保・介護現場の革新』、『⑤制度の安定性・持続可能性の確保』に沿って、今回の改定のポイントをお伝えします。
介護事業の運営に役立つ情報を
定期的にお届けします。
改定のポイント①【感染症や災害への対応力強化】
新型コロナウィルス感染症や大規模災害が発生する中で『感染症や災害が発生した場合であっても、利用者に必要なサービスが安定的・継続的に提供される体制を構築すること』を目的とした改定が行われました。
感染症対策の強化
感染症の発生及びまん延等に関する取組の徹底を求める観点から、これまで介護サービス種別によって異なる措置が定められていた点も含めて整理され、以下の取組が義務づけられました。
- 施設系サービスに、現行の3月に1回以上の委員会の開催、指針の整備、研修の実施等に加え、訓練・シミュレーションの実施(3年の経過措置あり)
- その他のサービスに、6月に1回以上の委員会の開催、指針の整備、研修の実施、訓練・シミュレーションの実施等(3年の経過措置あり)
業務継続に向けた取組の強化
感染症や災害が発生した場合であっても、必要な介護サービスが継続的に提供できる体制を構築する観点から、全ての介護サービス事業者を対象に以下の取組が義務づけられました。
- 全てのサービスに、業務継続に向けた計画等の策定、研修の実施、訓練・シミュレーションの実施等(3年の経過措置あり)
災害への地域と連携した対応の強化
災害への対応においては、地域との連携が不可欠であることを踏まえ、非常災害に関する計画策定、関係機関との連携体制の確保、避難等訓練の実施等の非常災害対策が求められる介護サービス事業者を対象に、以下の取組が定められました。
- 通所系、短期入所系、特定、施設系サービスに、避難等訓練の実施に当たって、地域住民の参加が得られるよう連携に努めることを規定
通所介護等の事業所規模別の報酬等に関する対応
通所系サービスの報酬について、感染症や災害の影響により利用者数が減少した場合に、状況に即した安定的なサービス提供を可能とする観点から、足下の利用者数に応じて柔軟に事業所規模別の各区分の報酬単価による算定を可能とするとともに、臨時的な利用者数の減少に対応するための評価が、以下のように設定されました。
- より小さい規模区分がある大規模型について、事業所規模別の報酬区分の決定にあたり、前年度の平均延べ利用者数ではなく、延べ利用者数の減が生じた月の実績を基礎とすることができることに変更
- 延べ利用者数の減が生じた月の実績が前年度の平均延べ利用者数から5%以上減少している場合、3か月間、基本報酬の3%の加算を行う
改定のポイント②【地域包括ケアシステムの推進】
地域包括ケアシステムの推進では、『住み慣れた地域において、利用者の尊厳を保持しつつ、必要なサービスが切れ目なく提供されるよう取組を推進すること』を目的とした改定が行われました。
認知症への対応力向上に向けた取組の推進
介護に関わる全ての者の認知症対応力を向上させていくため、また訪問系サービスの認知症対応力を向上させる観点、多機能系サービスの緊急時の宿泊ニーズに対応する観点から、以下の内容の改定が行われました。
- 訪問系サービスに、認知症専門ケア加算の創設
- 多機能系サービス、認知症行動・心理症状緊急対応加算の創設
- 介護に直接携わる職員に、認知症介護基礎研修を受講するための措置の義務化(3年の経過措置あり)
看取りへの対応の充実
看取り期の本人・家族との十分な話し合いや関係者との連携を一層充実させ、また、看取りへの対応の評価の充実のため、以下の内容の改定が行われました。
- 介護医療院等の基本報酬、その他のサービスの看取りに係る加算の算定要件等に、「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン」の内容に沿った取組を行うことを規定
- 特養、老健、特定施設、認知症グループホームの看取りに係る加算に、現行の死亡日以前30日前からの算定に加えて、新たに31日前から45日前までの期間についての評価の創設
- 特定施設に、看取り期に夜勤または宿直の看護職員を配置している場合の評価として、看取り介護加算(Ⅱ)の創設
- 訪問介護において看取り期の利用者にサービスを提供する場合、訪問介護に係る2時間ルール(2時間未満の間隔のサービス提供は所要時間を合算すること)を弾力化し、所要時間を合算せずにそれぞれの所定単位数が算定可に変更
医療と介護の連携の推進
医療と介護の連携を推進するために、居宅療養管理指導における情報提供、短期療養の医療ニーズのある利用者の受入促進、老健における適切な医療の提供、介護医療院の長期療養・生活施設の機能の充実、介護療養型医療施設の円滑な移行について、以下の内容の改定が行われました。
- 居宅療養管理指導において、利用者の支援につながる情報を把握し、関連する情報を介護支援専門員等に提供するよう努めることを規定
- 短期療養の基本報酬の見直し
- 短期療養(老健)に、総合的な医学的管理を評価する総合医学管理加算の創設
- 老健の所定疾患施設療養費について、検査の実施の明確化、算定日数の延長(1月に1回、連続する10日まで)、対象疾患の追加(蜂窩織炎の追加)
- 老健のかかりつけ医連携薬剤調整加算について、連携に係る取組と、かかりつけ医と共同して減薬に至った場合を区分し、また、CHASEへのデータ提出とフィードバックの活用によるPDCAサイクルの推進・ケアの向上を図ることの評価として(Ⅰ)、(Ⅱ)、(Ⅲ)の区分の創設
- 介護医療院の長期入院患者の受入れ・サービス提供を評価するため、長期療養生活移行加算の創設
- 介護療養型医療施設の令和5年度末の廃止期限までの円滑な移行に向けて、移行計画未提出減算の創設
在宅サービスの機能と連携の強化
在宅サービスの機能と連携を強化するために、訪問介護の利用者の負担軽減・利便性の向上、訪問入浴介護の充実、訪問看護の機能強化、緊急時の宿泊ニーズに対応する観点から、以下の内容の改定が行われました。
- 訪問介護の通院等乗降介助について、居宅が始点または終点となる場合の目的地間の移送も算定可に変更
- 訪問入浴介護に、新規利用者への初回サービス提供前の利用の調整を評価する初回加算の創設
- 訪問入浴介護の清拭・部分浴を実施した場合の減算幅、現行30%/回から改定後10%/回へ見直し
- 訪問看護の退院・退所当日の算定対象者に「主治の医師が必要と認める場合」の追加
- 訪問看護の看護体制強化加算の要件(特別管理加算の利用者の割合・従業者のうち看護職員が占める割合60%)と単位数の見直し
- 認知症グループホーム、短期療養、多機能系サービスにおいて、緊急時短期利用の受入日数や人数、部屋等の要件の見直し
介護保険施設や高齢者住まいにおける対応の強化
ケアの質を維持しつつ、人材確保や職員定着を目指し、ユニットケアを推進する観点から1ユニットの定員について改定が行われました。
- 個室ユニット型施設の1ユニットの定員、現行10人以下を改定後「原則として概ね10人以下とし15人を超えないもの」に見直し
ケアマネジメントの質の向上と公正中立性の確保
居宅介護支援事業所の事業所間連携や経営の安定化、医療機関との情報連携、介護予防支援の充実等の観点から、以下の内容の改定が行われました。
- 居宅介護支援の特定事業所加算に、事業所間連携により体制確保や対応等を行う事業所を評価する特定事業所加算(A)の区分の創設
- 居宅介護支援の逓減制において、ICT活用または事務職員の配置を行っている場合の適用件数の緩和(逓減制の適用が45件以上)
- 居宅介護支援の利用者が医療機関で診察を受ける際に同席し、医師等と情報連携を行い、当該情報を踏まえてケアマネジメントを行うことを評価する通院時情報連携加算の創設
- 介護予防支援に、居宅介護支援事業者との情報連携等を評価する委託連携加算の創設
地域の特性に応じたサービスの確保
離島や中山間地域等の要介護者に対する介護サービスの提供の促進、認知症グループホームの地域の特性に応じたサービスの整備・提供の促進、過疎地域等におけるサービス提供の確保等の観点から、以下の内容の改定が行われました。
- 夜間対応型訪問介護、認知症対応型通所介護、多機能系サービスに、中山間地域等に係る加算等の創設
- 認知症グループホームのユニット数の弾力化、サテライト型事業所の創設
- 多機能系サービスにおいて、市町村が認めた場合に、過疎地域等において登録定員を超過した場合の報酬減算の一定期間免除
改定のポイント③【自立支援・重度化防止の取組の推進】
自立支援・重度化防止の取組の推進では、『制度の目的に沿って、質の評価やデータ活用を行いながら、科学的に効果が裏付けられた質の高いサービスの提供を推進すること』を目的とした改定が行われました。
リハビリテーション・機能訓練、口腔、栄養の取組の連携・強化
リハビリテーション・機能訓練、口腔、栄養の取組を一体的に運用し、自立支援・重度化防止を効果的に進める観点、自立支援・重度化防止に向けた更なる質の高い取組を促す観点、退院・退所直後のリハビリテーションの充実、ICTの活用、利用者の自宅での入浴の自立、口腔衛生管理体制の標準化、栄養改善のための体制作りなど観点から、以下の内容の改定が行われました。
- 訪問リハ、通所系サービス、短期入所系サービス、多機能系サービス、居住系サービス、施設系サービスのリハビリテーション・機能訓練、口腔、栄養に関する各種加算等について、算定要件とされている計画作成や会議に、リハ専門職、管理栄養士、歯科衛生士が必要に応じて参加することを明確化
- 認知症グループホームのユニット数の弾力化、サテライト型事業所の創設
- 通所介護、特養等の生活機能向上連携加算に、訪問介護等と同様に、ICTの活用等により外部のリハ専門職等が事業所を訪問せずに利用者の状態を把握・助言する場合の評価区分の創設
- 訪リハ、通リハのリハビリテーションマネジメント加算(Ⅰ)を廃止し、基本報酬の算定要件とし、(Ⅱ)、(Ⅲ)、(Ⅳ)の区分が変更され、(A)イ・ロ、(B)イ・ロの区分への組み換え、区分の創設
- 老健、介護医療院に、VISITへデータを提出し、フィードバックを受け、PDCAサイクルを推進することを評価する『リハビリテーションマネジメント計画書情報加算(老健)』、『理学療法、作業療法及び言語聴覚療法に係る加算(介護医療院)』の創設
- 通所介護の個別機能訓練加算について、加算区分や要件の見直しとCHASEへデータを提出し、フィードバックを受け、PDCAサイクルを推進することを評価する区分の創設
- 通所系サービスの入浴介助加算について、現行の単位数の見直しと個別の入浴計画に基づく入浴介助を評価する区分の創設
- 施設系サービスの口腔衛生管理体制加算を廃止し、基本サービスとして、入所者の口腔の健康の保持を図り、自立した日常生活を営むことができるよう、口腔衛生の管理体制を整備し、各入所者の状態に応じた口腔衛生の管理を計画的に行うことを義務化(3年の経過措置あり)
- 施設系サービスについて、栄養マネジメント加算、低栄養リスク改善加算を廃止し、基本サービスとして、入所者の栄養状態の維持及び改善を図り、自立した日常生活を営むことができるよう、各入所者の状態に応じた栄養管理を計画的に行うことを義務化、実施していない場合の栄養ケア・マネジメントの未実施減算の創設(3年の経過措置あり)、及び入所者全員への丁寧な栄養ケアの実施や体制強化等を評価する栄養マネジメント強化加算の創設
- 通所系サービス、多機能系サービス、居住系サービスに、介護職員等による口腔スクリーニング、栄養スクリーニングの実施を評価する口腔・栄養スクリーニング加算(Ⅰ)、(Ⅱ)の創設
- 通所系サービス、看護小規模多機能型居宅介護に、管理栄養士と介護職員等の連携による栄養アセスメントの取組を評価する栄養アセスメント加算の創設。栄養改善加算に、管理栄養士が必要に応じて利用者の居宅を訪問する取組の追加と単位数の変更
- 認知症グループホームに、管理栄養士が介護職員等へ助言・指導を行い栄養改善のための体制づくりを進めること評価する栄養管理体制加算の創設
介護サービスの質の評価と科学的介護の取組の推進
CHASE・VISIT(統合してLIFE)へのデータ提出とフィードバックの活用によりPDCAサイクルの推進とケアの質の向上を図る取組の推進し、介護サービスの質の向上を図る観点から、以下の内容の改定が行われました。
- 施設系サービス、通所系サービス、多機能系サービス、居住系サービスに、CHASE・VISITへのデータ提出とフィードバックの活用によりPDCAサイクルの推進とケアの質の向上を図る取組を評価する科学的介護推進体制加算の創設
- 通所介護に加え、認知症デイ、特定施設、特養にADL維持等加算の対象サービスを拡大し、算定要件の変更と単位数の増加
- 老健の在宅復帰・在宅療養支援等評価指標について、在宅復帰等を更に推進する観点から、居宅サービスの実施数・リハ専門職の配置割合の指標の見直し(6ヵ月の経過措置あり)
寝たきり防止等、重度化防止の取組の推進
介護保険施設において、利用者の尊厳の保持、自立支援・重度化防止の推進、廃用や寝たきりの防止等の観点から、医師の関与の下、リハビリテーション・機能訓練、介護等を行う取組を推進する観点から、以下の内容の改定が行われました。
- 施設系サービスに、全ての利用者への医学的評価に基づく日々の過ごし方等へのアセスメントの実施、日々の生活全般における計画に基づくケアの実施を評価する自立支援促進加算の創設
- 施設系サービスの褥瘡マネジメント加算、排せつ支援加算について、状態改善等(アウトカム)を評価するための加算の区分の創設
改定のポイント④【介護人材の確保・介護現場の革新】
介護人材の確保・介護現場の革新では、『喫緊・重要な課題として、介護人材の確保・介護現場の革新に対応すること』を目的とした改定が行われました。
介護職員の処遇改善や職場環境の改善に向けた取組の推進
介護事業者による職場環境改善の取組をより実効性が高いものとする観点、介護職員等特定処遇改善加算を小規模事業者を含め事業者がより活用しやすい仕組みとする観点、サービスの質の向上や職員のキャリアアップを一層推進する観点、仕事と育児や介護との両立が可能となる環境整備を進め、職員の離職防止・定着促進を図る観点、介護サービス事業者の適切なハラスメント対策を強化する観点から、以下の内容の改定が行われました。
- 介護職員等特定処遇改善加算の平均の賃金改善額の配分ルール(「2倍以上とすること」から「より高くすること」へ)の見直し
- 介護職員処遇改善加算や介護職員等特定処遇改善加算の職場環境等要件について、当該年度における職場環境等要件に基づく取組の実施を求め、職場環境改善の取組を実効性が高いものが推進されるように見直し
- サービス提供体制強化加算の該当するサービスに、介護福祉士の割合や勤続年数の長い職員の割合が高い事業者を評価する区分の創設、訪問介護に勤続年数の長い職員の割合が高い事業者を評価する特定事業所加算(Ⅴ)の創設
- 全サービスに人員配置基準や報酬算定における常勤・常勤換算について、週30時間以上の短時間勤務等を行う場合にも「常勤」「常勤換算1」として取扱うことが可能に変更。また、育児・介護休業取得の際の非常勤職員による代替職員の常勤換算が可能に変更
- 全ての介護サービス事業者に、適切なハラスメント対策が規定
テクノロジーの活用や人員基準・運営基準の緩和を通じた業務効率化・業務負担軽減の推進
テクノロジーの活用により介護サービスの質の向上及び業務効率化を推進していく観点、感染防止や多職種連携促進の観点、人材確保や職員定着の観点から、以下の内容の改定が行われました。
- 特養、短期入所の夜勤職員配置加算について、見守り機器の導入割合(15%→10%)の緩和。見守り機器100%の導入やインカム等のICTの使用、安全体制の確保や職員の負担軽減等を要件に、基準を緩和(0.9人→0.6人)した区分の創設
- 特養(従来型)の見守り機器やインカム等のICTを導入する場合における夜間の人員配置基準の緩和
- 特養、特定施設の日常生活継続支援加算、入居継続支援加算の介護福祉士の配置要件について、テクノロジーを活用した複数の機器を活用し、利用者に対するケアのアセスメント評価や人員体制の見直しをPDCAサイクルによって継続して行う場合の緩和
- 全サービスの運営基準や加算の要件等における各種会議等の実施について、テレビ電話等を活用しての実施が可能に変更
- 居宅療養管理指導の薬剤師の服薬指導について、『情報通信機器を用いた場合』を創設
- 施設系サービスの従来型とユニット型併設の場合の介護・看護職員の兼務が可能に変更
- 特養(広域型)、老健と小多機を併設する場合の管理者・介護職員の兼務等が可能に変更
- 特養(地域密着型)の人員配置基準に、本体施設との連携により、入所者の処遇に適切に行われている(支障がない)と認められるときの、生活相談員、栄養士の配置の緩和
- 認知症グループホーム(3ユニット)の夜勤職員について、各ユニットが同一階に隣接しており、職員が円滑に利用者の状況把握を行い、速やかな対応が可能な構造で、安全対策をとっていることを要件に、例外的に夜勤2人以上の配置を選択できるように緩和
- 認知症グループホームの「第三者による外部評価」について、自己評価を運営推進会議に報告し、評価を受けた上で公表する仕組みと既存の外部評価によるいずれかから受けることが可能に変更
文書負担軽減や手続きの効率化による介護現場の業務負担軽減の推進
現場の実態等を踏まえて、介護現場の業務負担軽減の観点から、利用者等への説明・同意、記録の保存等について、以下の内容の改定が行われました。
- 全サービスの利用者等への説明・同意について、電磁的な対応が原則認められるように変更.9人→0.6人)した区分の創設
- 全サービスの諸記録の保存・交付等について、電磁的な対応が原則認められるように変更
- 全サービスの運営規程等の重要事項の掲示について、事業所の掲示だけでなく、閲覧可能な形でファイル等で備え置くこと等が可能に変更
改定のポイント⑤【制度の安定性・持続可能性の確保】
制度の安定性・持続可能性の確保では、『必要なサービスは確保しつつ、適正化・重点化を図ること』を目的とした改定が行われました。
評価の適正化・重点化
利用者の公平性の観点、サービスの機能強化を図る観点、サービス提供の実態、事務負担軽減から、以下の内容の改定が行われました。
- 通所系、多機能系サービスにおける区分支給限度基準額の計算方法について、同一建物減算適用時の計算方法と大規模型の事業所における計算方法の見直し
- 夜間対応型訪問介護の定額オペレーションサービス部分の評価の見直し
- 訪問看護、介護予防訪問看護における理学療法士・作業療法士・言語聴覚士によるサービス提供に係る評価や提供回数等の見直し
- 介護予防訪問リハ、介護予防通所リハにおける長期利用(12月超)の場合の評価について減算の見直し
- 居宅療養管理指導における単一建物居住者の人数に応じた評価の見直し
- 介護療養型医療施設について、令和5年度末の廃止期限までに介護医療院への移行等を進める観点から、基本報酬の見直し
- 介護職員処遇改善加算の該当サービスにおいて、介護職員処遇改善加算(Ⅳ)及び(Ⅴ)の廃止(1年の経過措置あり)
- 居宅介護支援の生活援助の訪問回数が多い利用者のケアプランの検証の仕組みについて、ケアプランの検証、届出頻度の見直し
- 居宅介護支援に、区分支給限度基準額の利用割合が高く、かつ、訪問介護が大部分を占める等のケアプランを作成する事業者を対象とした点検・検証の仕組みの導入(2021年10月から施行)
- 訪問系サービス(定期巡回を除く)、通所系サービス(地密通所介護、認デイを除く)、福祉用具貸与に、事業所と同一の建物に居住する利用者に対してサービス提供を行う場合には、当該建物に居住する利用者以外に対してもサービス提供を行うよう努めることを規定
- 居宅介護支援の同一のサービス付き高齢者向け住宅等に居住する者のケアプランについて、区分支給限度基準額の利用割合が高い者が多い場合に、併設事業所の特定を行いつつ、当該ケアプランを作成する居宅介護支援事業者を事業所単位で抽出するなどの点検・検証を行う(2021年10月から施行)
報酬体系の簡素化
療養通所介護における中重度の要介護者の状態にあわせた柔軟なサービス提供を図る観点、サービスや加算の趣旨、目的、それぞれの関係性も踏まえて、一部の加算について基本報酬への組み込みや廃止など、以下の内容の改定が行われました。
- 療養通所介護について、日単位報酬体系から、月単位包括報酬へ。個別送迎体制強化加算、入浴介助体制強化加算は廃止。入浴介助を行わない場合やサービス提供量が過少の場合は減算
- リハサービスのリハマネ加算(Ⅰ)、施設系サービスの口腔衛生管理体制加算、栄養マネジメント加算について廃止し、基本報酬での評価に変更
改定のポイント⑥【その他の事項】
その他、上記の5つの軸に該当しない内容について、以下の内容の改定が行われました。
- 施設系サービスにおいて、事故発生の防止と発生時の適切な対応のための担当者設置の義務化(6ヵ月の経過措置あり)。安全管理体制未実施減算、安全対策体制加算の創設
- 全サービスに、虐待の発生・再発を防止するための委員会の開催、指針の整備、研修の実施、担当者を定めることの義務化(3年の経過措置あり)
- 施設系サービス、短期入所系サービスにおける食費の基準費用額、現行1,392円から改定後1,445円への見直し
最後に
本記事は、作成時点の最新資料を基に作成しています。今後、厚生労働省より解釈通知、各自治体より詳細な通知・資料などが公開されますので、具体的な解釈や申請等については、その都度、最新情報を基にご判断をいただきますようお願い致します。
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