【2021年度改定対応】退院退所加算とは?



退院・退所加算とは、医療機関を退院または介護施設等を退所して、在宅での生活に移行する利用者について、情報提供を受けることや介護サービスの調整等を行うことを評価する加算です。
令和3年度の介護報酬改定では、退院・退所加算の単位数に変更はありませんでしたが、面談の方法として『テレビ電話装置等の活用』が可能となり、算定要件のカンファレンスに『福祉用具貸与が見込まれる場合、福祉用具専門相談員等の参加』が明確化されました。
それでは、退院退所加算の単位数や算定要件について見ていきましょう。

退院退所加算の種類と単位数

  • 退院・退所加算(Ⅰ)イ:450単位
  • 退院・退所加算(Ⅰ)ロ:600単位
  • 退院・退所加算(Ⅱ)イ:600単位
  • 退院・退所加算(Ⅱ)ロ:750単位
  • 退院・退所加算(Ⅲ):900単位

退院退所加算の対象者

以下の医療機関等から退院・退所する利用者が対象となります。

  • 病院
  • 診療所
  • 介護老人福祉施設
  • 介護老人保健施設
  • 介護療養型医療施設
  • 介護医療院
  • 地域密着型介護老人福祉施設

退院退所加算の対象外になるケース

  • 居宅介護支援において初回加算を算定する場合
  • 介護老人福祉施設、地域密着型介護老人福祉施設において、在宅・入所相互利用加算を算定する場合

退院退所加算の算定要件

退院退所加算(Ⅰ)イの算定要件

  • 退院・退所にあたり、医療機関等の職員と面談(テレビ電話等の活用可)を行うこと
  • 医療機関等の職員から利用者に係る情報の提供を「カンファレンス以外の方法」により、「1回」受けていること
  • 必要な情報を得たうえで、ケアプランを作成し、居宅・地域密着型サービスの調整を行っていること

退院退所加算(Ⅰ)ロの算定要件

  • 退院・退所にあたり、医療機関等の職員と面談(テレビ電話等の活用可)を行うこと
  • 医療機関等の職員から利用者に係る情報の提供を「カンファレンス」により、「1回」受けていること
  • 必要な情報を得たうえで、ケアプランを作成し、居宅・地域密着型サービスの調整を行っていること

退院退所加算(Ⅱ)イの算定要件

  • 退院・退所にあたり、医療機関等の職員と面談(テレビ電話等の活用可)を行うこと
  • 医療機関等の職員から利用者に係る情報の提供を「カンファレンス以外の方法」により、「2回以上」受けていること
  • 必要な情報を得たうえで、ケアプランを作成し、居宅・地域密着型サービスの調整を行っていること

退院退所加算(Ⅱ)ロの算定要件

  • 退院・退所にあたり、医療機関等の職員と面談(テレビ電話等の活用可)を行うこと
  • 医療機関等の職員から利用者に係る情報の提供を「2回以上」受け、うち「1回以上はカンファレンス」によること
  • 必要な情報を得たうえで、ケアプランを作成し、居宅・地域密着型サービスの調整を行っていること

退院退所加算(Ⅲ)の算定要件

  • 退院・退所にあたり、医療機関等の職員と面談(テレビ電話等の活用可)を行うこと
  • 医療機関等の職員から利用者に係る情報の提供を「3回以上」受け、うち「1回以上はカンファレンス」によること
  • 必要な情報を得たうえで、ケアプランを作成し、居宅・地域密着型サービスの調整を行っていること

退院退所加算の算定要件におけるカンファレンスとは?

病院・診療所

診療報酬の算定方法別表第一医科診療報酬点数表の退院時共同指導料2の注3の要件を満たし、退院後に福祉用具の貸与が見込まれる場合にあっては、必要に応じ、福祉用具専門相談員や居宅サービスを提供する作業療法士等が参加するもの。

介護老人福祉施設

指定介護老人福祉施設の人員、設備及び運営に関する基準第7条第6項及び第7項に基づき、入所者への援助及び居宅介護支援事業者に対する情報提供等を行うにあたり実施された場合の会議。ただし、基準第2条に掲げる介護老人福祉施設に置くべき従業者及び入所者又はその家族が参加するものに限る。
また、退所後に福祉用具の貸与が見込まれる場合にあっては、必要に応じ、福祉用具専門相談員や居宅サービスを提供する作業療法士等が参加すること。

介護老人保健施設

介護老人保健施設の人員、施設及び設備並びに運営に関する基準第8条第6項に基づき、入所者への指導及び居宅介護支援事業者に対する情報提供等を行うにあたり実施された場合の会議。ただし、基準第2条に掲げる介護老人保健施設に置くべき従業者及び入所者又はその家族が参加するものに限る。
また、退所後に福祉用具の貸与が見込まれる場合にあっては、必要に応じ、福祉用具専門相談員や居宅サービスを提供する作業療法士等が参加すること。

介護療養型医療施設

健康保険法等の一部を改正する法律附則第130条の2第1項の規定によりなおその効力を有するものとされた指定介護療養型医療施設の人員、設備及び運営に関する基準第9条第5項に基づき、患者に対する指導及び居宅介護支援事業者に対する情報提供等を行うにあたり実施された場合の会議。ただし、基準第2条に掲げる介護療養型医療施設に置くべき従業者及び患者又はその家族が参加するものに限る。
また、退院後に福祉用具の貸与が見込まれる場合にあっては、必要に応じ、福祉用具専門相談員や居宅サービスを提供する作業療法士等が参加すること。

介護医療院

介護医療院の人員、施設及び設備並びに運営に関する基準第12条第6項に基づき、入所者への指導及び居宅介護支援事業者に対する情報提供等を行うにあたり実施された場合の会議。ただし、基準第4条に掲げる介護医療院に置くべき従業者及び入所者又はその家族が参加するものに限る。
また、退所後に福祉用具の貸与が見込まれる場合にあっては、必要に応じ、福祉用具専門相談員や居宅サービスを提供する作業療法士等が参加すること。

地域密着型介護老人福祉施設

指定地域密着型サービスの事業の人員、設備及び運営に関する基準第134条第6項及び第7項に基づき、入所者への援助及び居宅介護支援事業者への情報提供等を行うにあたり実施された場合の会議。ただし、基準第131条第1項に掲げる地域密着型介護老人福祉施設に置くべき従業者及び入所者又はその家族が参加するものに限る。
また、退所後に福祉用具の貸与が見込まれる場合にあっては、必要に応じ、福祉用具専門相談員や居宅サービスを提供する作業療法士等が参加すること。

退院退所加算の留意点

  • 利用者・家族が参加する医療機関等の職員との面談において、テレビ電話装置等を活用する場合、テレビ電話装置等の活用について利用者・家族の同意を得る必要があります。
  • テレビ電話装置等を活用する場合、個人情報保護委員会・厚生労働省「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイダンス」、厚生労働省「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」等を遵守することが求められています。
  • 同一日に必要な情報の提供を複数回受けた場合やカンファレンスに参加した場合でも、1回として算定します。
  • 原則として、退院・退所前に情報を得ることが望ましいとされていますが、退院後7日以内に情報を得た場合でも加算を算定することができます。
  • カンファレンスに参加した場合は、カンファレンスの日時、開催場所、出席者、内容の要点等について、居宅サービス計画等に記録し、利用者・家族に提供した文書の写しを添付する必要があります。

退院退所加算のQ&A

令和3年度介護報酬改定に関するQ&A(Vol.3)令和3年3月26日 問120
Q.
カンファレンスに参加した場合は、「利用者又は家族に提供した文書の写しを添付すること」としているが、具体例を示されたい。
A.
具体例として、次のような文書を想定しているが、これらの具体例を踏まえ、個々の状況等に応じて個別具体的に判断されるものである。
なお、カンファレンスに参加した場合の記録については、居宅介護支援経過(第5表)の他にサービス担当者会議の要点(第4表)の活用も可能である。
(例)
カンファレンスに係る会議の概要、開催概要、連携記録等
平成30年度介護報酬改定に関するQ&A(Vol.1)平成30年3月22日 問140
Q.
退院・退所加算(Ⅰ)ロ、(Ⅱ)ロ及び(Ⅲ)の算定において評価の対象となるカンファレンスについて、退所施設の従業者として具体的にどのような者の参加が想定されるか。
A.
退所施設からの参加者としては、当該施設に配置される介護支援専門員や生活相談員、支援相談員等、利用者の心身の状況や置かれている環境等について把握した上で、居宅介護支援事業所の介護支援専門員に必要な情報提供等を行うことができる者を想定している。
平成24年度介護報酬改定に関するQ&A(Vol.1)平成24年3月16日 問110
Q.
入院又は入所期間中につき3回まで算定できるとあるが、入院期間の長短にかかわらず、必要の都度加算できるようになるのか、あるいは1月あたり1回とするのか。
また、同一月内・同一機関内の入退院(所)の場合はどうか。
A.
利用者の退院・退所後の円滑な在宅生活への移行と、早期からの医療機関等との関係を構築していくため、入院等期間に関わらず、情報共有を行った場合に訪問した回数(3回を限度)を評価するものである。
また、同一月内・同一機関内の入退院(所)であっても、それぞれの入院・入所期間において訪問した回数(3回を限度)を算定する。
※ただし、3回算定することができるのは、そのうち1回について、入院中の担当医等との会議(カンファレンス)に参加して、退院後の在宅での療養上必要な説明(診療報酬の退院時共同指導料二の注三の対象となるもの)を行った上で、居宅サービス計画を作成し、居宅サービス又は地域密着型サービスの利用に関する調整を行った場合に限る。
平成24年度介護報酬改定に関するQ&A(Vol.1)平成24年3月16日 問111
Q.
病院に入院・退院し、その後老健に入所・退所した場合の算定方法は、次の①~③のいずれか。
①病院、老健でそれぞれ算定。
②病院と老健を合わせて算定。
③老健のみで算定。
A.
退院・退所に当たっては、共有した情報に基づき居宅サービス計画を作成することにより、より適切なサービスの提供が行われるものと考えられることから、利用者の状態を適切に把握できる直近の医療機関等との情報共有に対し評価すべきものであり、本ケースにおいては③で算定する。
平成24年度介護報酬改定に関するQ&A(Vol.2)平成24年3月30日 問20
Q.
退院・退所加算について、「また、上記にかかる会議(カンファレンス)に参加した場合は、(1)において別途定める様式ではなく、当該会議(カンファレンス)等の日時、開催場所、出席者、内容の要点等について居宅サービス計画等に記録し、利用者又は家族に提供した文書の写しを添付すること。」とあるが、ここでいう居宅サービス計画等とは、具体的にどのような書類を指すのか。
A.
居宅サービス計画については、「介護サービス計画書の様式及び課題分析標準項目の提示について」(平成11年11月12日付け老企第29号厚生省老人保健福祉局企画課長通知)において、標準例として様式をお示ししているところであるが、当該様式の中であれば第5表の「居宅介護支援経過」の部分が想定され、それ以外であれば上記の内容を満たすメモ等であっても可能である。
平成24年度介護報酬改定に関するQ&A(Vol.2)平成24年3月30日 問21
Q.
入院中の担当医等との会議(カンファレンス)に参加した場合、当該会議等の日時、開催場所、出席者、内容の要点等について記録し、『利用者又は家族に提供した文書の写し』を添付することになっているが、この文書の写しとは診療報酬の退院時共同指導料算定方法でいう「病院の医師や看護師等と共同で退院後の在宅療養について指導を行い、患者に情報提供した文書」を指すと解釈してよいか。
A.
そのとおり。
平成24年度介護報酬改定に関するQ&A(Vol.3)平成24年4月25日 問7
Q.
転院・転所前の医療機関等から提供された情報を居宅サービス計画に反映した場合、退院・退所加算を算定することは可能か。
A.
可能である。
退院・退所加算は、原則、利用者の状態を適切に把握できる退院・退所前の医療機関等との情報共有に対し評価するものであるが、転院・転所前の医療機関等から提供された情報であっても、居宅サービス計画に反映すべき情報であれば、退院・退所加算を算定することは可能である。
なお、この場合においても、退院・退所前の医療機関等から情報提供を受けていることは必要である。
平成24年度介護報酬改定に関するQ&A(Vol.3)平成24年4月25日 問8
Q.
4月に入院し、6月に退院した利用者で、4月に1回、6月に1回の計2回、医療機関等から必要な情報の提供を受けた場合、退院・退所加算はいつ算定するのか。
A.
利用者の退院後、6月にサービスを利用した場合には6月分を請求する際に、2回分の加算を算定することとなる。
なお、当該月にサービスの利用実績がない場合等給付管理票が作成できない場合は、当該加算のみを算定することはできないため、例えば、6月末に退院した利用者に、7月から居宅サービス計画に基づいたサービスを提供しており、入院期間中に2回情報の提供を受けた場合は、7月分を請求する際に、2回分の加算を算定することが可能である。
ただし、退院・退所後の円滑なサービス利用につなげていることが必要である。
平成21年4月改定関係Q&A(Vol.1)平成21年3月23日 問65
Q.
退院・退所加算の算定に当たり、居宅サービス又は地域密着型サービスを利用した場合、具体的にいつの月に算定するのか。
A.
退院又は退所に当たって、保険医療機関等の職員と面談等を行い、利用者に関する必要な情報の提供を得た上で、居宅サービス計画を作成し、居宅サービス又は地域密着型サービスの利用に関する調整を行った場合で、当該利用者が居宅サービス又は地域密着型サービスの利用を開始した月に当該加算を算定する。
ただし、利用者の事情等により、退院が延長した場合については、利用者の状態の変化が考えられるため、必要に応じて、再度保険医療機関等の職員と面談等を行い、直近の情報を得ることとする。なお、利用者の状態に変化がないことを電話等で確認した場合は、保険医療機関等の職員と面談等を行う必要はない。
平成21年4月改定関係Q&A(Vol.1)平成21年3月23日 問66
Q.
病院等の職員と面談等を行い、居宅サービス計画を作成したが、利用者等の事情により、居宅サービス又は地域密着型サービスを利用するまでに、一定期間が生じた場合の取扱いについて示されたい。
A.
退院・退所加算については、医療と介護の連携の強化・推進を図る観点から、退院・退所時に、病院等と利用者に関する情報共有等を行う際の評価を行うものである。また、当該情報に基づいた居宅サービス計画を作成することにより、利用者の状態に応じた、より適切なサービスの提供が行われるものと考えられることから、利用者が当該病院等を退院・退所後、一定期間サービスが提供されなかった場合は、その間に利用者の状態像が変化することが想定されるため、行われた情報提供等を評価することはできないものである。このため、退院・退所日が属する日の翌月末までにサービスが提供されなかった場合は、当該加算は算定することができないものとする。

(例)
6/20 退院・退所日が決まり、病院等の職員と面談等を行い、居宅サービス計画を作成
6/27 退院・退所日
6/27~8/1 サービス提供なし
8/1~ 8月からサービス提供開始
上記の例の場合、算定不可
平成21年4月改定関係Q&A(Vol.2)平成21年4月17日 問29
Q.
退院・退所加算の標準様式例の情報提供書の取扱いを明確にされたい。また、情報提供については、誰が記入することを想定しているのか。
A.
退院・退所加算の標準様式例の情報提供書については、介護支援専門員が病院、診療所、地域密着型介護老人福祉施設又は介護保険施設の職員と面談を行い、適切なケアプランの作成に資するために、利用者に関する必要な情報の提供を得るために示したものである。
したがって、当該情報提供書については、上記の趣旨を踏まえ、介護支援専門員が記入することを前提としているが、当該利用者の必要な情報を把握している病院等の職員が記入することを妨げるものではない。
なお、当該情報提供書は標準様式例であることを再度申し添える。

最後に

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