【2021年度改定対応】認知症加算とは?



認知症加算とは、認知症に関する研修を修了した職員を配置し、認知症の症状の進行の緩和に繋がるケアを提供することを評価する加算です。
令和3年度の介護報酬改定では、認知症加算の算定要件の一つである『認知症ケアに関する専門的研修を修了した者を配置する』の対象となる人材の範囲が見直され、『認知症ケアに関する専門性の高い看護師』が対象に加わりました。
この記事では、認知症加算の単位数や算定要件についてまとめていますので、ぜひ最後までお読みください。

認知症加算の該当する介護サービス種別

  • 通所介護
  • 地域密着型通所介護
  • 小規模多機能型居宅介護
  • 看護小規模多機能型居宅介護

認知症加算の種類と単位数

介護サービス種別 単位数
通所介護 60単位/日
地域密着型通所介護 60単位/日
小規模多機能型居宅介護 (Ⅰ)800単位/月
(Ⅱ)500単位/月
看護小規模多機能型居宅介護 (Ⅰ)800単位/月
(Ⅱ)500単位/月

認知症加算の算定要件

通所介護等の認知症加算の算定要件

  • 人員基準で配置する人数に加え、看護職員または介護職員を常勤換算方法で2以上配置していること。
  • 『前年度』または『加算の算定日の属する月の前3月間』の利用者の総数のうち、日常生活に支障を来すおそれのある症状・行動が認められることから介護を必要とする認知症の利用者が占める割合が20%以上であること。
  • 通所介護を行う時間を通じて、専ら通所介護の提供にあたる認知症介護に係る専門的な研修等を修了した職員を1名以上配置していること。

小規模多機能型居宅介護等の認知症加算(Ⅰ)の算定要件

  • 日常生活に支障を来すおそれのある症状・行動が認められることから介護を必要とする認知症の利用者にサービスを提供した場合。

小規模多機能型居宅介護等の認知症加算(Ⅱ)の算定要件

  • 周囲の者による日常生活に対する注意を必要とする認知症の利用者にサービスを提供した場合。

認知症加算の算定要件の詳細

日常生活に支障を来すおそれのある症状・行動が認められることから介護を必要とする認知症の利用者とは?

日常生活に支障を来すおそれのある症状・行動が認められることから介護を必要とする認知症の利用者とは、「日常生活自立度のランクⅢ、Ⅳ、M」に該当する者を指します。

周囲の者による日常生活に対する注意を必要とする認知症の利用者とは?

周囲の者による日常生活に対する注意を必要とする認知症の利用者とは、「日常生活自立度のランクⅡ」に該当する者を指します。

常勤換算方法による職員数の算定方法とは?

常勤換算方法による職員数の算定方法は、歴月ごとの看護職員・介護職員の勤務延時間数を、常勤職員が勤務すべき時間数で除して算定します。
勤務延時間数は、サービス提供時間前後の延長加算を算定する際に配置する看護職員・介護職員の勤務時間は含めません。

利用者の割合の算定方法とは?

利用者の割合の算定方法は、前年度(3月を除く)または届出日の属する月の前3月の1月あたりの実績の平均で判定します。実績は、「利用実人員数」または「利用延人員数」を用いて算定し、要支援者は含めません。

認知症介護に係る専門的な研修等とは?

認知症介護に係る専門的な研修等には、「認知症介護の指導に係る専門的な研修」、「認知症介護に関わる専門的な研修」、「認知症介護に係る実践的な研修」、「認知症看護に係る適切な研修」が含まれています。
具体的には、以下の研修・教育課程・認定が該当します。

  • 認知症介護指導者養成研修
  • 認知症介護実践リーダー研修
  • 認知症介護実践者研修
  • 日本看護協会認定看護師教育課程「認知症看護」の研修
  • 日本看護協会が認定している看護系大学院の「老人看護」及び「精神看護」の専門看護師教育課程
  • 日本精神科看護協会が認定している「精神科認定看護師」

認知症加算の留意点

  • 共生型通所介護を提供している場合、認知症加算を算定できません。
  • 通所介護において、若年性認知症利用者受入加算と併算定することはできません。
  • 通所介護において、中重度者ケア体制加算の要件も満たしている場合は、認知症加算と中重度者ケア体制加算を併算定することができます。
  • 通所介護において、届出日の属する月の前3月の1月あたりの実績の平均により算定要件を満たしている事業所は、届出を行った月以降も毎月継続的に所定の割合を維持しなくてはいけません。

認知症加算のQ&A

平成27年度介護報酬改定に関するQ&A 平成27年4月1日 問25
Q.
指定居宅サービス等基準第93条に規定する看護職員又は介護職員に加え、看護職員又は介護職員を常勤換算方法で2以上確保する必要があるが、具体的な計算方法如何。
A.
例えば、定員20人の通所介護、提供時間が7時間、常勤の勤務すべき時間数が週40時間の場合であって、営業日が月曜日から土曜日の場合には、常勤換算の計算方法は以下の通りとなる。
(本来であれば、暦月で計算するが、単純化のために週で計算。)
表

①指定基準を満たす確保すべき勤務延時間数
(例:月曜日の場合)
確保すべき勤務時間数=((利用者数-15)5+1)平均提供時間数=11.2時間
②指定基準に加えて確保されたものと扱われる勤務時間数
(例:月曜日の場合)
指定基準に加えて確保された勤務時間数=(8+7+8)-11.2=11.8時間
以上より、上記の体制で実施した場合には、週全体で84時間の加配時間となり、84時間40時間=2.1となることから、常勤換算方法で2以上確保したことになる。
平成27年度介護報酬改定に関するQ&A 平成27年4月1日 問26
Q.
指定通所介護の中重度者ケア体制加算と認知症加算を併算定する場合、認知症介護に係る研修を修了している看護職員1人を、指定通所介護を行う時間帯を通じて配置すれば、認知症介護に係る研修を修了している看護職員1人の配置でそれぞれの加算を算定できるのか。
A.
中重度者ケア体制加算の算定対象となる看護職員は他の職務と兼務することはできない。このため、認知症加算を併算定する場合は、認知症介護に係る研修を修了している者を別に配置する必要がある。
平成27年度介護報酬改定に関するQ&A 平成27年4月1日 問27
Q.
認知症加算及び中重度者ケア体制加算の利用者割合の計算方法は、届出日の属する月の前3月の1月当たりの実績の平均が要件を満たせば、例えば、4月15日以前に届出がなされた場合には、5月から加算の算定が可能か。
A.
前3月の実績により届出を行う場合においては可能である。なお、届出を行った月以降においても、直近3月間の利用者割合については、毎月継続的に所定の割合を維持しなければならない。
平成27年度介護報酬改定に関するQ&A 平成27年4月1日 問28
Q.
指定通所介護の中重度者ケア体制加算と認知症加算を併算定する場合、指定居宅サービス等基準第93条に規定する看護職員又は介護職員に加え、看護職員又は介護職員を常勤換算方法で4以上確保する必要があるか。
A.
事業所として、指定居宅サービス等基準第93条に規定する看護職員又は介護職員に加え、看護職員又は介護職員を常勤換算方法で2以上確保していれば、認知症加算及び中重度者ケア体制加算における「指定基準に規定する看護職員又は介護職員の員数に加え、看護職員又は介護職員を常勤換算方法で2以上確保する」という要件をそれぞれの加算で満たすことになる。
平成27年度介護報酬改定に関するQ&A 平成27年4月1日 問29
Q.
認知症加算又は中重度者ケア体制加算の算定要件の一つである専従の認知症介護実践者研修等修了者又は看護職員は、通所介護を行う時間帯を通じて事業所に1名以上配置されていれば、複数単位におけるサービス提供を行っている場合でも、それぞれの単位の利用者が加算の算定対象になるのか。
A.
サービスの提供時間を通じて1名以上配置されていれば、加算の算定対象となる。
平成27年度介護報酬改定に関するQ&A 平成27年4月1日 問30
Q.
通所介護を行う時間帯を通じて1名以上の配置が求められる看護職員(中重度者ケア体制加算)、認知症介護実践者研修等の修了者(認知症加算)は、日ごと又は1日の時間帯によって人員が変わっても、通所介護を行う時間帯を通じて配置されていれば、加算の要件を満たすと考えてよいか。
A.
日ごと又は1日の時間帯によって人員が変わっても、加算の要件の一つである「指定通所介護を行う時間帯を通じて、専ら当該指定通所介護の提供に当たる看護職員(認知症介護実践者研修等の修了者)を1名以上配置していること」を満たすこととなる。
平成27年度介護報酬改定に関するQ&A 平成27年4月1日 問31
Q.
認知症加算、中重度者ケア体制加算それぞれについて、認知症高齢者の日常生活自立度Ⅲ以上の割合、要介護3以上の割合における具体的な計算方法如何。
A.
認知症加算、中重度者ケア体制加算の算定要件である認知症高齢者の日常生活自立度Ⅲ以上の割合、要介護3以上の割合については、利用実人員数又は利用延人員数を用いて算定するものとされているが、例えば、以下の例のような場合であって、中重度者ケア体制加算の要介護3以上の割合を計算する場合、前3月の平均は次のように計算する。(認知症高齢者の日常生活自立度Ⅲ以上の割合、前年度の平均計算についても同様に行う。)
表

①利用実人員数による計算(要支援者を除く)
・利用者の総数=9人(1月)+9人(2月)+9人(3月)=27人
・要介護3以上の数=4人(1月)+4人(2月)+4人(3月)=12人
したがって、割合は12人27人≒44.4%(小数点第二位以下切り捨て)≧30%
②利用延人員数による計算(要支援者を除く)
・利用者の総数=82人(1月)+81人(2月)+88人(3月)=251人
・要介護3以上の数=46人(1月)+50人(2月)+52人(3月)=148人
したがって、割合は148人251人≒58.9%(小数点第二位以下切り捨て)≧30%
上記の例は、利用実人員数、利用延人員数ともに要件を満たす場合であるが、①又は②のいずれかで要件を満たせば加算は算定可能である。
なお、利用実人員数による計算を行う場合、月途中で要介護状態区分や認知症高齢者の日常生活自立度が変更になった場合は月末の要介護状態区分や認知症高齢者の日常生活自立度を用いて計算する。
平成27年度介護報酬改定に関するQ&A 平成27年4月1日 問32
Q.
認知症高齢者の日常生活自立度の確認方法如何。
A.
1認知症高齢者の日常生活自立度の決定に当たっては、医師の判定結果又は主治医意見書を用いて、居宅サービス計画又は各サービスの計画に記載することとなる。なお、複数の判定結果がある場合には、最も新しい判定を用いる。
2医師の判定が無い場合は、「要介護認定等の実施について」に基づき、認定調査員が記入した同通知中「2(4)認定調査員」に規定する「認定調査票」の「認定調査票(基本調査)」7の「認知症高齢者の日常生活自立度」欄の記載を用いるものとする。
3これらについて、介護支援専門員はサービス担当者会議などを通じて、認知症高齢者の日常生活自立度も含めて情報を共有することとなる。
(注)指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準(訪問通所サービス、居宅療養管理指導及び福祉用具貸与に係る部分)及び指定居宅介護支援に要する費用の額の算定に関する基準の制定に伴う実施上の留意事項について(平成12年3月1日老企第36号厚生省老人保健福祉局企画課長通知)第二1(7)「「認知症高齢者の日常生活自立度」の決定方法について」の記載を確認すること。
平成27年度介護報酬改定に関するQ&A 平成27年4月1日 問33
Q.
認知症加算について、認知症介護実践者研修等の修了者の配置が求められているが、当該研修修了者は、介護職員以外の職種(管理者、生活相談員、看護職員等)でもよいのか。
A.
介護職員以外の職種の者でも認められるが、その場合、通所介護を行う時間帯を通じて指定通所介護事業所に従事している必要がある。
なお、他の加算の要件の職員として配置する場合、兼務は認められない。
平成27年度介護報酬改定に関するQ&A 平成27年4月1日 問34
Q.
認知症加算について、通所介護を行う時間帯を通じて、専ら当該指定通所介護の提供に当たる認知症介護実践者研修等の修了者の配置が要件となっているが、当該加算の算定対象者の利用がない日についても、配置しなければならないのか。
A.
認知症加算の算定対象者の利用がない日については、認知症介護実践者研修等の修了者の配置は不要である。なお、認知症の算定対象者が利用している日に認知症介護実践者研修等の修了者を配置していない場合は、認知症加算は算定できない。
平成27年度介護報酬改定に関するQ&A 平成27年4月1日 問35
Q.
旧痴呆介護実務者研修の基礎課程及び専門課程の修了者は、認知症介護に係る実践的又は専門的な研修を修了した者に該当するのか。
A.
該当する。
平成27年度介護報酬改定に関するQ&A 平成27年4月1日 問36
Q.
認知症加算の要件に「認知症の症状の進行の緩和に資するケアを計画的に実施するプログラムを作成すること」とあるが、事業所として一つのプログラムを作成するのか、利用者ごとの個別プログラムを作成するのか。
A.
利用者の認知症の症状の進行の緩和に資するケアを行うなどの目標を通所介護計画又は別途作成する計画に設定し、通所介護の提供を行うことが必要である。
平成27年度介護報酬改定に関するQ&A(Vol.2)平成27年4月30日 問1
Q.
サテライト事業所において加算を算定するにあたり、認知症加算又は中重度者ケア体制加算の算定要件の一つである専従の認知症介護実践者研修等修了者又は看護職員は、通所介護を行う時間帯を通じて本体事業所に1名以上配置されていればよいか。
A.
認知症加算・中重度者ケア体制加算は、認知症高齢者や重度要介護者に在宅生活の継続に資するサービスを提供している事業所を評価する加算であることから、通所介護を行う時間帯を通じてサテライト事業所に1名以上の配置がなければ、加算を算定することはできない。
平成27年度介護報酬改定に関するQ&A(Vol.2)平成27年4月30日 問2
Q.
職員の配置に関する加配要件については、看護職員又は介護職員を常勤換算方法で2以上確保していることに加え、これと別に認知症介護実践者研修等の修了者を1名以上配置する必要があるか。
A.
指定基準で配置すべき従業者、又は、常勤換算方法で2以上確保する介護職員又は看護職員のうち、通所介護を行う時間帯を通じて、専従の認知症実践者研修等の修了者を少なくとも1名以上配置すればよい。

最後に

この記事は、作成時点の最新資料・情報を基に作成しています。具体的な解釈や申請等については、その都度、最新情報をご確認いただき、自治体等へ申請・お問い合わせいただきますようお願い致します。

実地指導の準備はお済みですか?
実地指導に向けて対策しておくべきポイントについて、わかりやすくまとまっているPDF資料を、ぜひご活用ください。

さらに詳細な資料をご覧になりたい方は、こちらからお申し込みください

他にもこれらの資料がよく見られています。

処遇改善加算・特定処遇改善加算の資料ダウンロード
処遇改善加算・特定処遇改善加算の資料ダウンロード
個別機能訓練加算の資料ダウンロード
個別機能訓練加算の資料ダウンロード
ADL維持等加算の資料ダウンロード
ADL維持等加算の資料ダウンロード

加算減算一覧

あ行

か行

さ行

た行

な行

は行

ま行

や行

ら行

保険請求業務を効率化しませんか?

カイポケは介護業務に使う様々な帳票を簡単作成・印刷でき、国保連への伝送請求機能も兼ね揃えた介護ソフトです。

利用者、取引先、職員などの管理はもちろん可能
計画書・予定/実績から保険請求・利用者請求まで一括で操作可能
もちろん、各種加算減算などの算定もできる
ネット上から国保連への伝送請求もできるから専用回線導入の必要なし
利用者負担分の口座振替、職員給与の口座振込がソフト上から可能
売上や利用者の推移など、経営上必要な統計情報も見られる

カイポケでは無料体験期間をご用意しております。

万が一事業所とソフトが合わなかった場合でも、
一切お金を頂かずにご退会いただくことも可能です。
まずはお気軽にお試しください。

※無料期間は条件によって異なりますのでお問い合わせください

コールセンター

2025年3月31日までのお申し込みで 最大36ヶ月無料

無料で試してみる

お電話からもお気軽にお問い合わせください

0120-115-611通話無料

上記の番号がつながらない方 03-4579-8131

平日9時〜18時(年末年始・GW除く)

カイポチくん
© SMS Co., Ltd.