【2021年度改定対応】認知症専門ケア加算とは?



認知症専門ケア加算とは、認知症に関する専門的な研修を修了した職員を配置し、認知症の利用者を受け入れ、認知症ケアに関する会議や研修などの取り組みを実施している事業所を評価する加算です。
令和3年度の介護報酬改定では、加算の対象サービスに「訪問介護」、「訪問入浴介護」、「夜間対応型訪問介護」、「定期巡回・随時対応型訪問介護看護」が加わりました。また、加算の算定要件の一つである『認知症ケアに関する専門的研修等』の対象となる研修等が見直され、『認知症看護に係る適切な研修』が対象に加わりました。
この記事では、認知症専門ケア加算の単位数や算定要件についてまとめていますので、ぜひ最後までお読みください。

認知症専門ケア加算の該当する介護サービス種別

  • 訪問介護
  • 訪問入浴介護
  • 短期入所生活介護
  • 短期入所療養介護
  • 特定施設入居者生活介護
  • 介護老人福祉施設
  • 介護老人保健施設
  • 介護療養型医療施設
  • 介護医療院
  • 定期巡回・随時対応型訪問介護看護
  • 夜間対応型訪問介護
  • 認知症対応型共同生活介護
  • 地域密着型特定施設入居者生活介護
  • 地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護

認知症専門ケア加算の種類と単位数

介護サービス種別 (Ⅰ)の単位数 (Ⅱ)の単位数
訪問介護 3単位/日 4単位/日
訪問入浴介護 3単位/日 4単位/日
短期入所生活介護 3単位/日 4単位/日
短期入所療養介護 3単位/日 4単位/日
特定施設入居者生活介護 3単位/日 4単位/日
介護老人福祉施設 3単位/日 4単位/日
介護老人保健施設 3単位/日 4単位/日
介護療養型医療施設 3単位/日 4単位/日
介護医療院 3単位/日 4単位/日
定期巡回・随時対応型訪問介護看護 90単位/月 120単位/月
夜間対応型訪問介護 夜間対応型訪問介護費(Ⅰ)を算定する場合:3単位/日
夜間対応型訪問介護費(Ⅱ)を算定する場合:90単位/月
夜間対応型訪問介護費(Ⅰ)を算定する場合:4単位/日
夜間対応型訪問介護費(Ⅱ)を算定する場合:120単位/月
認知症対応型共同生活介護 3単位/日 4単位/日
地域密着型特定施設入居者生活介護 3単位/日 4単位/日
地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護 3単位/日 4単位/日

認知症専門ケア加算の算定要件

認知症専門ケア加算(Ⅰ)の算定要件

  • 利用者の総数のうち、日常生活に支障を来すおそれのある症状・行動が認められることから介護を必要とする認知症の利用者(以下、対象者)が占める割合が50%以上であること。
  • 認知症介護に係る専門的な研修を修了している従業者を、対象者の人数に応じて配置し、チームとして専門的な認知症ケアを実施していること。
  • 従業者に対して、認知症ケアに関する留意事項の伝達または技術的指導に係る会議を定期的に開催していること。

認知症介護に係る研修を修了している従業者の配置人数

対象者の人数 研修修了者の配置人数
20人未満 1以上
20人以上 1に、対象者が19人を超えて10またはその端数を増すごとに1を加えた数以上

認知症専門ケア加算(Ⅱ)の算定要件

  • 認知症専門ケア加算(Ⅰ)の算定要件を満たすこと。
  • 認知症介護の指導に係る専門的な研修を修了している従業者を1名以上配置し、認知症ケアの指導等を実施していること。
  • 介護職員、看護職員ごとの認知症ケアに関する研修計画を作成し、研修を実施または実施を予定していること。

認知症専門ケア加算の算定要件の詳細

認知症専門ケア加算の算定要件にある対象者の日常生活自立度とは?

日常生活に支障を来すおそれのある症状・行動が認められることから介護を必要とする認知症の利用者とは、日常生活自立度のランクⅢ、Ⅳ、Mのいずれかに該当する利用者です。

認知症専門ケア加算の対象者の割合の算定方法

日常生活に支障を来すおそれのある症状・行動が認められることから介護を必要とする認知症の利用者の割合は、「算定日が属する月の前3月間」の「利用者実人数」または「利用者延人員数」の平均を計算し、その数値が50%以上かどうかで判定します。
この割合は、届出月以降も毎月継続的に、所定の割合をクリアする必要があります。

認知症介護に係る専門的な研修とは?

認知症介護に係る専門的な研修には、以下の研修等が該当します。

  • 認知症介護実践リーダー研修
  • 認知症看護に係る適切な研修
    • 日本看護協会認定看護師教育課程「認知症看護」の研修
    • 日本看護協会が認定している看護系大学院の「老人看護」及び「精神看護」の専門看護師教育課程
    • 日本精神科看護協会が認定している「精神科認定看護師」

認知症介護の指導に係る専門的な研修とは?

認知症介護に係る専門的な研修は、「認知症介護指導者養成研修」及び「認知症看護に係る適切な研修」を指しています。

認知症専門ケア加算の留意点

認知症ケアに関する留意事項の伝達又は技術的指導に係る会議は、登録ヘルパーを含めて全員が一堂に会して開催する必要はなく、いくつかのグループに分かれて開催することが可能です。また、この会議は、テレビ電話装置等を活用して行うことができます。

認知症専門ケア加算のQ&A

令和3年度介護報酬改定に関するQ&A(Vol.4)令和3年3月29日 問29
Q.
認知症専門ケア加算の算定要件について、「認知症介護に係る専門的な研修」や「認知症介護の指導に係る専門的な研修」のうち、認知症看護に係る適切な研修とは、どのようなものがあるか。
A.
・現時点では、以下のいずれかの研修である。
①日本看護協会認定看護師教育課程「認知症看護」の研修
②日本看護協会が認定している看護系大学院の「老人看護」及び「精神看護」の専門看護師教育課程
③日本精神科看護協会が認定している「精神科認定看護師」
・ただし、③については認定証が発行されている者に限る。
令和3年度介護報酬改定に関するQ&A(Vol.4)令和3年3月29日 問30
Q.
認知症高齢者の日常生活自立度の確認方法如何。
A.
・認知症高齢者の日常生活自立度の決定に当たっては、医師の判定結果又は主治医意見書を用いて、居宅サービス計画又は各サービスの計画に記載することとなる。なお、複数の判定結果がある場合には、最も新しい判定を用いる。
・医師の判定が無い場合は、「要介護認定等の実施について」に基づき、認定調査員が記入した同通知中「2(4)認定調査員」に規定する「認定調査票」の「認定調査票(基本調査)」7の「認知症高齢者の日常生活自立度」欄の記載を用いるものとする。
・これらについて、介護支援専門員はサービス担当者会議などを通じて、認知症高齢者の日常生活自立度も含めて情報を共有することとなる。
(注)指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準(訪問通所サービス、居宅療養管理指導及び福祉用具貸与に係る部分)及び指定居宅介護支援に要する費用の額の算定に関する基準の制定に伴う実施上の留意事項について(平成12年3月1日老企第36号厚生省老人保健福祉局企画課長通知)第二1(7)「「認知症高齢者の日常生活自立度」の決定方法について」、指定介護予防サービスに要する費用の額の算定に関する基準の制定に伴う実施上の留意事項について」の制定及び「指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準(訪問通所サービス及び居宅療養管理指導に係る部分)及び指定居宅介護支援に要する費用の額の算定に関する基準の制定に伴う実施上の留意事項について」等の一部改正について(平成18年3月17日老計発0317001号、老振発0317001号、老老発0317001号厚生労働省老健局計画・振興・老人保健課長連名通知)別紙1第二1(6)「「認知症高齢者の日常生活自立度」の決定方法について」及び指定地域密着型介護サービスに要する費用の額の算定に関する基準及び指定地域密着型介護予防サービスに要する費用の額の算定に関する基準の制定に伴う実施上の留意事項について(平成18年3月31日老計発0331005号、老振発0331005号、老老発0331018号厚生労働省老健局計画・振興・老人保健課長連名通知)第二1(12)「「認知症高齢者の日常生活自立度」の決定方法について」の記載を確認すること。
令和3年度介護報酬改定に関するQ&A(Vol.4)令和3年3月29日 問31
Q.
認知症介護に係る専門的な研修を修了した者を配置するとあるが、「配置」の考え方如何。常勤要件等はあるか。
A.
・専門的な研修を修了した者の配置については、常勤等の条件は無いが、認知症チームケアや認知症介護に関する研修の実施など、本加算制度の要件を満たすためには事業所内での業務を実施する必要があることから、加算対象事業所の職員であることが必要である。
・なお、本加算制度の対象となる事業所は、専門的な研修を修了した者の勤務する主たる事業所1か所のみである。
令和3年度介護報酬改定に関するQ&A(Vol.4)令和3年3月29日 問32
Q.
認知症専門ケア加算(Ⅱ)の認知症介護指導者は、研修修了者であれば管理者でもかまわないか。
A.
認知症介護指導者研修修了者であり、適切に事業所全体の認知症ケアの実施等を行っている場合であれば、その者の職務や資格等については問わない。
令和3年度介護報酬改定に関するQ&A(Vol.4)令和3年3月29日 問33
Q.
認知症介護実践リーダー研修を修了していないが、都道府県等が当該研修修了者と同等の能力を有すると認めた者であって、認知症介護指導者養成研修を修了した者について、認知症専門ケア加算における認知症介護実践リーダー研修修了者としてみなすことはできないか。
A.
・認知症介護指導者養成研修については認知症介護実践研修(認知症介護実践者研修及び認知症介護実践リーダー研修)の企画・立案に参加し、又は講師として従事することが予定されている者であることがその受講要件にあり、平成20年度までに行われたカリキュラムにおいては認知症介護実践リーダー研修の内容が全て含まれていたこと等の経過を踏まえ、認知症介護実践リーダー研修が未受講であっても当該研修を修了したものとみなすこととする。
・従って、加算対象となる者が20名未満の場合にあっては、平成20年度以前の認知症介護指導者養成研修を修了した者(認知症介護実践リーダー研修の未受講者)1名の配置で認知症専門ケア加算Ⅱを算定できることとなる。
令和3年度介護報酬改定に関するQ&A(Vol.4)令和3年3月29日 問36
Q.
認知症専門ケア加算における「技術的指導に係る会議」と、特定事業所加算やサービス提供体制強化加算における「事業所における従業者の技術指導を目的とした会議」が同時期に開催される場合であって、当該会議の検討内容の1つが、認知症ケアの技術的指導についての事項で、当該会議に登録ヘルパーを含めた全ての訪問介護員等や全ての従業者が参加した場合、両会議を開催したものと考えてよいのか。
A.
貴見のとおりである。
令和3年度介護報酬改定に関するQ&A(Vol.4)令和3年3月29日 問37
Q.
認知症専門ケア加算の算定要件について、認知症高齢者の日常生活自立度Ⅲ以上の割合が1/2以上であることが求められているが、算定方法如何。
A.
・認知症専門ケア加算の算定要件である認知症高齢者の日常生活自立度Ⅲ以上の割合については、届出日が属する月の前3月間の利用者数で算定することとし、利用者数は利用実人員数又は利用延人員数を用いる。例えば、以下の例の場合の前3月の平均は次のように計算する。
・なお、計算に当たって、
-(介護予防)訪問入浴介護の場合は、本加算は要支援者(要介護者)に関しても利用者数に含めること
-定期巡回・随時対応型訪問介護看護、夜間対応型訪問介護(Ⅱ)(包括報酬)の場合は、利用実人員数(当該月に報酬を算定する利用者)を用いる(利用延人員数は用いない)ことに留意すること。
((介護予防)訪問入浴介護の例)
表
①利用実人員数による計算(要支援者を含む)
・利用者の総数=10人(1月)+10人(2月)+10人(3月)=30人
・認知症高齢者の日常生活自立度Ⅲ以上の数=7人(1月)+7人(2月)+7人(3月)=21人
したがって、割合は21人30人≒70.0%(小数点第二位以下切り捨て)≧1/2
②利用延人員数による計算(要支援者を含む)
・利用者の総数=61人(1月)+60人(2月)+64人(3月)=185人
・認知症高齢者の日常生活自立度Ⅲ以上の数=44人(1月)+45人(2月)+45人(3月)=134人
したがって、割合は134人185人≒72.4%(小数点第二位以下切り捨て)≧1/2
・上記の例は、利用実人員数、利用延人員数ともに要件を満たす場合であるが、①又は②のいずれかで要件を満たせば加算は算定可能である。
・なお、利用実人員数による計算を行う場合、月途中で認知症高齢者の日常生活自立度区分が変更になった場合は月末の認知症高齢者の日常生活自立度区分を用いて計算する。
令和3年度介護報酬改定に関するQ&A(Vol.4)令和3年3月29日 問38
Q.
認知症専門ケア加算(Ⅱ)を算定するためには、当該加算(Ⅰ)の算定要件の一つである認知症介護実践リーダー研修修了者に加えて、認知症介護指導者養成研修修了者又は認知症看護に係る適切な研修修了者を別に配置する必要があるのか。
A.
必要ない。例えば加算の対象者が20名未満の場合、
・認知症介護実践リーダー研修と認知症介護指導者養成研修の両方を修了した者
・認知症看護に係る適切な研修を修了した者
のいずれかが1名配置されていれば、認知症専門ケア加算(Ⅱ)を算定することができる。
(研修修了者の人員配置例)
研修修了者の人員配置例
(注)認知症介護実践リーダー研修と認知症介護指導者養成研修の両方を修了した者、又は認知症看護に係る適切な研修を修了した者を1名配置する場合、「認知症介護に係る専門的な研修」及び「認知症介護の指導に係る専門的な研修」の修了者をそれぞれ1名配置したことになる。

最後に

この記事は、作成時点の最新資料・情報を基に作成しています。具体的な解釈や申請等については、その都度、最新情報をご確認いただき、自治体等へ申請・お問い合わせいただきますようお願い致します。

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